これだけ大きな動きが一度に起こると、もう何がなんなのかが分からなくなってきます。すでに混乱気味なのですが、なら何がどう分からないのかだけでも整理しておいたほうがいいような気がします。
というわけで、できるだけ球界再編ニュースを追ってみたいと思います。
再生機構に支援要請 ダイエー、自主再建を断念(共同通信)
経営再建中の大手スーパー、ダイエーは13日、民間主導の自主再建を断念し、公的機関の産業再生機構を活用することを決断した。ダイエーはUFJ銀行など主力取引行3行とともに、同日、再生機構に支援要請した。主力3行は、再生機構なしにダイエー再建は困難として機構活用を強く要求。融資など支援の打ち切りを持ち出し、監査法人が中間決算を承認しない恐れが強まったため、ダイエーは方針転換せざるを得なかった。
日本経済の低迷の象徴とも言われた同社が再生機構の支援下で抜本的再生に乗り出すことで、小泉内閣の重要課題である「金融と産業の一体的再生」が前進する。
再建の道筋が付いたことを受けて、ダイエーの高木邦夫社長は辞任する見通し。同社は14日以降も平常通り営業を続け、再生機構の支援を受ける場合も、株式の上場は維持される。
今週初めから迷走を続けたダイエー再建問題でしたが、これで一応の方針が定まったと言ってよさそうです。ダイエーの高木社長は最後まで抵抗を続けたようですが、ついに矢尽き刀折れ、というところなのでしょうね。
私自身は、ダイエーに同情したとしても再生機構入りは致し方なし、という考えです。確かに、融資打ち切りや法的整理を仄めかしてまで再生機構入りを迫った銀行側のやり方に反発を感じないではないですが、特にUFJなどは金融庁の検査の際にダイエーの資料を隠蔽していたくらいですから、よほど危険な状態にあったものと思われます。
そもそも自主再建といったところで、取引銀行から債権放棄を求めずに済むわけではないのです。銀行からしてみれば、自分たちの言うことは聞かないくせに融資は棒引きしてくれと言われても、納得のしようがないでしょう。としますと、やはり再生機構の管理下に置かれるのは止むを得ないと言わざるを得ません。
ただし、そうなるとホークスの行方を案じずにはいられません。ホークスはパ・リーグでは突出して人気の高い球団ですが、それが逆に災いする恐れがあるのです。
今日の日経スポーツ欄の記事によれば、ホークスの企業価値は少なくとも200億円という見方が多いそうです。しかし、これだけの金額を払ってもよいという企業は多くはなく、さりとて負債を圧縮したい再生機構が投売りをするとは考えにくいようです。
そして(私たちにとっては悪夢ですが)、条件はあるものの、既存球団への売却という選択肢もないわけではなく、その場合にはロッテが候補になりうる、としています。
確かにこのシナリオは現実味があります。福岡ドームに毎試合多くのファンが詰め掛け、グッズの売れ行きも好調と思われるホークスですが、裏を返せば売り上げの伸びしろはそう多くない、と理解することも可能です。現時点での価格は高いのに、来季以降大幅な経営改善が見込めないとなると、誰も買収しようとは思わないでしょう。
そう考えますと、ホークスの売却はそう容易ではありません。むしろ、ネーミングライツの導入など、比較的安上がりで宣伝効果を得たい企業の希望にこたえる形の方が、より現実的かも知れません。
あるいは、地元企業の共同出資を仰ぐのも方法です。九州にホークスを完全取得できる企業があるは分かりませんが、かといってどの企業も全く資本拠出ができないとも考えられません。ですので、ダイエー本体が保有する株式を地元企業に数%ずつ売却する方が、1社に一括して売却するよりも成功する可能性はむしろ高いのではないでしょうか。
ただし(財務諸表が公開されていないため詳細は不明ですが)、現在のホークスが大きな債務を抱えていることは容易に想像できますし、そうなると出資をためらう企業も出るでしょう。その場合は、新会社を設立し、そちらの株を売却した上で、現在の(株)福岡ダイエーホークスは清算することにすれば、出資者の安心を得られるでしょう。
地元企業の共同出資や新会社設立と旧企業清算は、日ハムが北海道移転にあたって採った方法でもあります。ただし、ホークスの場合は元の親会社が完全に撤退することになりますし、日ハム新会社の時よりも売り出す株式の規模ははるかに大きくなります。
ですが、九州の経済規模は沖縄を除いても北海道の倍以上あります(2000年の生産ベースでの比較、内閣府統計による)。また九州発祥の在京、在阪企業を売却対象にすることもできます。もちろんその際には一括売却と違った努力が必要でしょうが、それを惜しまなければ決して不可能ではありません。
さらに、これは私の希望なのですが、株式売却の際には個人による取得も積極的に進めてほしいと思います。一口5万円(もちろん複数口購入可)で地元福岡や九州のファンを中心に出資を仰げば、応じる人は少なくないでしょう。そうすれば、まさに企業から市民まで、地元一丸となった球団が誕生するではありませんか!
こう考えますと、ホークスの問題は一般に言われるほど容易ではない反面、思っていたほど絶望的でもないようです。いわば、ピンチとチャンスが表裏になった特大のコインが降ってきた状態、と考えたほうがよさそうです。
ホークスはこのコインを生かすことができるか?それともなすすべなく押し潰されてしまうか?私なら、前者に賭けたいところです。
というわけで、できるだけ球界再編ニュースを追ってみたいと思います。
再生機構に支援要請 ダイエー、自主再建を断念(共同通信)
経営再建中の大手スーパー、ダイエーは13日、民間主導の自主再建を断念し、公的機関の産業再生機構を活用することを決断した。ダイエーはUFJ銀行など主力取引行3行とともに、同日、再生機構に支援要請した。主力3行は、再生機構なしにダイエー再建は困難として機構活用を強く要求。融資など支援の打ち切りを持ち出し、監査法人が中間決算を承認しない恐れが強まったため、ダイエーは方針転換せざるを得なかった。
日本経済の低迷の象徴とも言われた同社が再生機構の支援下で抜本的再生に乗り出すことで、小泉内閣の重要課題である「金融と産業の一体的再生」が前進する。
再建の道筋が付いたことを受けて、ダイエーの高木邦夫社長は辞任する見通し。同社は14日以降も平常通り営業を続け、再生機構の支援を受ける場合も、株式の上場は維持される。
今週初めから迷走を続けたダイエー再建問題でしたが、これで一応の方針が定まったと言ってよさそうです。ダイエーの高木社長は最後まで抵抗を続けたようですが、ついに矢尽き刀折れ、というところなのでしょうね。
私自身は、ダイエーに同情したとしても再生機構入りは致し方なし、という考えです。確かに、融資打ち切りや法的整理を仄めかしてまで再生機構入りを迫った銀行側のやり方に反発を感じないではないですが、特にUFJなどは金融庁の検査の際にダイエーの資料を隠蔽していたくらいですから、よほど危険な状態にあったものと思われます。
そもそも自主再建といったところで、取引銀行から債権放棄を求めずに済むわけではないのです。銀行からしてみれば、自分たちの言うことは聞かないくせに融資は棒引きしてくれと言われても、納得のしようがないでしょう。としますと、やはり再生機構の管理下に置かれるのは止むを得ないと言わざるを得ません。
ただし、そうなるとホークスの行方を案じずにはいられません。ホークスはパ・リーグでは突出して人気の高い球団ですが、それが逆に災いする恐れがあるのです。
今日の日経スポーツ欄の記事によれば、ホークスの企業価値は少なくとも200億円という見方が多いそうです。しかし、これだけの金額を払ってもよいという企業は多くはなく、さりとて負債を圧縮したい再生機構が投売りをするとは考えにくいようです。
そして(私たちにとっては悪夢ですが)、条件はあるものの、既存球団への売却という選択肢もないわけではなく、その場合にはロッテが候補になりうる、としています。
確かにこのシナリオは現実味があります。福岡ドームに毎試合多くのファンが詰め掛け、グッズの売れ行きも好調と思われるホークスですが、裏を返せば売り上げの伸びしろはそう多くない、と理解することも可能です。現時点での価格は高いのに、来季以降大幅な経営改善が見込めないとなると、誰も買収しようとは思わないでしょう。
そう考えますと、ホークスの売却はそう容易ではありません。むしろ、ネーミングライツの導入など、比較的安上がりで宣伝効果を得たい企業の希望にこたえる形の方が、より現実的かも知れません。
あるいは、地元企業の共同出資を仰ぐのも方法です。九州にホークスを完全取得できる企業があるは分かりませんが、かといってどの企業も全く資本拠出ができないとも考えられません。ですので、ダイエー本体が保有する株式を地元企業に数%ずつ売却する方が、1社に一括して売却するよりも成功する可能性はむしろ高いのではないでしょうか。
ただし(財務諸表が公開されていないため詳細は不明ですが)、現在のホークスが大きな債務を抱えていることは容易に想像できますし、そうなると出資をためらう企業も出るでしょう。その場合は、新会社を設立し、そちらの株を売却した上で、現在の(株)福岡ダイエーホークスは清算することにすれば、出資者の安心を得られるでしょう。
地元企業の共同出資や新会社設立と旧企業清算は、日ハムが北海道移転にあたって採った方法でもあります。ただし、ホークスの場合は元の親会社が完全に撤退することになりますし、日ハム新会社の時よりも売り出す株式の規模ははるかに大きくなります。
ですが、九州の経済規模は沖縄を除いても北海道の倍以上あります(2000年の生産ベースでの比較、内閣府統計による)。また九州発祥の在京、在阪企業を売却対象にすることもできます。もちろんその際には一括売却と違った努力が必要でしょうが、それを惜しまなければ決して不可能ではありません。
さらに、これは私の希望なのですが、株式売却の際には個人による取得も積極的に進めてほしいと思います。一口5万円(もちろん複数口購入可)で地元福岡や九州のファンを中心に出資を仰げば、応じる人は少なくないでしょう。そうすれば、まさに企業から市民まで、地元一丸となった球団が誕生するではありませんか!
こう考えますと、ホークスの問題は一般に言われるほど容易ではない反面、思っていたほど絶望的でもないようです。いわば、ピンチとチャンスが表裏になった特大のコインが降ってきた状態、と考えたほうがよさそうです。
ホークスはこのコインを生かすことができるか?それともなすすべなく押し潰されてしまうか?私なら、前者に賭けたいところです。
長くなりそうですので、自分なりにポイントと思うところだけ。
・ダイエー「再生」のために動いている人々が固執しているのは、ダイエーという企業ではなく、中内功という人物ではないか。
・その中内功が最高顧問を務めているローソンという企業名が、ダイエー再建絡みでまったく取り沙汰されるようすがないのが、そもそもおかしいのではないか。
・以前から、ダイエー再建に外資が名乗りを挙げると、なぜか真っ先にボツにされる傾向はなかったか。
・西友(西部鉄道グループ)で見事に大失敗し、「日本の流通業界はまったく読めない」てなことを言って撤退したウォルマートが、なぜダイエー自主再建の「有力スポンサー」と簡単に認められたりするのか。
・西武鉄道グループのいちばん偉い人の辞任は、やけにタイミングが良すぎないか。
・そもそも福岡ダイエーホークスの経営は、なぜ「ホークスタウン」の経営と一体化されて、どんな数字で情報開示をしても実態がわからないようにされているのか。
・そういう「東京ドームシティ」型経営を持ち込んだ高塚氏は、なぜやはり絶妙のタイミングで、あらかじめ詳細不明の「社内の倫理にもとる不祥事」で解任されており、それがどういう不祥事だったのかを、なぜマスコミが追及するようすがないのか。
そういう密室的な経営を好む企業が、個人株主を増やす方向に進むとは思えないのですが・・・
福岡ダイエーホークスという球団の話にしぼってみて、ある意味、救いなのか何なのかわからないのですが、地元の人たちは、球団存続のために資金調達活動なんてしなくていいんです。
福岡もしくは九州最大の「ホークス個人投資家」になりえる人物の筆頭が、中内功だから。
・・・ったく、その意味でも、とんでもないコインですね(ため息)
さて、いくつかご指摘をいただきましたので、特に気になる点について…
・ダイエー「再生」のために動いている人々が固執しているのは、ダイエーという企業ではなく、中内功という人物ではないか。
・その中内功が最高顧問を務めているローソンという企業名が、ダイエー再建絡みでまったく取り沙汰されるようすがないのが、そもそもおかしいのではないか。
以前から疑問に思っていたのですが、中内エ刀氏が第一線を退いて以来のダイエーとの関係はどうなっているのでしょうね?
一般的に報道されている限りでは、ダイエーへの氏の影響は排除できているそうですが、果たしてそうなのか、図りかねているところです。
・西友(西部鉄道グループ)で見事に大失敗し、「日本の流通業界はまったく読めない」てなことを言って撤退したウォルマートが、なぜダイエー自主再建の「有力スポンサー」と簡単に認められたりするのか。
これは私も思いました。西友を放ったらかしていつのまにダイエーの有力スポンサーになったのかと(笑)
おそらく外資のことですし、ウォルマート側は純粋な損得勘定で動いていると思われますが、他の外資に厳しい割になぜウォルマートだけには?と思ってしまいますね。
・西武鉄道グループのいちばん偉い人の辞任は、やけにタイミングが良すぎないか。
実は一番気になっているのはここなのです。なぜこの時期に?というのがどうしても気になるのです。
確かに、アテネも終わり、不祥事の善後策も取った後での発表というのは分かります。
ですが、なぜこの10月半ばに?というのがどうしても分かりませんので、お教えいただけるとありがたいです。
・そういう「東京ドームシティ」型経営を持ち込んだ高塚氏は、なぜやはり絶妙のタイミングで、あらかじめ詳細不明の「社内の倫理にもとる不祥事」で解任されており、それがどういう不祥事だったのかを、なぜマスコミが追及するようすがないのか。
そういえば、高塚氏が解任されたのはナベツネ長嶋写真が出回った辺りでしたね。http://blog.goo.ne.jp/ruppert_jones/e/a41e8d8239f379c023521c1f94bd47ca
しかも、高塚氏は最近ダイヤモンド社の社長も辞任されたようですが、これまたあまり扱いは大きくないですよね。
そもそも解任理由になった不祥事は以前から囁かれていたものでもありますし、最近になって取り沙汰されるというのも解せない話です。
いけない、ますます頭が混乱してきました…
>福岡ダイエーホークスという球団の話にしぼってみて、ある意味、救いなのか何なのかわからないのですが、地元の人たちは、球団存続のために資金調達活動なんてしなくていいんです。
福岡もしくは九州最大の「ホークス個人投資家」になりえる人物の筆頭が、中内功だから。
ホークスという球団が残るのであれば、それは成功といっていいのでしょうが…これは慶すべきなのでしょうか、弔すべきなのでしょうか?
中内一族のプレゼンスというのを知らないもので、この点お教えいただけるとありがたいです。
中内功について、いまだにいちばん客観的な名著だと言えるのは、この本だと思います。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4101316317/250-3896416-7749024
「あわせて買いたい」に入っている『巨怪伝』も読むと(買わなくても図書館にあると思います)、日本の野球ビジネスに絡んでいるのどういう人々なのか、どういう考え方で(いま現在も)動いているのか、なんとなくわかると思います。
堤義明について、いまだにいちばん核心をついているのは、この本。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4093942358/250-3896416-7749024
どれも、一種のサスペンスとして一気に読めますが、全部にどこか共通する、こう、科学で解明できない「呪い」みたいなものを、「そんな世界もあるのかー」と楽しめるか、現実として重く受け止めてしまうか、たぶん人は2つに分かれるんじゃないかと思います。
後者になっちゃった方のために、あるいは、そうなりそうで怖いから読書はイヤだという方のために、あらかじめ「日経新聞の経済記事だけでさっぱりわからないことが、しばらく産経新聞の記事を追っていると、ポンとわかることがある」という厄除けの呪文を、もれなくプレゼントしておきますね(笑)
ただ、おそらく私は「『そんな世界もあるのかー』と楽しめるか、現実として重く受け止めてしまうか」というのでは後者になりそうです。特に私は日経しか定期購読していませんので。
というわけで、厄除けの呪文もありがたく頂戴しておきますね(笑)