昨年8月に目前のところで乗車をあきらめざるを得なかった由利高原鉄道。以来半年での再挑戦である。天気だけが不安だったが、昼を過ぎてみるとようやく雪が止んだ!これなら除雪さえできていれば問題ない。
もとより、今回は時間の余裕がたっぷりある。安心して羽後本荘に向かった。
夏以来の訪問となる羽後本荘駅。当然だが、前回来た時とは光景が全然違う。寒い土地には寒い季節に来なければ、その土地を知ったことにはならないとあらためて実感する。
由利高原鉄道のディーゼルカー。開業以来更新されながら使われ続けている古株である。これに乗りたかったのだ。
側面のイラスト。
なぜソフトボールなのかは分からない。
さて、列車は1両のみ、10人ほどの乗客を乗せて出発。ほどなく市街地を抜け、おそらく水田地帯なのだろう、一面銀世界の中を走る。
進むにつれて左右から山なみが迫ってくるが、奥地という感じはまるでしてこない。一度トンネルを抜けて少し走ったところで、終点の矢島に着いた。
矢島駅。比較的最近新たに建てられた駅舎だ。
駅の看板も新しい。
中には宇宙戦艦ヤマトの展示がある。この辺の経緯もよく分からないが、とにかくヤマトのラッピング列車も走っている(当然クロネコではない)。
さて、由利高原鉄道は旧国鉄矢島線を引き継いだ第三セクター鉄道である。「旧JR」ではない。この種の鉄道では歴史がある方なのだ。
いずこも同じ沿線の人口流出・少子高齢化・自動車普及で、経営は決して楽ではないようだが、「アシストクラブ制度」を導入するなどして、収入の確保に努めている。
「アシストクラブ」はいくつかのランクがあり、最高ランクだと名誉駅長として委任状を各駅に掲示されるほか、吊り革に応援メッセージ付きで氏名が掲示されたり、枕木やレールのオーナーというのもあるらしい。
実際、ディーゼルカーを見ると個人や企業の名前が書かれていたし、矢島駅の中にも、例として吊り革が吊り下げられていた。
吊り革どころか名誉駅長ぐらい簡単になれそうにも思うのだが、そこまではしないらしい。
一瞬分からなかったが、「釣りバカ日誌」の主人公である。由利高原鉄道にはこちらのラッピング列車も走っているので納得……ではなかった、「釣りキチ三平」だ。大恥をかくところであった。
「由利高原鉄道を愛する人なら誰でも」というからには、地球人以外でも大歓迎。これ以上説得力のある吊り革を私は知らない。
折り返しまでの時間は例によって駅にいたのだが、売店のおばちゃんに声を掛けられた。そこからお茶を呼ばれて、しばらく話し込んだのだが、まぁこの人が楽しい。
聞けばイベントで大阪にも何度も来たことがあるぐらいで、流石に言葉は違うものの、それを除けば大阪にいてもおかしくないぐらいのキャラクターである。
で、話しているうちにお茶だけならまだしも、記念にかわいらしい栞までもらってしまった。こちらは1時間もいないというのに恐縮しきりである(が、態度には出さない)。
そうするうちに羽後本荘行の発車時間が近づいた。暇乞いをしてディーゼルカーに乗り込むと、なんと地元の中学生(?)をしたがえて、横断幕と手旗まで持ち出して登場!
何事かと思ったら、誰あろう我々に対しての見送りである。ローカル線の旅に出るようになって久しいが、ここまで盛大に見送ってもらえたのは初めてのことだ。
予期せぬ、いやできるわけがない展開にはもちろん驚いたが、その一方で、地元の子どもを動員しての見送りに、別の感慨を抱いたのも確かである。
地方の公共交通機関が維持できるかどうかは、地元の人々がその交通機関をどれだけ必要としているか、そして必要なものとして、どれだけ積極的に支えていけるかにかかっている。
早い話が、地域の足を守るために、地元の盛り上がりが必要なのだ。そして、盛り上がるのを待っているだけでは駄目で、盛り上げ役がいなければ始まらない。だからこそ、矢島駅のおばちゃんのような存在は貴重になる。
しかも、地元の子どもたちを巻き込むことができるというのは重要である。そうすれば、一部の世代だけが盛り上がって終わりではなく、地域の足を守ろうとする思いが継承される可能性が生まれるからだ。
旅するごとに衰退する地域社会を目の当たりにしてきた中で、今回はある種の光明を見た思いがした。こういう人がいる限りは、由利高原鉄道は大丈夫だろう。大げさではなく、私はそう直感した。
もとより、今回は時間の余裕がたっぷりある。安心して羽後本荘に向かった。
夏以来の訪問となる羽後本荘駅。当然だが、前回来た時とは光景が全然違う。寒い土地には寒い季節に来なければ、その土地を知ったことにはならないとあらためて実感する。
由利高原鉄道のディーゼルカー。開業以来更新されながら使われ続けている古株である。これに乗りたかったのだ。
側面のイラスト。
なぜソフトボールなのかは分からない。
さて、列車は1両のみ、10人ほどの乗客を乗せて出発。ほどなく市街地を抜け、おそらく水田地帯なのだろう、一面銀世界の中を走る。
進むにつれて左右から山なみが迫ってくるが、奥地という感じはまるでしてこない。一度トンネルを抜けて少し走ったところで、終点の矢島に着いた。
矢島駅。比較的最近新たに建てられた駅舎だ。
駅の看板も新しい。
中には宇宙戦艦ヤマトの展示がある。この辺の経緯もよく分からないが、とにかくヤマトのラッピング列車も走っている(当然クロネコではない)。
さて、由利高原鉄道は旧国鉄矢島線を引き継いだ第三セクター鉄道である。「旧JR」ではない。この種の鉄道では歴史がある方なのだ。
いずこも同じ沿線の人口流出・少子高齢化・自動車普及で、経営は決して楽ではないようだが、「アシストクラブ制度」を導入するなどして、収入の確保に努めている。
「アシストクラブ」はいくつかのランクがあり、最高ランクだと名誉駅長として委任状を各駅に掲示されるほか、吊り革に応援メッセージ付きで氏名が掲示されたり、枕木やレールのオーナーというのもあるらしい。
実際、ディーゼルカーを見ると個人や企業の名前が書かれていたし、矢島駅の中にも、例として吊り革が吊り下げられていた。
吊り革どころか名誉駅長ぐらい簡単になれそうにも思うのだが、そこまではしないらしい。
一瞬分からなかったが、「釣りバカ日誌」の主人公である。由利高原鉄道にはこちらのラッピング列車も走っているので納得……ではなかった、「釣りキチ三平」だ。大恥をかくところであった。
「由利高原鉄道を愛する人なら誰でも」というからには、地球人以外でも大歓迎。これ以上説得力のある吊り革を私は知らない。
折り返しまでの時間は例によって駅にいたのだが、売店のおばちゃんに声を掛けられた。そこからお茶を呼ばれて、しばらく話し込んだのだが、まぁこの人が楽しい。
聞けばイベントで大阪にも何度も来たことがあるぐらいで、流石に言葉は違うものの、それを除けば大阪にいてもおかしくないぐらいのキャラクターである。
で、話しているうちにお茶だけならまだしも、記念にかわいらしい栞までもらってしまった。こちらは1時間もいないというのに恐縮しきりである(が、態度には出さない)。
そうするうちに羽後本荘行の発車時間が近づいた。暇乞いをしてディーゼルカーに乗り込むと、なんと地元の中学生(?)をしたがえて、横断幕と手旗まで持ち出して登場!
何事かと思ったら、誰あろう我々に対しての見送りである。ローカル線の旅に出るようになって久しいが、ここまで盛大に見送ってもらえたのは初めてのことだ。
予期せぬ、いやできるわけがない展開にはもちろん驚いたが、その一方で、地元の子どもを動員しての見送りに、別の感慨を抱いたのも確かである。
地方の公共交通機関が維持できるかどうかは、地元の人々がその交通機関をどれだけ必要としているか、そして必要なものとして、どれだけ積極的に支えていけるかにかかっている。
早い話が、地域の足を守るために、地元の盛り上がりが必要なのだ。そして、盛り上がるのを待っているだけでは駄目で、盛り上げ役がいなければ始まらない。だからこそ、矢島駅のおばちゃんのような存在は貴重になる。
しかも、地元の子どもたちを巻き込むことができるというのは重要である。そうすれば、一部の世代だけが盛り上がって終わりではなく、地域の足を守ろうとする思いが継承される可能性が生まれるからだ。
旅するごとに衰退する地域社会を目の当たりにしてきた中で、今回はある種の光明を見た思いがした。こういう人がいる限りは、由利高原鉄道は大丈夫だろう。大げさではなく、私はそう直感した。
いや、なつかしい。
個人的に思い入れのある駅名もありますしw
詳細が分かれば、また是非遠征しましょう。
>『宇宙戦艦ヤマト号』
http://www.ybnet.jp/~yurirw/annai.htm
>これは版権を有する「東北新社」の植村伴次郎最高顧問が
>鳥海山ろく線沿線の旧由利町出身であり、特別のご厚意により
>無償で掲出の許可をいただいているものです。
ということのようです。
あの駅ですね(笑)
>>『宇宙戦艦ヤマト号』
ありゃ、完全に見落としてましたorz
しかし、つくづく「日本海」の廃止が惜しまれますね。便利だったのに……
こういう人貴重ですわ。
というのもローカル電車に限らず、バス便も廃止の嵐ですが、「市民にお伺い」ということで集会やると基本的に「いやいや頭数の為に出てきた地域ボス(正直バスなんかどうでもええ)」か「何でも反対オンブズマン、共産党、真宗坊主(こいつら基本的自己中でお互い仲悪い内ゲバばっかりして、市当局の思う壺)」しか出てこない。こういうのも出てこず、町内会長だけ出てきたなんて例もある。一般の現役世代は無関心。80過ぎても車運転するのは当然だから正直どうでもいい。そんな調子なんです。
ただ、無くなってからその価値に気づくことになることもままあるわけで……
ともあれ、一度会いに行ってみてはいかがかと。楽しいですよ(笑)