荒木と平ちゃんがそちらに目を向けると、十人…いや、三十人もの御陵高校の生徒達が集まっていた。
新八「おいおい……なんでこんなに人数が増えやがった!?」
???「よう先生。遊びにきてやったぜ?」
新八っつぁんの問いに答える二つの影。
原田「不知火に天霧……!?なんでお前らがここにいる!」
不知火「なんでってなァ……仕事だよ仕事。面白ぇことやるってんで見物しにきたってことさ。」
相変わらず軽い口調のまま、不知火は合図をするようにひらひらと片手を上げた。すると御陵高校の生徒達が一斉に先生達の飛び掛かった。原田先生と新八っつぁんは次々に生徒を倒していく。その様子を見ながら、面白そうに不知火さんが言う。
不知火「生憎、うちの親父と伊東のバカは顔見知りらしくてなぁ。」
そういえば、不知火はヤクザの息子らしい。伊東の手助けをするように言われて来たのだろうか。
そこに天霧が口を開いた。
天霧「この戦略差、戦うのはお勧めしませんね。……一つ提案があるのですが。」
原田「……あん?」
天霧「そこにいるマネージャーの二人を、こちらに預けるつもりはありませんか?そうしていただければ先生方を見逃しましょう。」原田「何頭のおかしい事言ってやがる……お前らが狙ってるのは加奈だろうが!」原田先生は長い鉄パイプを槍の様に振り回しながら天霧を睨む。
不知火「そいつらを囮にすりゃ、加奈ちゃんも大人しく風間のところに来るんじゃねぇか?」
釘バットを振り回していた新八っつぁんが一時構えを取る。
新八「だとよ左之。どうする?」
原田「聞くまでもないだろ。奴らの戯言なんて、信用できるか。……平助の冗談のほうが可愛げがあるぜ。」
互いに笑いあった二人が、一瞬だけ、平ちゃんに笑顔を送った。
平助「………!」
そして再び、戦いが始まった。
誰が敵なのか、誰に見方すればいいのか、平ちゃんの視線には迷いがうかがえた。ぽつんと孤立した平ちゃんの姿が、まるで彼の心を表しているみたいで悲しくて、荒木は必死に平ちゃんに話しかけた。
荒木「平ちゃん、やっぱ戻ってきて!!荒木も、また一緒におりたいって思うから……!」
平助「オレは……今更、今更戻れないって……伊東さんにつくのが将来のためになる…そう思って、こっちの道を選んで……ここまできちまったんだ。」
荒木「今も……今も平ちゃんはそう思ってんの?」
平助「……わかんねぇ。ただ、今回の伊東さんの考えはひでえって思った。」
そして平ちゃんは笑う。その笑顔は八割が自嘲でできていて、すごく悲しい笑顔だった。平ちゃんを苦しめているのが荒木の言葉だと思うと、胸がぐっと苦しくなる…けど…。
平助「……やっぱ、自分の道って、人についてくだけじゃ駄目だったのかもな……最近はさ、いつも薄桜高校にいた時の事ばっか考えてたよ。」
荒木「荒木も……平ちゃんのこと、ずっと考えとった。薄桜高校のみんなもそうやと思う。」
平助「……そっか……。」
そして平ちゃんは透明な笑みを浮かべる。
平助「戻りてぇな…。でも、もし戻ったって、今のオレは、なにを頑張ればいいのかわからねぇけどさ。」
荒木「……なにを……?」
そのとき、御陵高校の生徒の一人が平ちゃんに声を上げる。
生徒三「なにしてんだ藤堂!早く参戦しろ!」
そして……。
平助「っ!」
平ちゃんは生徒の頭に持っていたバットを叩きこんだ。平ちゃんは、自分のしたことが信じられない、みたいな顔で、自分の手を見つめてる。
そして、自分の足元に倒れこんだ生徒へ呟く。
平助「……ごめんな。オレ、なんとなくで、ずっとあの人についてきたけど……」
それに気付いた他の生徒達が平ちゃんに寄ってくる。平ちゃんは、彼らから荒木をかばいながら前に出た。
平助「だけど、今この時はどうでもいい。バンドも、剣道も関係ない。」
その声はゆっくりと、自分の中の迷いをひとつずつ振り捨てていくように響く。
そして、向かってくる生徒を殴りながら、一瞬だけ振り向く。
まだ少しぎこちないけど、その晴れやかな笑顔は、紛れもなく、いつもの平ちゃんだった。
平助「オレが守ってやるよ。お前を狙う全ての敵から、オレがお前を守ってやる。」
その言葉と同時に、平ちゃんは迫り来る生徒に向き直りーー戦いが始まった。
……もともと強いとは知ってるけど、今日の三人の戦いぶりは嵐みたいだった。
だがそんな中、揺る義もしない天霧の声が、響き渡った。
天霧「単身私に挑んでくるとは…勇気だけは褒めておきましょう。」
平助「あいにくこっちは人手不足でね。嫌でもオレに付き合ってもらうぜ!」
バットさえ跳ねのける天霧の拳に、どちらかというと小柄な平ちゃんが押し戻された。そこを狙って他の生徒達が平ちゃんの背後を狙う。
荒木「平ちゃん後ろ!!」
新八「おいおい……なんでこんなに人数が増えやがった!?」
???「よう先生。遊びにきてやったぜ?」
新八っつぁんの問いに答える二つの影。
原田「不知火に天霧……!?なんでお前らがここにいる!」
不知火「なんでってなァ……仕事だよ仕事。面白ぇことやるってんで見物しにきたってことさ。」
相変わらず軽い口調のまま、不知火は合図をするようにひらひらと片手を上げた。すると御陵高校の生徒達が一斉に先生達の飛び掛かった。原田先生と新八っつぁんは次々に生徒を倒していく。その様子を見ながら、面白そうに不知火さんが言う。
不知火「生憎、うちの親父と伊東のバカは顔見知りらしくてなぁ。」
そういえば、不知火はヤクザの息子らしい。伊東の手助けをするように言われて来たのだろうか。
そこに天霧が口を開いた。
天霧「この戦略差、戦うのはお勧めしませんね。……一つ提案があるのですが。」
原田「……あん?」
天霧「そこにいるマネージャーの二人を、こちらに預けるつもりはありませんか?そうしていただければ先生方を見逃しましょう。」原田「何頭のおかしい事言ってやがる……お前らが狙ってるのは加奈だろうが!」原田先生は長い鉄パイプを槍の様に振り回しながら天霧を睨む。
不知火「そいつらを囮にすりゃ、加奈ちゃんも大人しく風間のところに来るんじゃねぇか?」
釘バットを振り回していた新八っつぁんが一時構えを取る。
新八「だとよ左之。どうする?」
原田「聞くまでもないだろ。奴らの戯言なんて、信用できるか。……平助の冗談のほうが可愛げがあるぜ。」
互いに笑いあった二人が、一瞬だけ、平ちゃんに笑顔を送った。
平助「………!」
そして再び、戦いが始まった。
誰が敵なのか、誰に見方すればいいのか、平ちゃんの視線には迷いがうかがえた。ぽつんと孤立した平ちゃんの姿が、まるで彼の心を表しているみたいで悲しくて、荒木は必死に平ちゃんに話しかけた。
荒木「平ちゃん、やっぱ戻ってきて!!荒木も、また一緒におりたいって思うから……!」
平助「オレは……今更、今更戻れないって……伊東さんにつくのが将来のためになる…そう思って、こっちの道を選んで……ここまできちまったんだ。」
荒木「今も……今も平ちゃんはそう思ってんの?」
平助「……わかんねぇ。ただ、今回の伊東さんの考えはひでえって思った。」
そして平ちゃんは笑う。その笑顔は八割が自嘲でできていて、すごく悲しい笑顔だった。平ちゃんを苦しめているのが荒木の言葉だと思うと、胸がぐっと苦しくなる…けど…。
平助「……やっぱ、自分の道って、人についてくだけじゃ駄目だったのかもな……最近はさ、いつも薄桜高校にいた時の事ばっか考えてたよ。」
荒木「荒木も……平ちゃんのこと、ずっと考えとった。薄桜高校のみんなもそうやと思う。」
平助「……そっか……。」
そして平ちゃんは透明な笑みを浮かべる。
平助「戻りてぇな…。でも、もし戻ったって、今のオレは、なにを頑張ればいいのかわからねぇけどさ。」
荒木「……なにを……?」
そのとき、御陵高校の生徒の一人が平ちゃんに声を上げる。
生徒三「なにしてんだ藤堂!早く参戦しろ!」
そして……。
平助「っ!」
平ちゃんは生徒の頭に持っていたバットを叩きこんだ。平ちゃんは、自分のしたことが信じられない、みたいな顔で、自分の手を見つめてる。
そして、自分の足元に倒れこんだ生徒へ呟く。
平助「……ごめんな。オレ、なんとなくで、ずっとあの人についてきたけど……」
それに気付いた他の生徒達が平ちゃんに寄ってくる。平ちゃんは、彼らから荒木をかばいながら前に出た。
平助「だけど、今この時はどうでもいい。バンドも、剣道も関係ない。」
その声はゆっくりと、自分の中の迷いをひとつずつ振り捨てていくように響く。
そして、向かってくる生徒を殴りながら、一瞬だけ振り向く。
まだ少しぎこちないけど、その晴れやかな笑顔は、紛れもなく、いつもの平ちゃんだった。
平助「オレが守ってやるよ。お前を狙う全ての敵から、オレがお前を守ってやる。」
その言葉と同時に、平ちゃんは迫り来る生徒に向き直りーー戦いが始まった。
……もともと強いとは知ってるけど、今日の三人の戦いぶりは嵐みたいだった。
だがそんな中、揺る義もしない天霧の声が、響き渡った。
天霧「単身私に挑んでくるとは…勇気だけは褒めておきましょう。」
平助「あいにくこっちは人手不足でね。嫌でもオレに付き合ってもらうぜ!」
バットさえ跳ねのける天霧の拳に、どちらかというと小柄な平ちゃんが押し戻された。そこを狙って他の生徒達が平ちゃんの背後を狙う。
荒木「平ちゃん後ろ!!」