さんぜ通信

合掌の郷・倫勝寺のブログです。行事の案内やお寺の折々の風光をつづっていきます。 

涼しく法要するために

2013-08-04 14:00:00 | 倫勝寺の日々

 

「方丈さん、暑くないですか、そんなにたくさん着こんで・・・」

「心頭滅却すれば‥云々とは言うけれど、暑いときは暑いし、寒い時は寒いよ。

でも、寒い暑いは人を破らぬ、と昔の偉いお坊様方も言っておられる。

暑い寒いを気にして不平ばかり言っておったら、修行にならないしね。」


「でも私らはTシャツに短パンでいられるからいいけど、これだけ暑いとねえ・・・・・方丈さん、お袈裟の下に何枚着てるんですか?」


「肌着が1枚、そのうえに着物の下着、白衣、法衣。その上に袈裟をかけるから合計5枚の重ね着だね。

でも、たくさん着てても涼しく過ごせるようにちゃんと工夫もあるんだよ。」

「まず袈裟や法衣の生地。紗(しゃ)などの羅(うすもの)で作ってあるんだ。

特に夏場にかけるお袈裟のなかには、蝉の羽のようなごく薄いものもある。

これなんかは軽いし風を通すので涼しく感じるし、見た目も暑苦しくなくていいだろう?」

~~~~~~羅の袈裟ゆるくかけ師弟なり  by rinshou

 

「ほんとスケスケですねえ・・」


「それとこの腕にとおしてあるもの、見たことないでしょう?」


「何ですかこれ?お爺さんが手術したときに血管にいれたステントみたいですね?」

「これは汗手抜きというものでね、藤や竹を細く割いて作ってある。腕抜きともいうね。袖口が汗でべたべたしないように使うもの。

もっと大きいのがあって、それは帷子(かたびら)のように着物の下に着込むのだそうだよ。

最近の人はあまり使わなくなったけど、老僧で汗手抜き使っているひとはまだ多いようだね。」

 

~~~~~~~~~~~~ 繕いて使うわが師の汗手抜き  by rinshou

 

「手首回りがチクチクしそうですね」

「外国製の粗悪なものは作りが良くないので、竹で編んだところがすぐにほつれてチクチクするけど、

日本製は裂いた藤や竹の処理がきちんとしているので、そんなことはないよ。

こういうのもやっぱり、メイドインジャパンだわな。」


「打ち水や扇子、簾だけじゃなくて、着るものにも涼しく過ごす工夫がたくさんあるんですねえ。」


「この時期は施食等、お寺での法要が多いのだけれど、この夏の流行がこれ。」


「こんなの使ってんですか?」


「お寺の本堂って冷房が入ってないところがほとんどだろう?それでたくさんの参詣者が入ると本堂の中は熱気でムンムンするんだ。

実際、たくさん着こんでお経をあげていると、立ち上がるときなんか目が回ってクラクラする時もあるくらいさ。

で、これを袖の中や裾、胸元にスプレーしておくと、ミントの香りもして結構爽やかなんだよ。おかげで立つ時もシャキーン!さ」



「へえ~、こういうの使ってるのって、通勤のサラリーマンだけじゃないんですね。」


「まあ、これで爽やかな伽羅の香りやら沈香の香り、なんてのができたらお坊さん、とびつくかもね、あはは。   それと・・・・・・・・」


「まだなんかあるんですか?」

「肌着も最近はべとつかないイイのがあるんで助かるよ。ユニクロのとか乾きも早いしね。」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・心頭滅却するのに、いろんな工夫してんですね。」

 


教区各寺院の施食法要も、後半になりました。

熱気ムンムンの本堂でのご供養がまだ続きますが、暦の上では7日が立秋。

少しは涼しい風が吹くでしょうか。

いずれにせよ、まだまだ暑い日が続きそうです。どうか皆さま、ご自愛ください。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

朝顔、その他、逆付けマクロで写してみました。

         

         

今日はここまで。

 

 



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。