はみだす緑と、はみだす人生

街角のちょっとした隙間にはみだす緑を愛でる筆者が、はみだす緑と、筆者自身のはみだす人生について綴るブログ

路上園芸バッヂ

2022-08-31 15:44:18 | はみだす緑
どうもこんにちは、2年ぶりの投稿となってしまいました。お久しぶりでございます。
このブログをはじめたのが2020年3月。
新型コロナウイルスに世の中がざわざわしはじめた頃でした。
脳天気な私、夏になったら収まるんじゃない?なんて当初は気軽に考えていましたが、
まさか2年以上経っても、まだ感染がおさまらないとは。
びっくりですわ。

今回ひさしぶりに、マルシェルにグッズを出品します。
2年前、『たのしい路上園芸観察』(グラフィック社)が出版される際に記念としてつくった「路上園芸バッヂ」です。



大正時代から委員会バッヂをつくっている蔵前の大塚徽章さんに、昔ながらの「園芸委員」の書体を生かして金型からつくっていただいたオリジナルのバッヂです。

「園芸」の書体、めちゃくちゃかわいくないですか。



バッヂ制作のきっかけとなったのは、2年前に「エントリエ」というウェブメディアの「まちのミカタ」というお散歩記事の取材。
知らないまちを嗅覚だけで歩いてみる、という趣旨のこの企画。蔵前をぶらぶらと歩いていた時、道沿いのショーウィンドーに並んだ数々のバッヂに目が留まったのです。
それが大塚徽章さんでした。




「園芸」や「給食」、「生活」、「親切」など、小さなバッヂに刻まれた書体がかわいいのなんの。
金型からオリジナルのバッヂもつくれると伺い、その後、本の出版に合わせて、「路上園芸」バッヂを作っていただいたのでした。

「路上」の文字以外は、桜の形もほとんど、昔の「園芸委員」バッヂを生かしています。
色は七宝焼などに使われている七宝。半永久的に色が変わらないとのことです。
カラーチャートを見ながら、「植物」っぽい色を選んでみました。

最初の本の出版時に100個つくり完売。今年の春に2冊目の本『はみだす緑 黄昏の路上園芸』(雷鳥社)がでた際にもう100個増産。ありがたいことに各地に「路上園芸委員」が次々と誕生し、なんといま手元に残った在庫が10個となってしまいました。
そのためマルシェルでも、10個限定で販売いたします。
「我こそは路上園芸委員だ!」という方、ぜひチェックしていただけたら幸いです。


隙間の苔庭コレクション

2020-09-20 20:59:26 | はみだす緑
世の中は連休ですが、来週にかけて雨が降ったりやんだりみたいですね。
雨が続くと少し億劫ですが、楽しみなのは、雨上がりの路上に鮮やかな「苔庭」が出現すること。列島タイプや孤島タイプ、大陸タイプ、ひらべったいタイプなど、バリエーション豊かな路上の苔庭。

苔ってなんとなく繊細なイメージでしたが、先日お散歩をご一緒したネイチャーガイドの方いわく、苔の中には休眠ができ、カラッカラになっても水がやってきたらインスタントラーメンみたいに復活するものもあるそう。都会ではその振れ幅に耐えられるものが生き延びているとか。
なんと。

柵の下の水が垂れ落ちる場所や、水が溜まる舗装の隙間など、湿気を帯びていそうな場所に局地的にモフっと生えています。
別の植物の種が、苔を拠り所にして生えていることも。苔は偉大なり。
隙間にそこだけ別世界が広がるような、箱庭的な魅力があるなと思います。

ツチノコタイプ

孤島に一輪

舗装に生まれる苔列島

苔は他の植物たちの拠り所に。

個室タイプ

ナイアガラタイプ

抹茶チョコタイプ

稲妻タイプ

ご飯とおかず的なレイアウト





著書『たのしい路上園芸観察』が出ます

2020-09-16 22:30:02 | はみだす緑
10月頭に、グラフィック社より初の著書『たのしい路上園芸観察』が出版されます。
昨日よりAmazonでも予約可能となりました。思いの外、多くの方にご予約いただいているようで、なんと植物観察ガイドのカテゴリーで「ベストセラー1位」!
ひょえー!ありがてえ〜。

Amazon

版元ドットコム



福岡の自然豊かな住宅街で生まれ、幼少期は毎日どろんこ状態で山遊び。そして大学も自然豊かな北海道へ。敷地内に原生林があるような、緑に囲まれたキャンパスライフを送りました。

卒業し上京した当初、もう自然とは無縁かと思っていましたが、軒先の園芸や隙間から生える野草など、都市部であっても思いがけず緑を楽しめることに気づきました。
ひとたび気になりはじめると出歩くたびに目に留まるようになり、そんな街の園芸を中心とする緑の動態を「路上園芸」と称し愛でてきました。

家と道との境目や、時には公共空間にまで園芸愛をはみださせ、広がる路上園芸。
建物ばかりで無機質だと思いこんでいた都市部でも、路上園芸目線で見ると意外にも余白やグレーゾーンがあちこちに存在していることを感じ、私にとって路上園芸観察は小さな自然回帰、心を健やかに落ち着かせるためのライフワークとなりました。

SNSや執筆、イベントなどで細々と発信してきたところ、ありがたいことにグラフィック社さんよりお声がけいただき、過去の観察の記録をまとめることができました。

この本では、過去記録したり新たに記録した写真を
・路上で営む園芸(街の住人たちによる、個性溢れる園芸活動)
・路上が育む園芸(街の環境条件に適応して生きる植物たち)
で大きく分類し、それぞれ見どころや様々な切り口でご紹介しています。

また本書の出版にあたり、新たに取材も重ねました。
一部抜粋すると…たとえば「日本人と園芸の深い関係」というコラムでは、賀来宏和さん(株式会社グリーンダイナミクス代表取締役・千葉大学大学院園芸学研究科客員教授)にお話を伺い、「路上園芸」のルーツとして日本で育まれてきた園芸文化について、色々とお話を伺いました。

「路上園芸観察入門〈新宿編〉」というコラムでは、『散歩で出会うみちくさ入門』(文一総合出版)著者であり、ネイチャーガイドの佐々木知幸さんにご同行いただき、新宿を「植物」目線で歩いた記録をまとめました。
佐々木さんにはそれだけでなく、執筆にあたり同定に自信なかった植物名を校正していただいたりと、多大なるご協力を賜りました(いやぁほんとあらためて、植物名の正確な同定への道のりの長さを痛感しました…)。

また、2018〜2019年にかけてなんだかんだで6回(!)も訪れた台湾で見た路上園芸についても、コラムを書きました。
台湾のコラムについても、台湾の友人たちに本当にお世話になり感謝。

人様の園芸を撮影したということで、出版社の方と相談し、写真に家屋が大きく写りこむ個人宅や店舗については掲載許可をお取りしました。
許諾作業についてもグラフィック社さんにお世話になり(一日2万歩とか歩かせてしまったらしい…)、なにより掲載を快諾いただいた園芸家の方々には感謝してもしきれません。

装丁を手がけてくださったのは、ブックデザイナーの漆原悠一さん(tento)です。
写真の外にところどころ吹き出しを入れてくださったりと、思わず校正しながらニヤニヤしてしまう、遊び心に溢れた、美しく楽しい本をつくってくださいました。

出版後にどのような反応があるのかドキドキしますが、コロナ禍でなかなか遠出が難しい中で、たくさんの方が身近な街の風景を楽しむきっかけとなればいいなと思います。
ぜひお手にとっていただけると嬉しいです。

-------------------------

以下、Amazonより…

出版社からのコメント
'街の住人の方たちが、路地裏や玄関先、ベランダ、塀の上などで思い思いに楽しむ園芸。
そこには、行政などによる計画的な植栽とはまた違った、自由で植物愛に溢れた光景が広がっています。
本書では、そんな街中の園芸を「路上園芸」と名付け観察し続けてきた著者が、10年にわたる記録の中から特に興味深いものを事例写真を挙げながら紹介しています。
身近な緑(植物)に目を向け、その背景にある「人と植物の関係」「街中の植物のたくましさ」などに想いを馳せれば、いつもの散歩道もきっと違った景色に見えてくるはずです。
「日本人と園芸の歴史」や、台湾の路上園芸に関するコラムも収録。

【もくじ】
路上園芸観察のすすめ

Chapter1 路上で営む園芸(街の住人たちによる、個性溢れる園芸活動)
建物全体が緑に飲み込まれた「植物ハウス」/限られた空間で鉢物を育てる「配置の美学」/ヤカンに空き缶…植木鉢として第二の人生を送る「転職鉢」/道にはみ出さないように縛ったり…「路上の手仕事」/コビトやタヌキなど鉢の中に宿る「八百万の神々」/勝手に抜かないで…「路上園芸家の叫び」/だんだんと道路に侵食する「どさ草」……他

Chapter2 路上が育む園芸(街の環境条件に適応して生きる植物たち)
植木鉢からはみだす「すごい根っこ」/金網やガードレールも乗り越える「すり抜け」/アスファルトの割れ目や壁の隙間に「はみだせ! 緑」/人間と暮らすうちになんだか不思議なかたちに成長した「植物のふりした妖怪」……他

【コラム】
路上園芸観察入門その1〈月島・佃編〉
「日本人と園芸の深い関係」賀来宏和さんインタビュー
台湾の路上園芸に会いに行く
路上園芸観察入門その2〈新宿編〉ネイチャーガイド・佐々木知幸さんと行く

-------------------------

中身の一部をチラ見せ。過去約10年に渡り撮影した写真を中心に、コラムとともに一冊にまとめました。









『街角図鑑』に寄稿しました

2020-08-31 23:21:57 | はみだす緑
ガスメーターや配管、室外機、電気メーターなど、街の中に身近に存在するもの。道路や踏切、公園など、よりスケール大きく周りを取り囲んでいるもの。さらにはダムや鉄塔など、街と街の間に跨がるもの。
街中には直接的・間接的に自分の生活に関わる無数のものが存在しますが、細かく識別されることはほとんどないばかりか、目にすら留まらないことも多いのではないでしょうか。

街の景色の中に確かにありながら、見えているようで見えていないものに、あらためて注目してみよう、という本『街角図鑑 街と境界編』(三土たつお編著・実業之日本社)に、路上園芸の項目で写真と文章を寄せました。

 
この本で取り上げられている項目は、何かしら意図を持って計画的に設置されたものがメインですが、路上園芸は計画されたものの合間を縫って、街の曖昧な隙間に進出したり越境し行われるもの。
『街角図鑑』のトピックの中でも、他の著者の皆様の隙間にはみだしたような存在であります。
しかし人の園芸愛や植物の生命力がはみだすことによって生み出される独特の景は結構味わい深い。ぜひ他の項目と見比べつつお楽しみいただければ幸いです。

著者のお一人である内海慶一さんもこの記事で書かれていますが、この本は各トピックの「中の人」ではなく、鑑賞者が参加しています。
ひたすら「見る」、しつこく「見続ける」ことで、「自分にとって役立つ」「役立たない」「意味がある」「意味がない」から切り離された、そのもの自体のゴロリとした姿が立ち現れてくるのかなあ、なんて思います。

『街角図鑑』は第一弾が2016年に発売され、そちらにも路上園芸の項目で参加いたしました。

 
この本がご縁となり、著者の三土さんや編集者の磯部さんをはじめ、本の著者の方々とここ数年、何度も街歩きをご一緒させていただきました。
これが本当〜に楽しい!
マンホールや送水口、段差ステップなどなどは、その場所に存在することになんらかの意図や意味があります。その背景を読み解くと、背後にいる無数の仕事人の方々の姿が見えてくる。
特にマンホール愛好家の方々と歩いたときは、蓋に刻印された情報から地下を流れるインフラを即座に読み解く姿が、探偵のようでカッコよく痺れました。

それに触発され、私も少しでも植物の名前を覚えたいな、と思うようになり、最近は暇さえあれば植物図鑑を眺めております。
植物の名前や好む環境、原生地の特徴がわかると、街で見かけた植物から「ココにコレが生えてるってことは、この場所はこういう環境なのかな?」「コレはどこかの植木鉢から逃げ出してきたのかな」「コレは誰かが勝手に植えたのかな?」という背景や動態が見えてくる。
その場で自然と育まれた佇まいそのものの美しさを味わうのも楽しいですが、そうやってロジックを読み解くのもまた楽しいものだな、と思うようになりました。

まだまだ酷暑が続きますが、暑さが和らいだら『街角図鑑』を片手に、いろんな街をブラブラしたいと思います。

見せたい写真

2020-08-27 00:01:55 | はみだす生活
なんかよく「インスタで友人のキラキラした投稿見てうんざりする」とかいう言い回しってありますよね。ドラマ「凪のお暇」でも、仲間はずれにされないよう同僚の投稿に必死で「いいね」するシーンがありました。
私はSNSでフォローしているアカウントの多くが、植物をはじめ何かの対象に特化したもの(私生活よりは探求対象の発信に重きを置いたもの)ばかりなので、「友人のキラキラした投稿」自体が別世界の話。

そんな世界、あるんでしょうか…


あ、そもそも友人が少ないのか…


そんな私のカメラロールの大部分を占めるのが路上園芸の写真なのですが、その合間合間に
「うまく言語化できないし、わざわざカテゴライズするほどの意志もないけど、なんか気になって撮った写真」
が混在しています。

今回はそんな、カメラロールの中でくすぶっていた写真を淡々と放出したいと思います。

--------------------

ラーメン屋の薬味とおしぼりが自己啓発セミナーっぽかった。



猫の糞への怒り


母から送られてきた荷物に入っていた、ラップでぐるぐる巻のお父さん犬


ウッディ・アレンの映画に出てきた人のTシャツ


家の路上園芸すごそう

シェフレラも


たるみ解消運動のときの顔


パイロンにむりやり転職


何かいる


以前つとめていた会社で、同僚が記憶で描いた「ミッキー」


キリ看テイスト


文字がいい感じ・その①


文字がいい感じ・その②

文字がいい感じ・その③

文字がいい感じ・その④


血文字っぽい


スピード注意看板


「ゆみ」を居抜きで「まゆみ」に?


--------------------

皆さんもこんな写真、カメラロールに入っているでしょうか?
以前、マニア同士のとあるお散歩の打ち上げで「ただただ人に見せたい写真」をひたすら見せ合う会をしたところ、「オーブンで溶けた餅」や「ラーメン」といった写真が集まり、大いに盛り上がりました。

ひとのカメラロールのなんてことない写真、また見たいなあ〜。

(デイリーポータルさんで「カメラロールの肥やし」という記事を発見。そうそう、こういうやつ!!!)