中央アジアの地図を書き換える中国
2009年12月25日
国家主席のパイプライン開通式出席は、中央アジアの発展を導こうとする中国政府の努力を象徴するものだ。
中国の胡錦涛国家主席は今週末(注:執筆時)に
再びカザフスタン共和国の首都アスタナの地を踏んだ。同主席はおそらく、エネルギー資源豊富なこの中央アジアの国のヌルスルタン・ナザルバエフ大統領を
除けば、最も多く同地を訪れたことのある国家元首だろう。
中国が石油・天然ガスや鉱物など中央アジアの豊富な資源に触手を伸ばしていることは目新しくもない事実であるが、胡錦涛主席の今回の訪問は、中国の思惑通りの地域構想においてその役割を増していることを象徴するものだ。
カザフスタン訪問の表向きの理由は、
土曜日に、トルクメニスタンから中国西部の
新疆ウイグル自治区まで年間400億m3の天然ガス
を輸送可能なパイプラインの、カザフスタン
国内部分(総長1139マイル、約1833km)の開通式
に出席するというものだ。この新パイプラインの
トルクメニスタン側の起点は、国営の巨大エネルギ
ー企業である中国石油天然ガス集団
(上場企業PetroChinaの親会社)が開発中のガス田
に近い。カザフスタンから新疆ウイグル自治区に
通じる別のパイプラインは既に稼働を始めている。
中国は引き続き、中央アジアとの経済関係の強化に
よってソ連時代から続くこの地域のロシアへの依存を
弱めようとしており、この8ヶ月の間でカザフスタンと
トルクメニスタンの双方とエネルギー資源を引き換え
にした融資協定を締結した。ロシア政府はこれに
できる限りの抵抗を試みているが決め手を欠き、
欧米諸国は傍観者を決め込んでいる。
中央アジアで中国が天然資源の確保以上に大きな
目標としていることは、この地域の安全と安定を確保
することである。そうすることにより中国の西方へ
の進出に対する反発も和らぐ。それが自国の利益に
適う形で中央アジアの経済発展を導くことができる
最良の方法と中国は考える。胡錦涛国家主席は今週末、アスタナの滞在で、エネルギーその他の経済協力協定を次々と結んでいる。
胡錦涛主席は次にトルクメニスタンに移動し、
12月14日に新パイプラインの正式な開通式に出席する。また中央アジア諸国の首脳会議にも出席する予定である。世界は中央アジアの小国をひと括りにして考えがちだが、これらの国々は互いに対立することが多く、首脳が一堂に会することはまれだ。以前は、首脳会議が行われるとすればその後押し役は中国ではなくロシアだった。今回の首脳会議に胡錦涛主席が出席すれば、石油・天然ガスの顧客としてのみならず、地域のリーダーとして、中国の存在感が確実に増すことになる。
だが中央アジアのすべての国は、単にボスの首を
すげ替えるだけのようなイニシアチブには警戒心を
抱いたままだ。さらなる西方進出を目指す中国政府が宗主国の地位につくことは望んでいないのだ。
中央アジア諸国は、中国からの資金供与を受けること、また中国をロシアの対抗勢力とすることには前向きで、中国のために、コーカサス地方や欧州との橋渡し役(パイプライン開通式の際にナザルバエフ大統領が「新たなシルクロード」と表現した)になることには
むしろ意欲的でさえある。だがただ踏みつけにされることを望んではいない。http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20091221/202096/
その一方で中国は、粛々と地図を書き換えている。
資源を求めて周りの国を取り込んでのみこんでいく。膨張は・・内乱も含んだまま。。。不満を押さえ込むことは日常だろう。