北朝鮮ミサイル日本上空を通過か
PAC3、イージス艦で迎撃は可能か?
[HRPニュースファイル218]転載
国際海事機関(IMO)によると、北朝鮮が予告した「衛星」打ち上げ
は4月12日から16日の間で、沖縄の先島諸島の上空周辺を通過する
可能性が高いとされ、政府も警戒体制を強めています。
(3/20 東京新聞「北朝鮮『衛星』 石垣島上空を通過か」
⇒ http://goo.gl/xYVP2)
この事態を受け、田中防衛大臣は北朝鮮の弾道ミサイル発射実験
に対して、自衛隊に自衛隊法第82条の3第1項に基づく破壊措置命令
を出すことを検討していることを明らかにしました。
(3/19 毎日「<北朝鮮「衛星」>破壊命令を検討
PAC3、イージス艦で」⇒ http://goo.gl/gYSfU)
田中大臣は、北朝鮮のミサイル発射が現実的になれば、弾道
ミサイル防衛における迎撃手段であるペトリオットミサイル
システム(PAC3)やイージス艦を配備し、迎撃態勢を取ることも
あり得るとの考えを示しました。(同上)
自衛隊法の規定によれば、防衛大臣は、弾道ミサイル等が我が国
に飛来する恐れがある場合、内閣総理大臣の承認を得て、自衛隊
の部隊に対し、弾道ミサイル等を我が国領域又は公海上空において
破壊措置を命じることができます。
かつて2009年4月に北朝鮮が弾道ミサイルの発射実験を行った際、
防衛大臣が初めて破壊措置命令を出し、迎撃態勢を取った実績が
あります。
では、果たして、このPAC3やイージス艦の迎撃ミサイルは弾道
ミサイル防衛において機能するのでしょうか?
北朝鮮が「ミサイルではなく、衛星発射実験だ」と強弁しても、
野田首相の承認の上、田中防衛大臣が毅然として破壊措置を命じる
ことができるかは疑問ですが、今回は迎撃ミサイルの機能面を中心
に検討致します。
イージス艦による破壊については過去の実験で失敗例があるほか、
PAC3の射程範囲は数十キロにとどまり、配備数には限りがあります。
実際、落下地点の予測は困難で、前回破壊措置命令が出た09年
当時、政府高官が「当たるわけがない」との認識を示していました。
(同上)
弾道ミサイルは、大砲の弾のように空中に弾道を描いて飛ぶミサ
イルであり、ミサイルの先に取り付けられた核弾頭は大気圏外
または成層圏において分離・落下するため、短距離弾道ミサイル
でも音速の6倍、長距離弾道ミサイルでは音速の20倍ほどの速度が
つきます。
弾道を描いて飛んで来る弾道ミサイルに対し、イージス艦の迎撃
ミサイルSM3は弾頭が落下する前に迎撃し、PAC3は落下して来る
弾頭を迎撃する役目を持っています。
しかし、弾頭が一旦、分離し、落下し始めれば相当な速度がつく
ため、ミサイルを迎撃することは非常に困難です。
弾道ミサイル防衛システムには高度な技術力が必要で、米軍は
迎撃を確実に遂行するためにミサイルや弾頭を探知し、追尾する
システムを5種類、迎撃するシステムを6種類保有しています
(米軍BMD(弾道ミサイル防衛)システム)
⇒ http://goo.gl/3GiSR)。
それに対して、日本では探知システムは2種類、迎撃するシステム
を2種類しか持っていないため、迎撃を確実に行うことは難しいのが
現状です。(自衛隊BMD整備構想⇒ http://goo.gl/JdI9C)
幸福実現党は、北朝鮮への圧力を強めて「核の刀狩り」を行い、早急
に北朝鮮の脅威を取り除くべきであると主張しています。
これは、北朝鮮に弾道ミサイルを撃たせてしまうと、これを自衛隊
が迎撃し、破壊することは非常に困難であることも考慮の上です。
日本政府は迎撃体制を整えつつも、北朝鮮にミサイルを
「撃たせない」ように、米国、韓国、ロシア等と連携し、外交上の
圧力を強めていくべきです。(文責・黒川白雲)
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