総選挙を振り返る
幸福実現党 何がしたかったのか
2009年09月08日 06:57
街頭演説を行う大川きょう子・前党首 8月25日
【PJニュース 2009年9月8日】今年5月25日宗教団体の幸福の科学を母体とする幸福実現党」が突如旗揚げして世間を驚かせた。この政党は新しい選択、つまり自民党、民主党以外の選択をコンセプトとし、消費税ゼロ、対北朝鮮への先制攻撃を含めた強硬策、GDP世界一などを訴え、ほとんどの小選挙区に候補者をたてるという布陣で総選挙に打って出たのだ。
候補者の顔ぶれ
幸福実現党は旗揚げ時の党首、饗庭直道(あえばじきどう)氏から1カ月後に突如「幸福の科学」教祖大川隆法氏の妻・大川きょう子氏(立候補はしなかった)へと交代し、総選挙公示前にも突如撤退するとか、大川隆法氏の立候補取りやめなどの情報がメデイアへ乱れ飛び、ドタバタぶりが露呈した。だが、18日の公示日には何とか立候補する事ができた。
立候補者は超タカ派議員が出馬する一部の小選挙区で立候補を取りやめたものの、337人という民主党を上回る候補者をたてた。ミュージシャンで元ザ・ブルーハーツの河口純之助氏や竹内まりやの妹の中岡陽子氏、漫画家のさとうふみや氏(金田一少年シリーズで有名)、他にも元自衛官が6人立候補したという。
また、元越前市議の北野光夫氏と元青梅市議の小鮒将人氏が、市議のいすを捨てて幸福実現党から立候補した。北野氏は越前市議会の副議長もしており自民党系市議のエースだったという。また小鮒氏は青梅市議で唯一の民主党所属市議で党職員の経験もあったというが今回の立候補で党を除名されたという。
政教分離と選挙実務をわかっていたのか
実は私は6月頃、幸福の科学の信者と思われるデリバリー用のスクーターを見て驚いた。なんと幸福実現党の縮小版のポスターをステッカーにして数カ所に張っていたのだ。これは公職選挙法に触れる恐れがある行為なのだが、「幸福の科学」が信者に対し公職選挙法の禁止行為の通達を出したという話は聞かない。
また政教分離に対しても大川隆法氏はHPで宗教が政治に関して集会や結社の自由に制限があるともとれる書き方をしているが、日本国憲法を照らし合わせてみると宗教団体が政党を持つことは違憲でも何でもない。ただ、国や自治体から特権を受けたりする事が違憲とみなされる行為であり、公共施設などの地鎮祭に神主を呼んで玉串料を税金で払ったりする事がしばしば違憲と騒ぎになるのはそのためだ。わかりやすく言えば国は宗教活動を妨害する権利はないが、政治が宗教へ特権を与えたり、行使してはならないのが、現行憲法における政教分離である。
しかし、具体的なところとなると複雑で制約が多い。例えば政党の宗教施設利用は(宗教施設が)固定資産税が免除されているだけに、政教分離に触れる恐れがあるという指摘が税法の専門家などから昔からあった。公明党は結党以来その手の批判を受けていたため、党の予算も施設も(選挙時の選対事務所を含めて)創価学会と一線を画している。
聴衆は熱心だったが
街頭演説を聞いたが、聴衆は熱心だったが演説後、電車で帰る人が多かった。サクラなのか? また反日教組、いじめ防止など自民でも言わないようなネガテブキャンペーンに終始し、北朝鮮に対しては先制攻撃をも辞さぬ覚悟としながら「私は戦争をするつもりはない」と締めたがこれは主戦論者の古典的なレトリックの手法でなのだ。有権者もそこまで愚かではあるまい。
宗教と政治には3倍の法則というのがあり、信者数の3倍が投票を頼める限度というのが政治と宗教の問題に詳しい人々の共通認識といわれている。公明党は約800万票を比例で獲得したがそれからすると熱心な創価学会の信者数は約266万人ということになる。同様に小選挙区トータル約107万票を取った幸福実現党は約37万人ということになる。
幸福の科学は設立時の幹部に元創価学会関係者がいたため、創価学会を意識した組織になっていると言われている。そのため政治進出はある意味予定だったのかも知れない。ただ公明党、創価学会は先代の戸田城聖氏の時代から地道に地方議員を増やし、公明党の前身「公明政治連盟」が62年に設立されてから5年後衆議院進出にこぎ着けたがそのために組織作りをしっかり行ってきたからとも言える。だが幸福実現党は設立から3ヶ月で現実の政治経験が無い者を大量に立候補させるのは無理があったと言わざるを得ないだろう。【了】
http://www.pjnews.net/news/291/20090908_1
だから、結局、答えは此処に。。。