国会で演説させるなら、北方領土のウクライナ人たちに島を離れて日本に返すように呼びかけることを条件にして欲しいくらいだった。
八幡 和郎氏 2022.03.21 17:00一部転載
https://agora-web.jp/archives/2055666.html
北方領土ではロシア人よりウクライナ人の方が多い
北方領土に住む旧ソ連系住民でウクライナ人が多いと、これまでもさまざまな形で報道されている。たとえば、2015年8月18日の北海道新聞ニュース「国後島でウクライナ出身者ら緊急集会<北方四島映像だより>」では、島民の3人に1人がウクライナ出身者だとしている。
また、北海道大学のスラブ研究所の「21世紀COEプログラム研究報告集 / 21st Century COE Program Occasional Papers No.15」での岩下明裕(北海道大学スラブ研究センター)、本田良一(北海道新聞小樽支社)による「日ロ関係の新しいアプローチを求めて」では、南クリール、クリール両地区執行委員会幹部から聞き取り(1991年前半の取材)として「91年夏の時点で、北方領土の住民はウクライナ人4割、ロシア人3割、残りはその他という割合だった」としている。(P.112)としている。
どうしてそうなったかは、「第二次大戦で主戦場となったウクライナは疲弊していた。北方領土へ移り住んだウクライナ人が多かった事実は、当時、ウクライナが貧しかったということを反映しているのだろう」としているが、これは著者の当てずっぽうだ。
スターリンによってウクライナ人は強制連行ないし集団移住させられたに違いないから本人に責任はないという人がいるが、スターリンが国防などの理由から盛んに集団移住させたのは、戦争中のことであって、時期が違う。
移住者は募集され、通常の2~4倍の高給を目当てにやって来たのである。この時代、ウクライナは飢饉と戦争での損害と人口減少で、不足をロシア人の移住で埋めたとナショナリストたちがいっているのだから、職はいくらでもあったのである。
また、いわゆるシベリア抑留でウクライナに抑留されていた人たちもいる(ドイツ人抑留民が過酷な扱いを受けたのに比べて日本人への扱いは相対的によかったそうだが)。
つまり、日本の返還要求をはねのけるため北方領土をソ連が確保すべく行われた募集に愛国的に応募したのであるから、少なくとも善意の第三者ではない。
どうしてウクライナ人が多いかと言えば、海外との交流が多かったウクライナの人は、故郷を離れて移住することを嫌がらず、欧米にも多いし、在日のロシア人と思われている人のかなりはウクライナがルーツである。また、黒海に面しているので、海に囲まれた島での生活への順応度が高かったのではないか。
彼らの国籍がどうなっているのかは、正確には分からない。というのは、旧ソ連人でずっと同じ所に住んでいる人はいいのだが、引っ越していたとか、混血だとか、夫婦が別のルーツだとかいう人の扱いはややこしく大量の無国籍者も出ているようだし、二重国籍もいる。ただ、もし島民の多くにとって、日本に返還されたときに帰るべき故郷がウクライナである人の割合がロシアの他地域以上に高いのは間違いない。
その意味でも、ウクライナ支援をするなら、北方領土問題について、旧ソ連の一員としての歴史的責任を明らかにし、また、島民の帰還に協力することくらいは、約束してもらっていいのではないかと思うのだ。
岸田総理は参議院予算委員会で、北方領土について「ロシアにより不法占拠されている」と明言したそうだが、もう少し正確に、北方領土は「ロシア・ウクライナ・ジョージアなどによって構成されたソ連軍によって不法占拠された。そのときの指導者はジョージアのスターリンだった。その後、日ソ交渉の際にウクライナ人フルシチョフは返還を拒否した。ソ連解体ののちはロシアが占拠を継続しているが、島民のなかでウクライナ人の比率が非常に多く一説には四割にも上る。ロシアのみならず不法占拠に荷担しているウクライナにも強く抗議したい」というべきであった。
国会で演説させるなら、北方領土のウクライナ人たちに島を離れて日本に返すように呼びかけることを条件にして欲しいくらいだった。
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