山田風太郎の小説「八犬伝」を役所広司主演X曽利文彦監督で映画化「八犬伝」見ました。
人気作家の滝沢馬琴は、里見家の呪いを解くため、8つの珠に引き寄せられた8人の剣士たちが壮絶な戦いに挑む物語を書き始める。それは友人の絵師・葛飾北斎も魅了し、やがて人気作となっていく。
どうも最近映画を見る際に、余計な情報を入れないせいか、「八犬伝」を見るにあたって1982年の深作欣二監督X真田広之X薬師丸ひろ子の「里見八犬伝」の再映画化だと思って、見始めたら、これが超絶勘違い。やってもうたと思いましたね。しかし、見ていくうちにこれは、これでむちゃくちゃ素晴らしいことを発見。どんどん引き込まれてしまい、最後は心の中で拍手喝采してました。頑固一徹な戯作者・滝沢馬琴と家族、そして友人・葛飾北斎の28年に及ぶ日々の歩みと馬琴の理想となる正義を、勧善懲悪で描く「八犬伝」の映像が交互に描かれ、いわゆる「虚」と「実」をあぶりだすもの。江戸時代も、やはり不正があり、理不尽な行いがまかり通る世の中、今と変わらないそんな時代に、正義というのは何なのか、「虚」の世界だけに、普遍的な正義を信じて物語を描き続けた馬琴の思いを表現する役所広司の熱演に瞬きが出来ませんでした。そしてその話し相手になる北斎を演じる内野聖陽の洒脱な演技も見事。そして自分の信念のために戯作者として「虚」を書き続けた馬琴の妻が年がら年中馬琴に文句を言うさまが、どこかの家の奥方に似ていて笑えなくなる始末。寺島しのぶの素晴らしい演技にノックアウト。磯村勇斗、黒木華、「実」の世界の話の俳優たちの演技が素晴らしい。
「虚」である「八犬伝」の映像は、「ピンポン」監督曽利文彦の面目躍如のVFX祭りでワクワク感が止まりません。強敵玉串を演じる栗山千秋は、あの夏木マリに勝るとも劣らない快演ぶり。さらにこの映画にも出ているとニヤニヤが止まらない、あの河合夏美の姫役、若き、八犬士もナイスキャステイング。華麗な殺陣に心の中でスタンディングオベーション❗️
「実」の静けさと「虚」の躍動のバランスよく、ラストまで一気に魅せる、見事な時代劇エンターテイメントでした。この映画好きです。
☆☆☆☆
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