先日岩隈投手の動向についての記事を書いたときには、私自身も東北楽天への金銭トレードが濃厚という観測をしていました。ところが、今度は一転して岩隈投手を野球協約に則った正当なトレードで獲得したと主張、態度を硬化させてきました(サンスポ、スポニチより)。
私の記事をお読みいただければ、この主張が既定路線であることはご理解いただけると思います。また、それに対して選手会が(選手の権利保護を訴えるのであれば)行うべき反論もお分かりのことでしょう。
ですが、実は「野球協約に則った」という点もかなり怪しいのです。この点に関してはRROSEさんがすでに指摘されていますので、この記事は完全なネタパクリ後追いになってしまうのですが、まずはお付き合いください。
トレードには一定の手続きが必要です。野球協約第110条(PDFファイル)では、その手続きはこう定められています。
選手契約の譲渡が有効に成立するためには、譲り受け球団は選手契約譲渡契約書と譲り渡し球団の統一契約書を所属連盟会長に提出して、契約譲渡の承認を申請しなければならない。
前項の申請を受けた連盟会長は、その選手の譲り渡し球団の支配下登録選手抹消手続きを完了した後、譲り受け球団の支配下選手として登録し、これを公示する。
したがって、この手続きを経ない選手契約の譲渡、すなわちトレードは、当然有効に成立しない、ということになります。
これらの手続きのうち、1ファンでも簡単にチェックできる部分があります。もといた球団での登録抹消と、トレード先球団での支配下登録です。
実際の例を見てみましょう。今年のシーズン中に日ハムの隼人(中村隼人)投手と讀賣の河本投手とのトレードがありました。この場合、スポニチの記事にあります通り、6月4日に両選手が一旦支配下登録を抹消され、同じ日にトレード先球団で支配下登録を受けています。
では、岩隈投手の場合はどうでしょうか。トレードは11月に行われたので、同じくスポニチの11月の記事を見てみましょう。すると、岩隈投手どころか、バーン・パウエル両選手を除いて、バファローズの選手は誰1人支配下登録を抹消されていませんね。
それどころか、同じ両選手以外に、オリックスによる支配下登録を受けた選手の名前も全くありません。念のためパシフィック野球連盟の公示も見ましたが、支配下登録・抹消とも、影も形もありません。
こうなりますと、岩隈投手どころか、岩隈投手と一緒にブルーウェーブにトレードされたバファローズの全選手について、選手契約の譲渡が有効に成立するために必要な手続きがなされていないことにならないでしょうか?
さらに、大阪近鉄バファローズという球団が2004年11月30日に消滅した以上、2004年12月1日以降、バファローズの選手の支配下登録を抹消できる主体はどこにも存在しません。
このことから、次の結論が導き出されます。
「バーン・パウエル両選手を除き、岩隈投手を含む大阪近鉄バファローズの全選手のオリックス・ブルーウェーブへのトレードは有効に成立していない。
また、野球協約に則ったトレードは、譲り渡し球団たる大阪近鉄バファローズが消滅した以上、現時点ではもはや不可能である。」
オリックス・近鉄経営陣が正当なトレードを成立させたいのであれば、11月30日までにバファローズでの支配下登録を抹消させ、ブルーウェーブで支配下登録をするべきだったのです。
ですが、それを怠った以上、岩隈投手を野球協約に基づいて獲得したという小泉球団社長の主張は正当ではない、と考えるしかなさそうです。
ニッカンによれば、この点に関しては中村GMがコミッショナーに面会を求め、見解を仰ぐつもりだそうです。
法律家としての活動には確固たる評価を持つコミッショナーのことです。おそらくは今私がダラダラと述べた協約上の問題点をすべてスッ飛ばした明快な解釈や、「実は旅行中です」というほかにはないアンサーを出してくれるかも知れませんねorz
と、ここまで私なりの見解を述べてきたわけですが、実はこれにも問題がないではありません。
まず、ここではオリックスへのトレードについて述べてきましたが、この見解が正しければ、バファローズから東北楽天ゴールデンイーグルスへのトレードも無効になってしまいます。つまり、分配ドラフトの結果全てがおじゃんになってしまうのです。
また、ここで参照したパ・リーグの公式HPも厄介なシロモノなのです。何といいましても、
いまだにこんな誤植がほったらかしです
もっとも、ここまで来ると誤植ではないような気すらしてくるのですが( ̄▽ ̄;)
私の記事をお読みいただければ、この主張が既定路線であることはご理解いただけると思います。また、それに対して選手会が(選手の権利保護を訴えるのであれば)行うべき反論もお分かりのことでしょう。
ですが、実は「野球協約に則った」という点もかなり怪しいのです。この点に関してはRROSEさんがすでに指摘されていますので、この記事は完全な
トレードには一定の手続きが必要です。野球協約第110条(PDFファイル)では、その手続きはこう定められています。
選手契約の譲渡が有効に成立するためには、譲り受け球団は選手契約譲渡契約書と譲り渡し球団の統一契約書を所属連盟会長に提出して、契約譲渡の承認を申請しなければならない。
前項の申請を受けた連盟会長は、その選手の譲り渡し球団の支配下登録選手抹消手続きを完了した後、譲り受け球団の支配下選手として登録し、これを公示する。
したがって、この手続きを経ない選手契約の譲渡、すなわちトレードは、当然有効に成立しない、ということになります。
これらの手続きのうち、1ファンでも簡単にチェックできる部分があります。もといた球団での登録抹消と、トレード先球団での支配下登録です。
実際の例を見てみましょう。今年のシーズン中に日ハムの隼人(中村隼人)投手と讀賣の河本投手とのトレードがありました。この場合、スポニチの記事にあります通り、6月4日に両選手が一旦支配下登録を抹消され、同じ日にトレード先球団で支配下登録を受けています。
では、岩隈投手の場合はどうでしょうか。トレードは11月に行われたので、同じくスポニチの11月の記事を見てみましょう。すると、岩隈投手どころか、バーン・パウエル両選手を除いて、バファローズの選手は誰1人支配下登録を抹消されていませんね。
それどころか、同じ両選手以外に、オリックスによる支配下登録を受けた選手の名前も全くありません。念のためパシフィック野球連盟の公示も見ましたが、支配下登録・抹消とも、影も形もありません。
こうなりますと、岩隈投手どころか、岩隈投手と一緒にブルーウェーブにトレードされたバファローズの全選手について、選手契約の譲渡が有効に成立するために必要な手続きがなされていないことにならないでしょうか?
さらに、大阪近鉄バファローズという球団が2004年11月30日に消滅した以上、2004年12月1日以降、バファローズの選手の支配下登録を抹消できる主体はどこにも存在しません。
このことから、次の結論が導き出されます。
「バーン・パウエル両選手を除き、岩隈投手を含む大阪近鉄バファローズの全選手のオリックス・ブルーウェーブへのトレードは有効に成立していない。
また、野球協約に則ったトレードは、譲り渡し球団たる大阪近鉄バファローズが消滅した以上、現時点ではもはや不可能である。」
オリックス・近鉄経営陣が正当なトレードを成立させたいのであれば、11月30日までにバファローズでの支配下登録を抹消させ、ブルーウェーブで支配下登録をするべきだったのです。
ですが、それを怠った以上、岩隈投手を野球協約に基づいて獲得したという小泉球団社長の主張は正当ではない、と考えるしかなさそうです。
ニッカンによれば、この点に関しては中村GMがコミッショナーに面会を求め、見解を仰ぐつもりだそうです。
法律家としての活動には確固たる評価を持つコミッショナーのことです。おそらくは今私がダラダラと述べた協約上の問題点をすべてスッ飛ばした明快な解釈や、「実は旅行中です」というほかにはないアンサーを出してくれるかも知れませんねorz
と、ここまで私なりの見解を述べてきたわけですが、実はこれにも問題がないではありません。
まず、ここではオリックスへのトレードについて述べてきましたが、この見解が正しければ、バファローズから東北楽天ゴールデンイーグルスへのトレードも無効になってしまいます。つまり、分配ドラフトの結果全てがおじゃんになってしまうのです。
また、ここで参照したパ・リーグの公式HPも厄介なシロモノなのです。何といいましても、
いまだにこんな誤植がほったらかしです
もっとも、ここまで来ると誤植ではないような気すらしてくるのですが( ̄▽ ̄;)
にてトレードの公示がされているのですが?
PBLは通常のケースではない(シーズン中ではない)ので、記載していないだけのように見えますが…。
私が問題としているのは、このトレード公示自体の正当性が怪しいということです。
通常の手続きなら、記事であげたスポニチの公示まとめなどに支配下登録抹消・新規登録の記録がはっきり残るわけですから。
このトレードだけ特別に報道が扱わないという理由などありませんからね。
「外木場義郎氏」の自由契約手続きが今年行われたりという問題と変わらないのかも知れません。
分配ドラフトに関する移籍の運用規定が公表されていないことが最大の問題のような気がしてきました。
近鉄から営業譲渡を受けるオリックスへの「登録変更」なら、この法律に抵触すると判断されてもおかしくありませんよね。
それに、そういうことができるなら、はじめからトレード手続きを行う必要などどこにもありません。堂々と「登録を変更しました」と言えばいいのですから。
また、来年NPBに加盟する東北楽天と既に加盟しているオリックスを同列に扱うこともできないでしょう。
NPBに加盟済み球団なら、当然その手続きに従うことが求められます。もし「協約に則った通常のトレード」を行いたいのであれば。
それに、来年2月1日には大阪近鉄バファローズは存在していません。なのに支配下登録抹消をさせるのも無理があるような気がします。
なお補足しておけば、外木場氏の自由契約手続きは協約に基づく正当な手続きです。したがって、協約上問題のあるBu→BWのトレードと同列扱いすることには疑問を感じます。
すみません、さらに補足です。
>分配ドラフトに関する移籍の運用規定が公表されていないことが最大の問題のような気がしてきました。
というよりも、分配ドラフトの結果に基づくトレードを通常の契約譲渡手続きで行おうとしたところ、瑕疵が発生したというところに、問題の本質があるような気がします。
小泉球団社長はあくまでも「協約に基づく通常のトレード」を行ったと主張しているわけです。特殊なトレードなら、そう言うはずです(それをいえない事情がおそらくあるのでしょうが)。
いずれにせよ、選手会も含めて問題を岩隈投手1人のことに矮小化して不透明なまま「解決」しようとするのには、疑問を感じずにはいられません。
言い換えれば、名前を移しただけで、契約権も保有権も移ったことになりますね。
NPBさん、どんなに乱暴に言っても勝ち目がないほど乱暴です。
球界の誇るおじゅっさん兼煩悩王の根来さんは、除夜の鐘にそなえて、108回「電車の中で女性を見て痴漢したくなる」ノルマを達成せなあかんので、ものすごくお忙しいはずです(笑)
おっしゃる通り、公示されたからといってその過程に正当性が認められる、という論理は成り立たないでしょうね。
もしそれが成立するとしたら、もう協約の意味はありません。なくして好き放題やればいいだけの話です。
>球界の誇るおじゅっさん兼煩悩王の根来さんは、除夜の鐘にそなえて、108回「電車の中で女性を見て痴漢したくなる」ノルマを達成せなあかんので、ものすごくお忙しいはずです(笑)
そっちで忙しかったんですねΣ( ̄□ ̄;)
もっとも、NPBが自分に都合の悪いことを言うとも考えにくいですし、11月に支配下登録の公示が出ていないことは覆りませんので、お話を伺ったとしても何も申し上げようがないのですが(苦笑)
今日は実行委があり、経理しかいないので、明日電話してください、ということです。
スポニチが掲載していないだけの可能性もありますからね。まあ、手順を確認するということです。結果的に間違った指摘をあげている可能性もありますのでね。