NPBと選手会との間でプロ野球界が抱える問題点を話し合う「プロ野球構造改革協議会」の準備委員会が今日の午後開かれました。
この記事を書いている時点で会議の結果に関して伝えているのは時事通信と共同通信の記事くらいですが、これによれば、会議では具体的な改革案にまでは踏み込めなかったものの、それらについては小委員会を設置、問題点を洗い出し、改善策を検討することに決まったそうです。また、この小委員会は今月25日以降月2回開かれる予定とのことです。
この会議は9月の労使交渉妥結の際に締結された合意書に基づいて開催が決まったものです。合意書やそれに関する私の考えはスト妥結時に書いたこちらの記事でまとめておりますので、ご関心のある方はお読みいただければ幸いです。
合意事項に盛り込まれているドラフト改革、エクスパンション・ドラフト制度の導入、選手年俸の減額制度の緩和は、どれをとっても重要な問題です。そうであるからこそ、多くの方々がブログやサイトで議論を展開しておられるわけです。この他にも放映権料やFA権の問題など、この議題の候補には事欠きません。
ですが、ここでどうしても疑問に感じてしまうことがあります。それは、「プロ野球のあるべき『構造』そのものについて、NPBと選手会両者の間でどれほど話し合われているのだろうか?」ということです。
先ほど列挙したドラフト等のテーマは現在のプロ野球の構造の抱える問題の表れであり、その構造問題こそを改めなければならないということは、NPB・選手会のみならず多くのファンの方々も同意するところでしょう。でなければ、そもそも「構造改革」協議会などというものは必要ないのですから。
ですが、プロ野球の構造の中で何がどう問題であり、そしてこれからどのような構造に変えていくべきかについてのコンセンサスがなければ、制度をいじったところで問題は解決しません。
いや、ことによっては問題はむしろ悪化すること考えられます。「ハムぞーの『職業野球研究所』」さんに寄せられた1通の手紙において論証されている通り、ドラフト問題1つ取っても、前提となる構造改革ぬきにウェーバー性を導入すると、球界の衰退を招くことすらあり得るのです。
(この手紙はプロ野球の改革を考える上で必読と言うべきものです。皆さんもぜひ一度お読みください。)
それだけに、「構造改革」を掲げる会議であるのならば、少なくとも現在の讀賣依存、球団親会社依存という状態を改めるべきか否か、また改めるのならばどう改めるのかくらいは、NPBと選手会との間で議論した上で意見を共有できるようにするべきでしょう。
というのは、この点に関する認識が異なれば、採るべき解決策も異なるからです。例えば、讀賣戦の放映権料への依存を改める必要がないと考えるのなら、リーグを統一し、讀賣戦で維持可能な範囲まで球団数を減らすべきだという論理も生じ得ます。逆に讀賣依存からの脱却を図るのであれば、球団数減少と1リーグ化は本質的な問題解決とはほとんど関係がなくなります。
(もうお分かりの方も多いでしょうが、私は後者の考え方を採っています。といいますのは、讀賣戦の価値下落が視聴率低下という形で明らかになっている以上、讀賣戦の放映権料に依存する構造が持続可能だとはとても思えないからです)
つまり、プロ野球の構造をどうしたいかによって、必要な対策は大きく違ってくるのです。その点を考えずに様々な制度改革を進めることがどれほど危険かを見事に示してくれたのが、先ほどご紹介したハムぞー所長へのお手紙なのです。
最初に書きました通り、今後議論の場は小委員会に移るようです。もちろんここで具体的な成果を挙げることも必要ですが、その前に到底考えが一致しているとは思えないプロ野球のあるべき姿について、お互いの意見を交換することも必要ではないでしょうか。
【11/16追記】
今朝の報道を見ますと、昨日の会議では混乱する場面もあったようです。というのも、NPB側からは12球団の代表者が出席したのに対し、選手会側からは選手5人と松原事務局長が出席したため、12球団の選手の出席を求めるNPB側と、それを「物理的に不可能」とした上で迅速な議論を主張した選手会側とで対立があったためのようです。
この点に関してはどちらの言い分にも一理あると思いますが、NPB側の代表者は午前中に実行委員会があったために出席しやすかった一方で、選手は秋季練習真っただ中ということで、条件に差があったことを見落としてはなりません。
ただ、何より問われるべきは出席者についてなぜ事前に両者ですり合わせておかなかったのかということでしょう。この分では、今後の会議も難航する場面が多くなりそうです。
この記事を書いている時点で会議の結果に関して伝えているのは時事通信と共同通信の記事くらいですが、これによれば、会議では具体的な改革案にまでは踏み込めなかったものの、それらについては小委員会を設置、問題点を洗い出し、改善策を検討することに決まったそうです。また、この小委員会は今月25日以降月2回開かれる予定とのことです。
この会議は9月の労使交渉妥結の際に締結された合意書に基づいて開催が決まったものです。合意書やそれに関する私の考えはスト妥結時に書いたこちらの記事でまとめておりますので、ご関心のある方はお読みいただければ幸いです。
合意事項に盛り込まれているドラフト改革、エクスパンション・ドラフト制度の導入、選手年俸の減額制度の緩和は、どれをとっても重要な問題です。そうであるからこそ、多くの方々がブログやサイトで議論を展開しておられるわけです。この他にも放映権料やFA権の問題など、この議題の候補には事欠きません。
ですが、ここでどうしても疑問に感じてしまうことがあります。それは、「プロ野球のあるべき『構造』そのものについて、NPBと選手会両者の間でどれほど話し合われているのだろうか?」ということです。
先ほど列挙したドラフト等のテーマは現在のプロ野球の構造の抱える問題の表れであり、その構造問題こそを改めなければならないということは、NPB・選手会のみならず多くのファンの方々も同意するところでしょう。でなければ、そもそも「構造改革」協議会などというものは必要ないのですから。
ですが、プロ野球の構造の中で何がどう問題であり、そしてこれからどのような構造に変えていくべきかについてのコンセンサスがなければ、制度をいじったところで問題は解決しません。
いや、ことによっては問題はむしろ悪化すること考えられます。「ハムぞーの『職業野球研究所』」さんに寄せられた1通の手紙において論証されている通り、ドラフト問題1つ取っても、前提となる構造改革ぬきにウェーバー性を導入すると、球界の衰退を招くことすらあり得るのです。
(この手紙はプロ野球の改革を考える上で必読と言うべきものです。皆さんもぜひ一度お読みください。)
それだけに、「構造改革」を掲げる会議であるのならば、少なくとも現在の讀賣依存、球団親会社依存という状態を改めるべきか否か、また改めるのならばどう改めるのかくらいは、NPBと選手会との間で議論した上で意見を共有できるようにするべきでしょう。
というのは、この点に関する認識が異なれば、採るべき解決策も異なるからです。例えば、讀賣戦の放映権料への依存を改める必要がないと考えるのなら、リーグを統一し、讀賣戦で維持可能な範囲まで球団数を減らすべきだという論理も生じ得ます。逆に讀賣依存からの脱却を図るのであれば、球団数減少と1リーグ化は本質的な問題解決とはほとんど関係がなくなります。
(もうお分かりの方も多いでしょうが、私は後者の考え方を採っています。といいますのは、讀賣戦の価値下落が視聴率低下という形で明らかになっている以上、讀賣戦の放映権料に依存する構造が持続可能だとはとても思えないからです)
つまり、プロ野球の構造をどうしたいかによって、必要な対策は大きく違ってくるのです。その点を考えずに様々な制度改革を進めることがどれほど危険かを見事に示してくれたのが、先ほどご紹介したハムぞー所長へのお手紙なのです。
最初に書きました通り、今後議論の場は小委員会に移るようです。もちろんここで具体的な成果を挙げることも必要ですが、その前に到底考えが一致しているとは思えないプロ野球のあるべき姿について、お互いの意見を交換することも必要ではないでしょうか。
【11/16追記】
今朝の報道を見ますと、昨日の会議では混乱する場面もあったようです。というのも、NPB側からは12球団の代表者が出席したのに対し、選手会側からは選手5人と松原事務局長が出席したため、12球団の選手の出席を求めるNPB側と、それを「物理的に不可能」とした上で迅速な議論を主張した選手会側とで対立があったためのようです。
この点に関してはどちらの言い分にも一理あると思いますが、NPB側の代表者は午前中に実行委員会があったために出席しやすかった一方で、選手は秋季練習真っただ中ということで、条件に差があったことを見落としてはなりません。
ただ、何より問われるべきは出席者についてなぜ事前に両者ですり合わせておかなかったのかということでしょう。この分では、今後の会議も難航する場面が多くなりそうです。
「巨人依存体制」からの脱却については念頭においていたのですが、その分析について非常に有意義な示唆であったと思われます。
「マリンブルーの風」さんに、宮内氏のインタビューが乗っております。そこから読み取れるのは、彼は努力しているのは認めますが、やはり超巨人依存体制でした。プロ野球も企業だから、道楽赤字覚悟でやれとは申しませんが、
その先の発想や理念がなかったです。ストを終えても一歩も成長が無いのが残念です。
経営の原点は「顧客に聞け」ではないでしょうか?
浜村淳はいつも言うてます。「商売は1に真心、2にアイデア。」
「マリンブルーの風」は私も読んでみました。宮内氏が怒り心頭なのは仕方がないとして、将来の顧客拡大の可能性を自ら摘んでしまったのは大失態でしょう。
本人はタニマチ経営ではよくないと再三言っておられるようですが、球団の収入源を細らせることで、その自らをタニマチへの道に追いやっているのは皮肉なものです。
ただ、研究所で頂いたコメントとも共通しますが、事ここに至った以上、徹底したヒール化でレフトスタンドの客を集めるという方法はあり得るかも知れませんね。
もっとも、それでは選手がたまったものではないですが…
今のプロ野球、いや野球そのものに危機感を持っている方々が多い今こそ、球界のあるべき姿を真摯に話し合い、必要な改革を断行する好機であると私も思います。
それだけに、NPBと選手会の両者には、長期的な展望を見据えた議論を希望してやみません。