エロゲはやっぱり中古が一番

MUSICUS!(ムジクス)の攻略・感想

このゲーム、つい年末大安売りに惑わされて買ったはいいが、ちょっと複雑な気分です。なにしろ体験版は最初のページでギブアップしてサッサと削除したイワクつき。画面で延々と文章を読まされるなんて面倒なだけ。それなら小説を読めばすむことで、PCゲームがいいのはサウンドと映像があるからです。lightのように、文章ばかりの画面もかなりあるが、それ以上に大迫力の映像シーンがあるのならまだしも、画面が暗転して白文字が止まることなくと続くだけのプレイスタイルです。肝心の絵はおまけ程度、これを購入した一番は原画がすめらぎ琥珀だという見た目からの動機は、作品の意図とは真逆とは。

ななリンではじめて知ったとはいえ、表情豊かで迫力のある絵、特に描かれた三人の美女の鬼の印象が強烈でした。次作のあけいろ怪奇譚もそれに勝るとも劣らないデキで、同じシリーズのきまぐれテンプテーションの原画がきみしま青に変更された時にはチョットがっかりしたくらいです。だから多少シナリオがまずくても原画さえよければとの甘い考えも、せめてもう少し映像があればともかく、90%が読み物となっていてはこれはやらかしたかなと半分以上はあきらめムード。とはいえ他にするものもないし、世間での評価は高いこともあるから、なんて自分を慰めながら、まあ、踏ん切りがつくところまでしぶしぶプレイすることに・・・。
ところが意外にもすんなりこの世界観に入り込めたのは、自分でもビックリです。文字が羅列してあるだけの画面なんて、面白くもないはずなんですが、手間取ったのは最初だけ。なにしろキャラが変わっています。高校生といっても華やかな学園とはおよそ無縁で、あまりなじみのない定時制高校がメイン舞台です。年は18~30半ばと幅広く、当然家庭を持っている人もいれば、忙しく仕事をしていたり、虐めや制約が苦痛でドロップアウトした過去があったり、家庭の問題があったり、色んなものを普段かかえている連中ばかりです。
もちろんその筆頭が主人公の対馬馨。頭も良く、理知的で物事をとても冷静に分析できる代々医者の息子です。偏差値が最も高い学校で、模試では志望の医大もA判定。何一つ不自由なく育てられたにもかかわらず、わざわざ退学して夜学へ通うなんて、普通では考えられないことですが、その理由がふるっています。
・・・ってこれネタバレ???さり気なく語ってしまいそうでした。
あぶないあぶない。(後で体験版、スキップしながらどこまでやっているのか確かめると、理由の根源と会うところで終ってました。良かった・・・)

システムは普通。文章は読みやすいのですが、ジャンプ機能がついていません。だから世間でいわれるような攻略順ではなく、階段式で最初は尾崎 弥子(やこ)から、高坂めぐる、バッドエンド(メーカーのHP紹介ページにはのっていませんが、新キャラヒロイン)、メインの花井三日月です。一番無駄を省いた順にしたのですが、私にはこれが良かったようです。
ルートごとにシナリオが変わるのは当たり前ですが、どのルートにも他ではみられないサブキャラ(時にはメインキャラ)が現れます。それがとてもいいスパイスになっているのですが、全ルート共通のキャラが、特定ルートで際立った動きをみせてくれたりする嬉しい誤算もかなりあり、より物語を面白くしています。主人公の父親もその一人です。テレビで若いタレントと浮名を流したり、荒唐無稽な言動で世間を騒がせたり、母親はともかく息子の馨は、およそ権威ある医者とは思えぬ父親を見下し無視することが多いのですが、時には言いくるめられるだけでなく、尊厳ある行いについ尊敬の念を抱いたりする場面もみられます。もちろんその後のオチもしっかり入っています。他にも色々ありますが、その辺りはご自分でお確かめください。端役に過ぎなかったはずの人物が、いつの間にか主役にとってかわったりなかなか興味深いですよ。
ただ主義主張がかなり強く打ち出されており、有名な文学作品があちこちに引用されています。特に花井兄弟は人生論や死生観を嫌になるくらい良く語ります。兄の花井是清はミュージシャンの才能は凄いのですが、それ以上に世の中を斜めからしか見られない根暗そのもの。それに輪をかけたのが妹の三日月。外部接触は一切しない筋金入りの引きこもりで、友達といえばネットを通じてのものだけです。ただその筋ではそこそこ有名なのですが、如何せん極端な人見知りで面と向かっての会話がまるでできません。思い込みが激しく、すぐに何かにつけて勝手に爆発して周りどころか自分さえも糞呼ばわりする始末。うら若き乙女が糞を連発するのもいかがなものかと思いますが、それがかえって強烈な個性に感じられるかもしれません。そのひとつがこれ。(会話もこんな感じでバックの絵は暗転して白の文字がメインで進めらています)


そこから色々とつづくのですがこの辺りは趣味趣向の世界です。小うるさい屁理屈が苦手な方には疎ましいだけかもしれないので、まずは体験版をどうぞ・・・なんて私がいうのは変ですね。何しろ体験版、初っ端の母親登場シーンでギブアップしていますので(笑)。
でも可愛いですよ、さんざん騒ぎ立てた後の仕草が。一人で真っ赤になって後悔することしきり。早ければすぐに、遅くとも何日か後には、ソーと様子を伺うようにしながら恐る恐る謝りにやってきます。まるで叱られた犬のようにコソっとご主人さまに愛想を振りまくような仕草が愛おしくなってしまいます。
もっとも調子に乗ってそのまま愛でていると大変です。なんでも全力で主張したがる癖は謝罪でも同じです。素直に受け入れてもらえるまで徹底的に真っ向勝負、まるでケンカ腰で、譲るなんて絶対にできないのが三日月です。
ところが歌に関してだけは別。類は友を呼ぶで、三日月と同じような性格の思い込みの激しい連中がごぞって勝負をしかけてくるのですが、まるで暖簾に腕押し。兄をも上回るまさに天才の歌姫であるにもかかわらず、本人は上手いとは思っていないのだからややこしい。
この辺りは三日月ルートの根幹に関わることになるので、これ以上は触れませんが、変人奇人兄妹から気に入られた主人公の馨は、物事をすべて如才なくこなします。特に他人を寄せ付けない是清からギターを習うことになるのですが、その理由はどうやら二人とは真逆の感情の起伏に乏しく、常に冷静沈着で、周りからロボットと呼ばれたりしているのが原因のようです。しかし馨本人でさえわからなかった心の底には、マグマのようにとても熱いものが流れていることを、この音楽の世界に導いた八木原や是清は見抜いていたのです。
そんな選ばれた二人、ロボット馨と気紛れ三日月がコンビを組んでどんな風に音楽を作っていくのでしょうか?

ミドルプライスとはいえ、ボリューム感はフルプライス以上。しかも文字を読むことがメインのために相当時間がかかりましたが、内容もそれ以上に素晴らしく、最後は安堵と笑顔と満足感に包まれて終えることができました。
同じような価格帯の和香様の座する世界よりもボリューム感では上回っていたし、同日に発売されたフルプライスの死神の蝶と比べても、甲乙つけがたい出来だと思います。
それとすめらぎ琥珀、やはりすごいですね。ここぞというときのカットシーンのド迫力、特に三日月ルートでは、他のルートとは違って立ち絵も多く、喜怒哀楽のてんこ盛り。ショッキングなシーンもあり、単なるハッピーエンドとは違いますが、このルートだけでも一本分の値打ちは十分ありました。
さすがにショッキングなカットはモロバレになるので無理ですが、取り敢えず可愛い三日月の3カットを640ピクセルで。







因みに三日月のエロシーンは暗闇でのうめき声と文字だけではなく、とても丁寧に描かれていましたよ。
ありがたやありがたや。

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