捜査一課で現場一筋の警部補・成瀬司(阿部寛)は、犯人逮捕のためには手段を選ばない鬼刑事で部下にも厳しく、捜査を理由に一人娘・法子(見上愛)との約束も破ってしまうような仕事人間だった。高齢者を狙った「アポ電強盗事件」が次々に発生する中、疑わしい人物を令状もなく捜査するといった強引な行動により、彼は上司から異動を命じられる。刑事部内での異動だろうと軽く考える司だったが、異動先は広報課の「音楽隊」だった。
面白い!社会に出て、働く場所で何らかの失敗をして、異動や左遷を経験した人なら、この音楽隊の誰かに自分を重ねられ、心に刺さるかもしれません。主人公のパワハラ刑事成瀬の昭和感たっぷりの捜査ぶりは、やややり過ぎ感は否めませんが、阿部寛さんが見事に、いつもの刑事とは違う刑事の演技見せてくれて、オープニングからワクワク感止まりません。異動先の音楽隊の適度な寂れ感もやややり過ぎかなとも思いましたが、不協和音を重ねていた音楽隊が、一つにまとまってゆく姿とドラムを通じて、自分の人生をリセットする刑事の姿にいつしか応援している自分がいました。居場所を無くしても、新しい場所、仕事への気持ちの持ち方で、人間は必ず立ち直れるという勇気と音楽隊の演奏に元気をもらえた2時間、内田監督ワールドにハマりました。
☆☆☆☆1/4