1972年に公開され、同年度のアカデミー賞で作品賞・主演男優賞・脚⾊賞を受賞した映画「ゴッドファーザー」。映画のプロデューサーを務めたアルバート・S・ラディを主⼈公に、名作誕⽣の舞台裏にあった危機を描くドラマ マイルス・テラー主演「ジ・オファー / ゴッドファーザーに賭けた男」第1話「空席」見ました。
このワクワク感をどう表現すると自分がこのドラマのエピソード1に胸躍らせたかを伝えられるかわかりません。第二次世界大戦後、軍の戦略立案と研究を目的に作られたランド研究所のプログラマーだった男が、ハリウッド、映画の世界に魅せられていくオープニングからワクワク、ドキドキが止まりません。アメリカのコングロマリット、ガルフ&ウェスタン社の映画部門パラマウントを1967年から1974年まで、製作トップに抜擢されたロバート・エヴァンスのもとに弟子入りし、プロデューサー業を学んでいくアルに自分の夢(そんな風になりたかったのです)を重ねてしまい、画面にくぎ付け。エヴァンスといえば、1970年ベストセラーの原作の実写映画化「ある愛の詩」に自分の妻アリ・マッフロウを無理やりキャスティングし、親会社からはヒットするのか懸念がられながら当時としては破格の大ヒットを飛ばし、押しも押されぬプロデューサーとハリウッドでも評判でした。中学生の映画好きな僕でもプロデューサーの名前覚えていました。もともと彼を初めて知ったのは、俳優だった彼が「刑事」の原作を買い取り、フランク・シナトラ主演でプロデュースしたことが発端。この才覚を認めたのが、当時パラマウントを買収したガルフ&ウェスタンの会長チャールズ・ブルドーン。このドラマでもバーン・ゴーマン演じるプルドーンが素晴らしい演技を見せてくれますね。さらに彼の右腕でドラマのために加えられたキャストとしてのバリー・ラピタスを演じるコリン・ハンクス。これがまためっちゃくちゃ嫌な経理屋で、映画は娯楽、芸術性を求めず、利益を出す映画が良い映画と言い切り、予算内に作れるものこそビジネスマンと言い切る男。映画は儲けの道具としてしか考えない男として、全映画ファンの敵になってます。映画「エルヴィス」で悪役を演じたお父さんトム・ハンクス同様、息子も悪役ですね。さて、パラマウントに入ったアルが最初に手掛けるのが1965年ー1971年のTVドラマのシリーズ「0012捕虜収容所」これ面白かったですね。映画「大脱走」の愉快、痛快、爽快を味わったのですが、このドラマはコメディ。戦時下の捕虜収容所ながら、ナチスをコケにするコミカルなドラマとして主人公ホーガンを演じたボブ・クレーンがかっこよかったのを小学校から中学まで見てたこと思い出しました。アルがTV業界にいながら見た映画「猿の惑星」で彼が映画館で観客が一斉に体験する高揚感、感動に雷を撃たれ映画作りに関わっていくところが大好きです。彼の最初の映画製作が「お前と俺」だったのですね。ロバート・レッドフォードを主演にするための交渉に「明日に向かって撃て」のロケ地のメキシコに行くシーンは、もはや鳥肌。レッドフォード役の人は似てませんが。。。(笑) 「ゴッドファーザー」の映画化の話が始まるところでも、本に出て来る落ち目の歌手がフランク・シナトラを彷彿させ、彼が怒り心頭、彼のバックに映画化をやめさせるよう依頼するところは映画もどきでした。さらに、シナトラファンのマリオ・プーゾが挨拶に行ったら面と向かって激しい言葉を浴びせるところ、フランクの横に「ローズマリーの赤ちゃん」のミア・ファーローに似た女性がいたのにニンマリ。それ以外にもいくつも、映画ファンが飛び上がって喜ぶネタが隠れていて、第1話から最高でした。さてアルを演じるマイルス・テラー「セッション」での演技でマイブレイク、「トップガンマーヴェリック」では亡きグースの息子を演じ、マーヴェリックの弟子として見事な演技を見せてくれましたが、このドラマでも素晴らしいです。頭の回転は素晴らしく、口も達者、そして何より野心に溢れてますよね。そして彼の才能を見抜くエヴァンスを演じるのがマシュー・グード、「ダウントンアビー」のヘンリー・タルボットや「ザ・クラウン」のスノードン卿で知ってはいましたが、「キングスマンファーストエージェント」とこのドラマで記憶に残りましたね。素晴らしい演技を見せてくれています。女優陣もアルがランド研究所時代に訪れた ホテル・シャトーマーモントのオーナーフランソワーズ・グレイザー役のノラ・アルネゼデールが色っぽい役どころ、スマートな女性として秘書ベティ・マッカートを演じるジュノー・テンプル。どちらもドラマに彩りを加えてくれてますよね。エピソード1から興奮しまくりです。
☆☆☆☆3/4