往診先の患者さん(84歳)
お子さん2人を立派な社会人にまで育て上げたことが誇りであり自慢。
孫も大きくなり、やることは全てやった・・・とひと安心した矢先、80年間生きてきて一度も大きな病気やケガをしたことがなかった身体に異変が現れ始めた。
最初は動きが鈍くなってにたということだが年齢的なものとしか考えていなかった。
しかし80歳を過ぎてから、これまで一度も感じたことのない程の痛みが急に襲い始め歩くのが困難になってきた。
家族の勧めもあり、これまで縁がなかった病院に連れていかれた。
告げられた病名は脊柱管狭窄症。
背骨が狭くなり脊髄が圧迫されて痛みやシビレが出てくるものだと教えてもらった。
それから薬を毎日飲むようになり、電気をあてたりマッサージしたり腰を引っ張ったりする治療が始まった。
しかし痛みは一向に退かない。
診断から3年経った頃に歩行器を使わないと歩けなくなった。
そして4年目には布団から起き上がるのに10分かかるようになった。
病院にも行けなくなった。
近所の友達から心配され往診に来てくれるからということで当院を紹介され往診開始。
家族の方が出迎えてくれて患者さんの部屋に入ると動けなくなった患者さんが寝ていた。
上記の話を聞いて治療内容を説明し治療開始。
うつ伏せになるのに時間がかかるが、こちらが手を貸すと余計に痛みが出るので自力でやってもらう。
うつ伏せになるまで約10分。
腰部は柔らかく硬結が見当たらない。
しかしよく診ると感触がおかしなところが散見される。
治療開始から最初の3回は特に変化が現れない。
本日4回目でようやく変化が現れ始めた。
うつ伏せになるのに10分近くかかっていたのが、痛いながらも80秒で出来るようになっていた。
動きに変化が現れ始めているが本人に自覚はないように見えた。
説明すると
【あらそういやそうね(^_^;)】
と気づいてくださった。
痛みは10→7に減っているが、それでも長年身体に溜まった疲労はそうそう簡単には抜けてくれない。
ましてやこれまで病気やケガをしたことがなかったせいか痛みに対する免疫もない。
つまり身体が(頭も)対処の仕方を知らないわけだ。
80年も認識したことがなかったわけだから仕方ないといえば仕方がない。
散見された違和感も減って痛みは減り始めているし動きも出てきているので、経過を追っていこうと思う。
病気やケガはしないに越したことはないが、経験を積むためにも少しはしとかないといけないのかな?と考えさせられる患者さんでした。
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