さんぜ通信

合掌の郷・倫勝寺のブログです。行事の案内やお寺の折々の風光をつづっていきます。 

倫勝寺のご本尊さま

2012-04-26 09:28:30 | 倫勝寺の日々

 

倫勝寺が所属する曹洞宗神奈川県第2宗務所第5教区は、第2宗務所管内でも活発に布教活動をしている教区です。
教区の皆さんが智慧を出し合って、檀信徒の方々と共に降誕会や涅槃会など三佛会の法要を行ったり、摂心や災害救援の托鉢、
そのほかにも声明のコンサートに出演したり、リーフレットやポスターを作ったりと、いろんな活動を行っています。

そんな中で、35年ほど続いているのが「生きる力」という小冊子の発行です。
施食会の際、檀信徒の皆さんにお配りしておりますのでご存じの方の多いことと思います。
今回の「生きる力」第35号に、拙寺の御本尊さまをご紹介することとなりました。
印刷されたものは夏の施食会の時にご覧いただくとして、一足先にブログの方でも御本尊様のことを少しご紹介させていただきたいと思います。

左:總持寺のご開山 瑩山禅師さま         中央:ご本尊 阿弥陀如来さま         右:永平寺のご開山 道元禅師さま


倫勝寺の御本尊さま

昭和の初め、秋田県能代市倫勝寺の弟子・馬場慈宗和尚が東京の下町、江戸川区小松川に布教所を開いたのが倫勝寺の始まりです。
地道な努力を続けて信者を集め、戦前はその数4,000人ともいわれました。

布教所を開いたものの、いつまでも御本尊様をお迎えできない状況を見かねた江東区東大島の羅漢寺住職さまが、
「羅漢寺に新しく御本尊様を勧請したので、これまでの御本尊様を倫勝寺でお給仕いただけないだろうか」
と御縁を結んで下さいました。
そしてお迎えしたのが、拙寺の御本尊阿弥陀如来さまです。

その後、ある事情から御本尊様を羅漢寺さまにお返ししなければならなかったことがありました。ところが、
「阿弥陀さまが夢に出てきて、早く帰りたいと言われまして」
と、翌日には住職さまが御本尊様を抱きかかえて倫勝寺にお戻しになられた事もあったそうです。

無事に御本尊様をお迎えした倫勝寺でしたが、その後は戦災に遭って焼けだされたり(空襲の時は寺族さんが風呂敷に包んで背負って逃げたそうです)、
横浜移転を余儀なくされたりと大変な時期もありました。
しかし、困難を無事に乗り越えられたのも、御本尊様が私どもや檀信徒の方々が安寧であるようにと、見守ってくださっていたからに違いありません。

      

さて、先日仏教美術や文化財が専門の大学教授にご本尊様をご覧いただく機会がありました。

その結果、倫勝寺の御本尊様は木造の体内をくり抜いてごく薄くつくられており、乾漆を思わせるような軽さに仕上げられていることが解りました。
また、御顔やお身体の様子の美しさもさることながら、ふだん眼に触れない体内も非常に丁寧に漆で仕上げてあることから、
造佛祈願主や仏師の信仰心の深さがうかがわれるとのことでした。

ご本尊様が柔和な眼差しで私どもをお守りいただけるよう、これからも精進を続けさせていただく所存です。

      


大掃除などでご本尊様のお身体を動かす時に、あまりの軽さに驚いたことがありました。
乾漆かもなあ、と先代住職も言っていたのですが、それが本当であれば大変貴重な仏像だったわけです。

脱乾漆の仏像について、詳しくはこちらから  こちらもどうぞ)

本文でも触れましたが、体内の内側が非常に丁寧に仕上げてあって、薄く仕上げたお身体の補強ということの他にも意図があるのかしらと感じたことでありました。
製作年代はよく調べてみないと判らないとのことでしたが、おおよそ江戸中期ころではないかと思われるとの所見でした。
機会があればCTスキャンなどもおこなって見てもらおうかな、と思っているところです。

もっとも、倫勝寺にとっては唯一無二のご本尊様なわけで、どんな様子であっても大切なご本尊様であることに違いはありません。
これからも大事にお給仕させて頂こうと思っております。


須弥壇上に登ったついでに、御本尊様の目線で写真を撮ってみました。
瓔珞(キラキラの飾り物)やいろんなお供え物、紅幕等があって視界が遮られているのが解ります。

タイや台湾、他の仏教国といわれているところの仏像は、全身を拝することができる参拝者目線で安置してある所が多いようです。
仏様の優しくも厳しい眼差しを身近に感じられるように、という意図があるのだと思います。

翻って日本はというと「秘仏」などといわれ、めったにご尊顔を拝めない「奥の院」のようなところにある方が多いような気もします。
大事なものだからしまっておくのだとか、パワーを温存しておいて頂いていざという時に力を発揮してもらえるように、
というような考えもあるでしょうが、御本尊様の普く一切に及ぼす力を頂戴するためには、
もっと見えるところに出ていただても(露出を増やしても)いいのかなあ、ふと思ったことでした。

 

境内の紅葉が葉をひろげはじめました。花も咲き始めたようです。

 

雨に洗われて、チューリップやリラ、アケビの花も活き活きして見えます。

     

   

こいのぼりも上がって、もうすぐゴールデンウイークですね。

今日はここまで。



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