第二波来たらどうするの?学校はコロナ感染源となりえるのか。若年層クラスター、ゼロリスク、海外の事例、教育を受ける権利。(釈量子)【言論チャンネル】
第2波が来たらどうする――学校はコロナ感染源となりえるのか【前編】[HRPニュースファイル2164]
https://youtu.be/bxLfavj2o_o
(5月22日収録)
幸福実現党党首 釈量子
◆休校措置の深刻な影響
コロナに伴う学校の休校措置は、非常に深刻な影響をもたらしました。
「いきなり休校したため、ただ『問題集をすすめて』というアバウトな指示だけで3カ月がたった」(首都圏の学生)
「休校中は、ゲーム漬で子供の生活が昼夜逆転してしまった」(保護者)
「数学や英語のような積み重ね授業は3ヶ月もやらないとほとんど忘れてしまう」(教員)
他にも「学校が休校になり、夕方から通うはずの塾が朝から開いており本末転倒ではないか」という声もありました。
なによりも「友達の頑張りや教員の情熱から受ける刺激がない」という声もあり、学校という環境がどれほど貴重なものであるかが分かりました。
6月1日から学校が再開し、もし第2波の感染が来たらどうするのか。そのあたりをもう一度検証したいと思います。
◆ウイルスの特性のからみる休校措置の是非
まず確認したいのが「コロナウイルスの特性」です。
新型コロナウイルス感染症の国内発生動向をみると、10代未満、それから10代の感染者が非常に少ないことがわかります。(URLの動画のグラフを参照)
この傾向は、感染の多い国でも変わりません。
米国疾病対策予防センター(CDC)が、新型コロナウイルス感染症の18歳未満の約2,500件を調べたところ、多くは軽度・無症状だったことが分かっています。
安倍首相の休校要請は、それを判断する直前に北海道で感染が広がり、子供同士の感染や子供が媒介者として大人にうつすということが心配されたからです。
厚生労働省クラスター対策班の押谷教授は次のように言っています。
「当初、特に北海道で流行が見えた時に『若年層クラスター』という言葉を使ってしまい、あたかも若い人たちだけがこのウイルスを広げていくような印象を与えてしまったのは、実は間違い。」
また、海外の事例ではフランスの9歳男児がコロナに感染して死亡したケースが1件ありました。ただ男児が感染した後に接触した170人にウイルスはうつっていなかったことが判明しています。
この時の調査員であるフランス保健局のコスタス・ダニス氏は次のように発言しています。
「子供たちには感染することが少ない。あるいは症状が軽いので病気を周りにうつす可能性は低くなる。学校が再開しても症例数が増えるとは考えていない。」
そして、フランスは5月11日から学校を再開しています。
新型コロナウイルスの特性としても子供の間はほとんど感染が見られないということがわかってきており、休校が社会的距離といった他の措置に比べて効果が低いのではないかという話もあります。
◆海外の学校再開の事例
海外の事例ですが、スイスでは5月11日から学校が再開しました。陽性反応があった患者のうち20代未満の割合は約3%で死亡者はいません。
スイス連邦保険庁のダニエル・コッホ氏は、「子供たちはほぼ確実に、この流行の媒介者ではない。ウイルスによる影響を受けていない」と、休校解除に反対する親や教師が署名活動をされていた方々に、繰り返し事実を伝えていたということです。
デンマークは、ヨーロッパで小学校を再開した最初の国で高校や大学は5月中旬に再開しました。
まず登校時に体温をチェックし、学校では約2メートルの距離を保つようにしているということです。クラスも2つか3つに分け、それぞれ先生をつけています。
生徒は屋外で遊ぶことを推奨し、体育館も開放されているようです。そして頻繁な手洗いを推奨するポスターやビデオが政府から支給されています。
次にノルウェーでは、まず保育園と幼稚園から再開して続いて小学校を再開しました。こちらでも到着時に体温をチェックして衛生管理についての指導があります。
そして台湾は、なんと2月25日に学校を再開しています。
校舎に入る前に検温と消毒をしてマスクの着用をし、また各授業前に手洗い、靴の消毒もしているということです。
アメリカではモンタナ州では5月7日に、小さな学校が再開しております。
モンタナ州は自然が非常に豊かな州で10万人当たりの感染者の数は5月18日時点で、全州で最も少なく、地元の調査では学校再開を待ち望む親の声が多くありました。
第2波が来たらどうする――学校はコロナ感染源となりえるのか【後編】
http://hrp-newsfile.jp/2020/3902/
◆一斉休校の検証
前編では、休校措置の影響やウイルスの特性のからみた休校措置の是非、海外の学校再開の事例を紹介しました。
では、一斉休校の措置は必要だったのかというところを検証してみたいと思います。
2月25日に、安倍首相は全国すべての小中学校、高校、そして特別支援学校を対象に3月2日から春休みまで臨時休校を要請し、2月29日の会見では何よりも子供たちの健康安全を第一に感染リスクに備えなければならないと語っています。
しかし、専門家会議はまだ一斉休校が感染防止にどれだけ効果があるかを検討しておらず、首相のトップダウンだったとされています。
政治の判断として忘れてはならないのは、中国からの渡航制限よりも1週間早く学校への休校措置を行ったことです。
習近平氏の来日延期の検討が報じられたのが3月1日でした。そして中国からの渡航制限が発表されたのが3月5日です。
これは、日本の子供達の教育よりも中国共産党政府との近しい付き合いを優先したことがうかがえます。
仮に中国人が日本に大量に渡航した春節期間に渡航制限をしていれば、そもそも休校措置は必要なかった可能性もあるわけです。
優先順位を間違え、ツケを子供に回したのではないかという疑念が生じます。
さらに言えば、今回の休校措置では既存の指標を無視して安倍首相が政治判断で休校要請を行ったものでした。
もともと今回の緊急事態宣言のもとになったのは、「新型インフルエンザ特措法」を改正したものです。
新型インフルエンザで示された休校の基準は「10%程度の欠席率」です。「学級閉鎖は1週間程度」でした。
ところが安倍首相はそうした基準を無視して一斉休校を要請したので、現場は大混乱になってしまったわけです。
もちろん、当時は今よりも武漢ウイルスがわかっていなかったので、あえてリスクを取られて決断をなされたのだとは思います。
しかし現在、万単位の死者にはなっておりません。数百人です。そして10代未満と10代の死者はゼロです。
新型インフルエンザが64万人の死者を想定して、休校措置の基準を10%としていたことを考えれば、全国の一斉休校はやりすぎだったのではないでしょうか。
ウイルスは、すでに世界中に広がっております。そして第二波第三波が襲ってくる可能性も当然あるわけです。ただ巣ごもりを続けてもウイルスはなくなりません。
感染リスクをゼロにすると学校に通うことができなくなります。インフルエンザに準じた対応で知恵と工夫を凝らして勉強できる環境を整えてあげるべきだと思います。
そして、最後に日本では感染症に対してさまざまな歴史が残っております。神社においては手水舎(てみずや)で手を洗う習慣があります。
東大寺の大仏や伊勢神宮は感染症、疫病に対してできたということも教えてあげることが大事ではないかと思います。
子供たちにとって不安な時ではありますが、日本人はかつて様々な工夫をし、そして信仰心を持ってこのウイルスに打ち勝ってきたということを知ることが大事なことではないでしょうか。
執筆者:釈 量子
幸福実現党党首
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