マスコミが報じないウクライナ戦争。ウ軍の反撃は成功するのか?(釈量子)【言論チャンネル】
◆マスコミが報じないウクライナ戦争
ウクライナ戦争が始まってから1年3ヵ月が経ちました。
日本のマスコミ報道を見ると、「西側諸国がウクライナの支援をしっかり行えば、ロシアへの反撃は成功し、ロシアの支配地域を今度こそ奪還できる」という内容がほとんどかと思います。
両軍が重要視していた、東部バフムトの戦いでも、「ウクライナがロシアの支配地域を一部奪還」という報道が繰り返し行われました。
結局どうなったかと言えば、広島サミットの最中に陥落し、今はロシアがバフムトの全域を支配しています。
戦争は情報戦の面もあるので、日本はウクライナ側に立っているから仕方がないという意見もあるかもしれません。
しかし一方的な偏向報道ばかりというのは、問題です。戦況の見通し次第で、国の立ち位置や停戦のあり方も変わってくると思うからです。
そこで、今回はウクライナ戦争に関して、報道とは違った見方を紹介したいと思います。
◆ウクライナの砲弾不足
今年2月17日、CNNで、「ウクライナは米国やNATOの製造能力以上に砲弾を使い果たしている」という衝撃の内容が報道されました。
「ウクライナは米国やNATOの製造能力以上に弾薬を使い果たしている」(CNN)
https://edition.cnn.com/2023/02/17/politics/us-weapons-factories-ukraine-ammunition/index.html
同報道では、「アメリカ・ペンシルバニア州のスクラントンにある兵器工場を取り上げ、一か月に11000発の砲弾を製造しているが、ウクライナはわずか2日か3日で使い果たしてしまう」と紹介しています。
兵器があっても弾が無ければ使えません。「ウクライナの弾薬不足がボトルネックだ」ということは、4月上旬にリークされ、米軍および情報機関の極秘文書でも裏付けられました。
文書には、ウクライナの防空ミサイルが不足しているので、ロシアが制空権を獲得する可能性があると書かれていました。
ウクライナは、ソ連時代のS-300とBuk air defenseの防空ミサイルを主に使用しています。
このミサイルの在庫が5月までに完全に無くなると予測されたほどであり、アメリカがパトリオットを送るなどして、何とか防空体制を維持しているのではないか、と考えられます。
ゼレンスキー大統領はウクライナの制空権を守るためにF16戦闘機がほしい、弾薬が足りないと繰り返し訴えていました。
こうした事実が明らかになってみると、日本のマスコミ報道では、ロシアが制裁を受けて間もなく弾薬が不足すると言い続けていたのは本当だったのだろうかと思います。
ロシアは、ウクライナの重要インフラなどへのドローンやミサイル攻撃を強化することで、ウクライナの迎撃用ミサイルを消耗させて、実質的に、ウクライナの防空能力を無力化している可能性が高いです。
◆壮絶な戦場
日本ではウクライナがロシアにドローン攻撃をしかけたことしか報道されません。
5月19日、イギリスの英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)というシンクタンクの軍事専門家が、ロシアの軍事作戦に関するレポートを発表しました。
Meatgrinder:Russian Tactics in the Second Year of its Invasion of Ukraine
標題のMeatgrinderとはソーセージやハムを作るときに使う「肉挽き器」のことです。
ワグネルの創設者プリゴジン氏は、ウクライナ東部のバフムトで、ワグネル部隊の約2万人が戦死したと
明かし、一方、ウクライナの戦死者は5万人と話しました。
どこまで正確かはわかりませんが、「肉挽き機」とはこうした壮絶な状況を表した表現だと思います。
◆一か月で1万機撃墜されたウクライナのドローン
前編で紹介したイギリスの英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)のレポートの中で注目すべきは、ロシアの電子戦システム(EW:Electric Warfare)は圧倒的優位を保っており、ウクライナの無人機(UAV:unmanned aerial vehicles)、いわゆるドローンを徹底的に破壊している、ということです。
ロシアは、戦闘を行っている前線では10キロメートル毎に配備し、1か月に1万機に上るウクライナの無人機を撃墜しており、驚くべき数字です。
このようにロシアの電子戦はかなり強力で、ウクライナが前線を突破するには、こうした電子戦にも勝利しなくてはなりません。
ただ、ウクライナのドローン攻撃は、ロシア領内の、中枢部を狙い始めています。
5月3日、ロシア大統領府があるクレムリンが狙われたのに続き、5月30日、モスクワ市内へのドローン攻撃があり、モスクワ南西部の2つのアパートが被害を受けました。
攻撃には10機以上のドローンが使われ、ドローンはモスクワ郊外から飛ばされたなどという説もあります。
◆ウクライナ軍の失地回復はあるのか
間もなくウクライナの反撃が始まると報道されていますが、そう簡単に失地回復がなされると考えるのは、希望的観測の域を出ないといえそうです。
実際、アメリカの政府機関から流出した極秘文書では、ウクライナの戦力が著しく不足しているので、反攻作戦は中途半端でささやかな領土しか回復できないのではないかと疑っており、バイデン政権の公式見解とはだいぶ違っています。
例えば、元陸軍大佐で、元国防総省顧問だったマクレガー氏は保守系メディアの寄稿文の中でバフムトの戦いについて、次のように語っています。
「ゼレンスキー大統領はバフムトの戦いをロシア軍への抵抗を示す象徴的な戦いとして重要視していたが、ロシアはウクライナの戦力を削ぐための機会として利用した」
実際にバフムトの戦いでは、ウクライナの反撃が成功したとの報道が数多くありましたが、ウクライナ軍の戦死者は5万人に上ったと言われています。
日本のマスコミ報道は、ゼレンスキー大統領の言葉通りに「武器さえ支援すれば、ウクライナが勝利する」という楽観的なメッセージばかりを発信しています。
しかし、戦線は膠着しており、双方の犠牲者が増えるばかりです。
プーチン大統領としては、兄弟国であり、ロシア正教の聖地でもあるウクライナに核を落とそうとは思っていないと思います。
しかし、今後、欧米がウクライナを引き続き強力に支援し、ロシアの心臓部を狙ったり、クリミアなどのロシアにとって死活的に重要な地域を奪還すれば、「核兵器」の引き金を引かねないことを、多くの専門家が懸念しています。
◆日本はウクライナ戦争の仲介役を!
大川隆法総裁は、戦争が始まった直後に「中立化しか解決はない」と、世界に先駆けて断言し、巨大な霊能力で、各国の指導者の潜在意識にアクセスし、その本心を読み取っています。
『ウクライナ発世界経済とアジアの危機』の「あとがき」で、次のように述べています。
「ゼレンスキー氏は、究極の事態を予想せず、『撤退戦』を知らない。政治家の資質をどうはかるかは難しいが、国を亡ぼす大統領は最悪である。」
本来、戦争の調停役を果たすべき米国のバイデン大統領はロシア憎しで、ウクライナで代理戦争を行っていることが、世界にとっても大きな問題です。
アメリカは米大統領次第では、アフガニスタンのように、最終的にウクライナ支援を打ち切る可能性もあります。
こうしている間に、中国問題は置き去りにされ、北朝鮮もミサイルを連射するなど、中国、ロシア、北朝鮮の核保有国に囲まれた日本の安全保障環境は、危うい状況になっています。
こうした状況のなか、本来であれば、NATOに入っていない「日本」が、ウクライナとロシアの仲介役を担うべきではないでしょうか。
一日も早い停戦と、平和の実現を願いたいと思います。
釈 量子
執筆者:釈 量子
幸福実現党党首