恐怖の破産激増、そのワケは
2010.07.06
今年に入り、破産企業が激増している。長引くデフレ不況で、経営再建を目指すのをあきらめ、会社をたたまざるを得なくなるところが増えているためだ。東京商工リサーチは「過去最悪だった昨年と同水準か、それを上回る可能性もある」と警戒している。
東京商工リサーチによると、1999年の破産件数は2221件だったが、2009年には過去最悪の1万90件を記録。この10年間で5倍近くに増えている。
今年は1~5月ですでに3988件に達し、過去最悪だった前年同期間(4164件)とほぼ同水準で推移している。
今年に入ってから破産した主な企業をみると、生徒の減少で大幅赤字に陥っていた英会話学校ジオス(東京)や、海外投資の失敗と経営不振が重なったコンデンサー製造のニッセイ電機(東京)がある。
また、世間の話題になったものとしては、元横綱・若乃花(本名・花田勝氏)が設立した、ちゃんこ料理店「Chanko Dining若」を全国展開していたドリームアーク(東京)も5月に破産。来店客の減少に歯止めがかからなかったのが響いた。
破産激増の背景には何があるのか。商工リサーチ情報本部経済研究室の関雅史課長が次のように解説する。
「1つは、企業が裁判所に破産を申請する際に納める破産予納金が(00年12月から)一律20万円に下がったことがある。それまでの予納金は最低でも70万円と高額で破産申請するにもできない中小零細企業が多かった。それが20万円になって以降、破産を選ぶ企業が増えている」
最大の要因は、やはり長引くデフレ不況だ。
「バブル経済が崩壊して以降、(破産を含む)年間の倒産件数は高止まりしている。デフレ不況による営業不振で、金融機関からの借入金を容易に返済できなくなっていることが大きい。昨年末に中小企業金融円滑化法が施行され、中小零細企業は借入金の返済を猶予してもらえるようになった。が、猶予してもらうだけで、資金繰りが厳しいことに変わりはなく、倒産を食い止めるような効果はない」(関氏)
このほか、スポンサーのもとで再建を目指す民事再生法や会社更生法を申請すると、「倒産」というレッテルを張られてしまうため、そのような事態はなんとか避けようとギリギリまで頑張ってしまう傾向がある。その結果、手遅れとなり、会社をたたまざるを得なくなるケースが増える。
菅直人政権が本気でデフレ脱却への道筋をつけない限り、日本から企業がどんどん姿を消していくことになる。
夕刊フジhttp://www.zakzak.co.jp/economy/company/news/20100706/cmp1007061632000-n2.htm