https://news.yahoo.co.jp/articles/27eab8784602e18bdd3a0349435db402e94b2d81?page=3
一部転載
プーチンの個人資産凍結は悪手だった
Photo by Shinya Nishizaki
鈴木 3月1日、日本はプーチンさんの個人資産を凍結する制裁措置を決めました。これは岸田首相が「我が国はプーチン大統領とは付き合いません」と宣言したに等しい措置です。日本のほうから「お前とはつきあわん」というカードを切るべきではありませんでした。こんなことをすれば、これからの北方領土交渉も平和条約交渉もありません。
3月9日、ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官が「Sputnik」(スプートニク)というロシアのラジオ局でこう言いました。
「残念ながら、日本はこの西側のメインストリームに最も積極的な形で加わり、すべての指示を従順に遂行している」
「彼らは見たところ、自分たちの国益に関してどれほど破壊的な行動を取っているかを単に理解していないようだ」
田原 欧米の経済制裁強化に同調すれば、日本の国民に非常に迷惑がかかる可能性がある。それでも日本は全面的に同調すると、岸田首相ははっきり示したわけですよね。
鈴木 日本・アメリカ・オーストラリア・インドの4カ国は、「Quad」(クアッド)という安全保障の枠組みを結んでいます。そのインドは、3月2日の国連総会でロシア非難決議を棄権しました。インドの隣国パキスタンは核保有国です。パキスタンとの関係を考えるならば、インドがロシアとぶつかって良いことなんて何ひとつありません。ならばアメリカやインドと軍事同盟を結んでいても、インドは非難決議を堂々と棄権するのです。
ロシアとの平和条約交渉と北方領土問題さえなければ、日本がアメリカと組んでロシアとぶつかってもいいと思いますよ。しかし日本の国益を考えるならば、ここは強かに出口を目指した対応をするのが日本の賢い外交です。日本はバイデン大統領にもプーチン大統領にも意見を言える立場ですし、日本政府はウクライナに累計3100億円もODA(政府開発援助)を拠出しています。これだけカネを出しているのだから、ゼレンスキーにモノを言える立場です。
田原 それを言わずに日本はゴマカシてきた。それを言う覚悟をもつかどうかが今問われている。
鈴木 日本には日本の事情があると言いつつも、日本の立ち位置を明確にして「ここは話し合いだ」と強いメッセージを打ち出すべきです。日本がエネルギーをもっていれば、他国のいざこざにいちいち介入しなくてもいいのかもしれません。でも日本は、天然ガスの1割をロシアからの輸入に頼っています。
サウジアラビアで王制が崩れれば、3割も輸入を頼っている油が止まってしまうわけですよ。そうなれば、50年前のトイレットペーパー騒ぎどころではありません。天然ガスも油も豊富なロシアとのパイプを、日本から断ち切るべきではないのです。地政学的に恵まれた条件であるロシアとのパイプをうまくつなぎながら、日本の国益を追求しなければなりません。
(2022年3月11日、鈴木宗男事務所にて収録)
参議院議員/新党大地代表 鈴木 宗男
・