荒木妄想日記

荒木の妄想をしたためる為だけに開設しました。

2010-12-30 11:15:11

2010-12-30 11:15:11 | SS~L荒木の妄想Ver
そっちを心配するあまり、気付いた時には一人の生徒が荒木に迫っていた。
平助「っ!あぶねえ!」
荒木が何かできる訳でもなく…殴られる……!

ボコッ

荒木「あっ……れ?」
荒木が正面に目を向けた時、迫ってきていた生徒は気絶していた。飛んできたバットが後頭部に命中したのだ。
荒木は平ちゃんに視線を投げる。
……彼は笑っていた。
自らのバットを投げ放った姿勢のまま。
……平ちゃんは大馬鹿やん。自分の武器を荒木のために手放してまうとか。
天霧「見上げた度胸です。」
無手になった平ちゃんへと、天霧が拳を握る動きが悔しいぐらいゆっくりに見えた。
天霧「だが愚かだ。」
バットを手放した平ちゃんに、その一撃を避ける術はなく……
平助「……あ……がは……っ!」
荒木「えぇぇぇぇぇ!!!!」
荒木の悲鳴だけが、この場に響き渡った。
原田「平助!おい、平助っ!!」
原田先生と新八っつぁんが平ちゃんにかけよる。
御陵高校の生徒は全員、倒れている。
不知火「なんだ…もう皆やられちまったのか。面白くねえ。」
不知火が下らなさ気に帰っていく。その後を天霧が付いていく。

そして新八っつぁんが平ちゃんを抱き抱える。新八っつぁんの手の中で、平ちゃんは口元を赤く染めている。
平助「……はは、ドジっちまった……。」
原田先生が持っていたタオルで平ちゃんの口元を拭う。
原田「馬鹿、喋んな!やばい、傷が深すぎる……!」
新八「くそ!おい、平助!こんなとこで死ぬんじゃねぇよ!」
ーーしぬ?
荒木「いや、いややし、平ちゃん!!」
かたかた震えて、袖口で頬の血を拭う荒木に、平ちゃんは申し訳なさそうな瞳を見せた。
平助「……お前のこと、もっと守ってやりたかったのにな……、へへ、格好……わりぃ……。」
……なんで、なんでやねん。荒木なんて一発くらい殴られても平気やったのに…!
平助「…大…丈夫、心配……すんな……よ……。」

原田「おい、真美、救急車読んでくれ!!」
原田先生が、振り向いて真美たすに指示を出す。
原田「って、おい。真美のやつ、どこにいきやがった?」

2010-12-30 11:08:59

2010-12-30 11:08:59 | SS~L荒木の妄想Ver
荒木と平ちゃんがそちらに目を向けると、十人…いや、三十人もの御陵高校の生徒達が集まっていた。
新八「おいおい……なんでこんなに人数が増えやがった!?」
???「よう先生。遊びにきてやったぜ?」
新八っつぁんの問いに答える二つの影。
原田「不知火に天霧……!?なんでお前らがここにいる!」
不知火「なんでってなァ……仕事だよ仕事。面白ぇことやるってんで見物しにきたってことさ。」
相変わらず軽い口調のまま、不知火は合図をするようにひらひらと片手を上げた。すると御陵高校の生徒達が一斉に先生達の飛び掛かった。原田先生と新八っつぁんは次々に生徒を倒していく。その様子を見ながら、面白そうに不知火さんが言う。
不知火「生憎、うちの親父と伊東のバカは顔見知りらしくてなぁ。」
そういえば、不知火はヤクザの息子らしい。伊東の手助けをするように言われて来たのだろうか。
そこに天霧が口を開いた。
天霧「この戦略差、戦うのはお勧めしませんね。……一つ提案があるのですが。」
原田「……あん?」
天霧「そこにいるマネージャーの二人を、こちらに預けるつもりはありませんか?そうしていただければ先生方を見逃しましょう。」原田「何頭のおかしい事言ってやがる……お前らが狙ってるのは加奈だろうが!」原田先生は長い鉄パイプを槍の様に振り回しながら天霧を睨む。
不知火「そいつらを囮にすりゃ、加奈ちゃんも大人しく風間のところに来るんじゃねぇか?」
釘バットを振り回していた新八っつぁんが一時構えを取る。
新八「だとよ左之。どうする?」
原田「聞くまでもないだろ。奴らの戯言なんて、信用できるか。……平助の冗談のほうが可愛げがあるぜ。」
互いに笑いあった二人が、一瞬だけ、平ちゃんに笑顔を送った。
平助「………!」
そして再び、戦いが始まった。
誰が敵なのか、誰に見方すればいいのか、平ちゃんの視線には迷いがうかがえた。ぽつんと孤立した平ちゃんの姿が、まるで彼の心を表しているみたいで悲しくて、荒木は必死に平ちゃんに話しかけた。
荒木「平ちゃん、やっぱ戻ってきて!!荒木も、また一緒におりたいって思うから……!」
平助「オレは……今更、今更戻れないって……伊東さんにつくのが将来のためになる…そう思って、こっちの道を選んで……ここまできちまったんだ。」
荒木「今も……今も平ちゃんはそう思ってんの?」
平助「……わかんねぇ。ただ、今回の伊東さんの考えはひでえって思った。」
そして平ちゃんは笑う。その笑顔は八割が自嘲でできていて、すごく悲しい笑顔だった。平ちゃんを苦しめているのが荒木の言葉だと思うと、胸がぐっと苦しくなる…けど…。
平助「……やっぱ、自分の道って、人についてくだけじゃ駄目だったのかもな……最近はさ、いつも薄桜高校にいた時の事ばっか考えてたよ。」
荒木「荒木も……平ちゃんのこと、ずっと考えとった。薄桜高校のみんなもそうやと思う。」
平助「……そっか……。」
そして平ちゃんは透明な笑みを浮かべる。
平助「戻りてぇな…。でも、もし戻ったって、今のオレは、なにを頑張ればいいのかわからねぇけどさ。」
荒木「……なにを……?」
そのとき、御陵高校の生徒の一人が平ちゃんに声を上げる。
生徒三「なにしてんだ藤堂!早く参戦しろ!」
そして……。
平助「っ!」
平ちゃんは生徒の頭に持っていたバットを叩きこんだ。平ちゃんは、自分のしたことが信じられない、みたいな顔で、自分の手を見つめてる。
そして、自分の足元に倒れこんだ生徒へ呟く。
平助「……ごめんな。オレ、なんとなくで、ずっとあの人についてきたけど……」
それに気付いた他の生徒達が平ちゃんに寄ってくる。平ちゃんは、彼らから荒木をかばいながら前に出た。
平助「だけど、今この時はどうでもいい。バンドも、剣道も関係ない。」
その声はゆっくりと、自分の中の迷いをひとつずつ振り捨てていくように響く。
そして、向かってくる生徒を殴りながら、一瞬だけ振り向く。
まだ少しぎこちないけど、その晴れやかな笑顔は、紛れもなく、いつもの平ちゃんだった。
平助「オレが守ってやるよ。お前を狙う全ての敵から、オレがお前を守ってやる。」
その言葉と同時に、平ちゃんは迫り来る生徒に向き直りーー戦いが始まった。
……もともと強いとは知ってるけど、今日の三人の戦いぶりは嵐みたいだった。
だがそんな中、揺る義もしない天霧の声が、響き渡った。
天霧「単身私に挑んでくるとは…勇気だけは褒めておきましょう。」
平助「あいにくこっちは人手不足でね。嫌でもオレに付き合ってもらうぜ!」
バットさえ跳ねのける天霧の拳に、どちらかというと小柄な平ちゃんが押し戻された。そこを狙って他の生徒達が平ちゃんの背後を狙う。
荒木「平ちゃん後ろ!!」

2010-12-30 06:23:20

2010-12-30 06:23:20 | SS~L荒木の妄想Ver
そしてその晩……。

原田先生と新八っつぁん、そして荒木と真美たすは、御陵高校近くのファミレスにいた。
店の隅には十人程の男子高校生がたむろしている。その中には、平ちゃんの姿があった。
荒木は気になって、さっきからそっちをチラチラ見ている。
原田「おい荒木、あんまキョロキョロすんじゃねーよ。向こうの連中が気付いて伊東に連絡しちまったら作戦がおじゃんになっちまう。」
そう言われて荒木は原田先生の方を向いて一瞥する。
荒木「それは分かってますけど……その……グラサンと学ラン、いります?」
原田先生はなぜか背中に【魔虎徒】と刺繍され、腕にだんだら模様があしらわれた紫の学ランを羽織っていた。
原田「いや、昔の血が騒ぐっつーか…喧嘩する時はやっぱこのスタイルじゃねえとな。」
原田は嬉しそうに言いながら珈琲を啜った。
新八「こいつは昔、暴走族の頭張ってたからな。若い頃はよく一緒に暴れてたもんだぜ、なぁ左之?」
新八っつぁんはハンバーグセットのライスを口に掻き込みながら言った。
原田「おうよ、ファミレスじゃなかったら見せてやりてえんだが…このさらしの下には、とうじ敵対してた暴走族の頭に付けられた釘バットの傷が残ってんだぜぇ。」
原田先生が昼間、土方先生の指示を聞いた時に見せた嬉しそうな表情の訳が分かった。きっと、若い頃の記憶が蘇ったのだろう。
原田先生は急に真面目な表情になり、真美たすの方に向き直った。
原田「真美、すまねえな。入部早々、こんなことに巻き込んじまって。」
真美「いえ、大丈夫です。それに、私も平助くんに戻って来て欲しいですから。私が入部して部員の皆さんとどう接したらいいのか戸惑っていた時、よそよそしい呼び方すんなって言ってくれたんです。お前も部員の一員なんだしって。だから、私みんなと仲良くなれたのかも知れません。」
原田「そうか、じゃ、頼むな。」
原田先生はそう言って、真美たすの頭をポンとなでた。

その時だった。
店の隅に座っていた御陵高校の生徒が慌ただしく立ち上がった。
原田「俺たちの出番…だな。」
新八「待ってました!」
二人は勢いよく立ち上がると、彼らの後を追い掛ける。
私と真美たすも素早く会計を済ませ、店を後にする。

原田「まちやがれ!!」
原田先生の声に、男子生徒たちが振り返る。
男子一「お?なんだお前ら…。」
新八「俺たちは、薄桜高校教師、永倉と原田だ!!」
新八っつぁんが名乗りをあげながら生徒たちの前に回り込む。
男子二「なっなんでここに…。」
挟み撃ちされて生徒たちは戸惑っている。
その隙に荒木が平ちゃんの腕を掴み、団体から距離を取る。

平助「あら…き?何で、お前がここに!!」
驚く平ちゃんに荒木は説明する。
平助「マジかよ…伊東さんがそんな事を企んでたなんて…。確かに、御陵高校に来てから、伊東さん、あんまり部活に出なくて、バンドもほったらかしになってたし…でも、オレ…自分の決めた道だから、諦めちゃいけないって…。でも、まさかそんな…。」
俯いた平ちゃんの手を取った。
荒木「平ちゃん、戻って来て!みんな、平ちゃんにそうして欲しいって思ってんねん!!」
荒木の真剣な表情を見つめる平ちゃん…
平助「荒木…髪、伸び……。」
平ちゃんが何か言いかけたその時、向こうで喧嘩が始まったようだった。

2010-12-30 05:35:56

2010-12-30 05:35:56 | SS~L荒木の妄想Ver
全員「えー!?」
全員が驚嘆の声をあげる。
斎藤「御陵高校は、見た目こそ男子校の体をとっていますが、実は若い男子を集めゲイの店を開く計画を立てています。もうじき、近藤校長を校長の座から引きずり下ろし、この薄桜高校を御陵高校の兄弟校にして乗っ取ろうとしています。」
斎藤先輩が話し終わると、土方先生が話し始めた。
土方「そこで…今夜、伊東と近藤校長、そして俺の三人で食事をする予定になっている。その時、伊東にこっちの持っている情報を見せて、その汚らしい作戦を阻止しようと思ってる。」
斎藤「だか、伊東の周りには常に伊東を護衛する不良グループが付いています。人数で言っても十人はいると思われます。伊東が連絡をすれば、すぐに飛んでこれる範囲の場所で待機しています。」
付け加えた斎藤先輩の説明に、原田先生が笑みを作った。
原田「で、俺らがここに呼ばれたってことは……俺達はなにをすればいいんだ?」
まるで楽しい事を待ち受けているかのような話し方だった。
土方「もう察しはついてると思うが……原田、新八。お前達はその護衛のチンピラどもを見張ってて欲しいんだ。もし暴れだしたら死なねえ程度で手を出しても構わねえ。」
原田「了解!」
原田先生は愉快そうに膝を叩いた。たが新八っつぁんは浮かない顔で質問をした。
新八「でもよ、もし、そのチンピラの中に平助がいたら…。」
その問いに、土方先生は厳しい面持ちで答えた。
土方「歯向かうようなら、やれ。」
荒木「そんな!!」
荒木は土方先生に向かって叫んだ。
土方「話はそれだけだ。今夜、頼んだ。」
荒木「待って下さい!いくらなんでも平ちゃんまで…。」
荒木の声を背に、土方先生は部室を後にする。
荒木がしょぼくれた顔をしていると、
加奈「土方先生も平ちゃんを傷付けたい訳じゃないと思うよ。私が話をしてくるから、大丈夫、任せて。」
と加奈が私の肩をポンと叩いて土方先生のあとを追った。
二人の背中を見送ると、斎藤先輩が話し出した。
斎藤「今夜の護衛の連中の中には、平助もいる筈だ。もし、こちらに呼び戻すのであれば今夜が最後のチャンスになるだろう。」
それを聞くと、荒木は原田先生と新八っつぁんに向き直った。
荒木「私も……今日、一緒に行きます。平ちゃんを説得したいんです。」
新八「おぉ、もし乱闘騒ぎになったら、俺らの代わりに頼むぜ。」
原田「真美、お前にも来て欲しいんだが、いいか?何かあった時の為に、土方さんと連絡が取れるようにしときてえんだ。」
真美「はい、分かりました。」

2010-12-30 04:43:17

2010-12-30 04:43:17 | SS~L荒木の妄想Ver
真美たすが入部してきてから、私と加奈と真美たすの三人で剣道部と槍術部のマネージャーをしている。 剣道部と槍術部は道場も部室も半分ずつ使っていて、マネージャーも一緒。まとめて部員の洗濯をしたり飲み物を用意したりする。

今日も部室で洗濯物をたたみながらお喋りしていると、そこに思いもよらぬ人が姿を現した。

加奈「斎藤君???」
加奈の声に私と真美たすが振り返ると、そこには無表情の斎藤先輩が立っていた。
荒木「一くん?どうしたん?!」
真美「なんでですか?」
それぞれが驚きの言葉を口にしていると、彼の後ろから土方先生が顔を出した。
土方「落ち着け、てめーら。そう質問攻めにしたら訳を話そうにも喋る間がねえじゃねーか。」
土方先生の一喝に私たちは口を紡ぐ。すると、土方先生は静かに話し始めた。
土方「今からちと話がある。小林、原田と新八を呼んできてくれねぇか。」
真美「はい、わかりました。
真美たすが道場へ走って行く。
そして部室に来た原田先生と新八っつぁんが驚きの声をあげる。
原田「お前っ…。」
新八「さ、斎藤?」
土方「まぁ落ち着け。とりあえずそこに座ってくれ。」
そんな二人を落ち着かせ、土方先生が話を始める。
土方「斎藤は本日付で、御陵高校からこの薄桜高校へ転入してくる。」
土方先生の言葉に、その場にいた全員が驚きの表情を浮かべる。
原田「斎藤…お前が戻って来てくれるのは嬉しいんだけどよ…バンドは…もういいのか?」
新八「そぅだよ、お前確かバンドがしたいって伊東に付いてったんじゃ……。」
斎藤「俺は音楽がしたくてあの人に付いていったのではなく…土方先生の命を受け、間者として御陵高校に行っていたのです。」
土方先生の横で静かに正座していた斎藤先輩が答えた。
土方「今まで黙っていてすまなかったな。…いや、どうも伊東の野郎、何か企んでやがった様だからな。」
原田「そりゃ別に構わねえが…で、向こうに何か動きはあったのか?」
原田先生の問いに、土方先生が訝しげな顔をして答える。
土方「それがな…斎藤、説明してやれ。」
斎藤「はい。伊東初め御陵高校は、俺と平助、そしてここから転校していった複数の生徒以外全員が男子生徒。そして、その大半がゲイのようです。」