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米軍海兵隊の先行移転により、抑止力は低下するか?

2012年02月08日 11時48分49秒 | リバティ 学園 幸福実現党 関連  

米軍海兵隊の先行移転により、

抑止力は低下するか?

[HRPニュースファイル176] 転載

昨日の[HRPニュースファイル175]にありますように、
2006年の日米合意では「普天間基地移設還」と
「米海兵隊8000人のグアム移動」とがパッケージとして
計画されていましたが、日米両政府は両者を切り離し、
先に4700人をグアムに移転させることで合意しました。

この見直しの背景には、普天間移設の見通しが立たず、
移設が進まないことで、アメリカ議会がグアム移転費を
2012会計年度の国防権限法案から削除するという結果に
至った(上院では予算案凍結、下院で予算案認可)こと
から、再編を急ぎたいアメリカ政府の思惑があるもの
と見られます。

自民党議員からは、こうした「米海兵隊の先行移転」
について「抑止力低下」を懸念する声が相次いでいます。

今回の米軍再編の見直しは、果たして、日本の安全保障の
「抑止力低下」をもたらすのでしょうか?
また、「日米同盟」弱体化をもたらすのでしょうか?

まず、今回の再編見直しでは「普天間基地移設」と
「海兵隊グアム移転」分離よりも、海兵隊のグアム移転
に関するロードマップ(行程)の内容が大きく変わった
ことに注目すべきです。

その理由は、今年1月に発表されたアメリカの新国防戦略
において「アジア太平洋地域」に米軍の重点を移すこと
と大きく関係しています。

新国防戦略では「アジア太平洋における同盟国」
(日本、韓国、フィリピン、オーストラリア等)との関係が
「安全保障の重要な基盤」であるとされています。
⇒ http://goo.gl/F0qSK

米政府としては、海兵隊のグアム移転の規模を8000人から
4700人に縮小し、残る3300人程度はハワイ、豪州、フィリピン
などの基地にローテーションで派遣する意向だと報じられています。

沖縄に残る米海兵隊は司令部、陸上、航空、戦闘支援及び
基地支援能力といった海兵空地任務部隊の要素から構成される
第31海兵隊遠征隊となります。
(外務省:再編実施のための日米のロードマップ
⇒ http://goo.gl/VHiQV

この部隊はアメリカ海兵隊の緊急展開能力を担う部隊として、
7つある海兵隊遠征隊の中で唯一、海外に展開している部隊で
あり、同部隊が日本に駐留していることは、島嶼を守る自衛隊
との連携を踏まえ、「抑止力」維持のために極めて重要です。

確かに、見た目の在日米軍の「プレゼンス」は低下しますが、
アジア太平洋全域の視点で見ると、日本のみならず、
フィリピン、オーストラリアなどの米国の同盟国による中国包囲網が
強化されることで、中国の侵略行為に対する全体的な「抑止力」
は高まります。

そして、オーストラリアやフィリピンを含むアジア太平洋地域の
米軍(米太平洋軍)は、在日米軍を中核とし、様々な事態に柔軟に
対処していくことが予測されます。

すなわち、米軍再編の見直し案が実行されれば、中国を意識した
米軍の「アジア太平洋重視」戦略が強化されると共に、在日米軍
の役割が急速に拡大するため、「日米同盟」はますます重要な
ものとなります。

その意味でも、野田政権は普天間基地移設問題の円滑な解決を図り、
「日米同盟」を迅速に修復していく必要があります。

また、局所的な「米海兵隊のプレゼンス低下」を補完するため
には、南西諸島の島嶼防衛に向け、沖縄に残る米海兵隊と自衛隊
との連携強化を図ると共に、陸上自衛隊の「海兵隊化」を早急に
進める等の「自衛隊再編」や「自主防衛強化」が急務であります。

(文責・黒川白雲)

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