東シナ海波高し
井原義博 氏、ブログ転載
2012-07-18 12:06:27
1 不調に終わったASEAN 会議
カンボジアで開催されていたASEAN 会議が13日に閉幕しましたが、
ASEAN の歴史の中で、初めて共同声明が発表されませんでした。
9日に開催された外相会議では、南シナ海などでフィリピンやベトナム
との間で西沙諸島や南沙諸島の領有権を巡って軍事的な力を背景にした
示威行動をとる中国の動きを牽制するため、法的拘束力をもたせた
海上行動のルールとなる「行動規範」を作ることを目指していました。
しかし、中国の強い反対のために意見をまとめることができず、議長国
であるカンボジアのホー・ナムホン外相は共同声明の採択を断念しました。
昨年度のASEAN 外相会議では法的拘束力を伴う「行動規範」を定める
協議に中国も参加する事を求める共同宣言が採択されており、中国の
楊潔※(※=竹カンムリに褫のつくり) 外相も今回の会議が始まる前には
前向きの姿勢を示していました。
実はカンボジアはフィリピンやベトナムなどと違って、中国とは国境を
巡る争いがありません。
中国はカンボジアに対して経済支援を行っており、カンボジアへのODA
と直接投資は2010 年度は中国の拠出が第2位となっています。
このために、カンボジアのフン・セン首相はASEAN 会議の場で南シナ海の
領有権問題を取り扱うことに消極的な考えを示していました。
2 行動をエスカレートする中国
中国は6月に西沙諸島、南沙諸島、中沙諸島を三沙市に格上げしました。
ベトナム国会は同じ日に西沙諸島と南沙諸島の島々の領有権を明記した
海洋法を採択していますが、個別の島の名前は挙げず、同じく南沙諸島
の領有権を主張しているフィリピンに配慮をしています。
中国の行動は、西沙諸島などを実効支配しているのは中国である、
ということの既成事実化を狙ったものです。
「市」という行政区になったのであれば、当然「市民」生活を営むのに
必要な様々な行政業務が必要であり、中国の「地方自治」が行われる
ことになるからです。
そのためにさらに中国人がこれらの島々に送られてくるでしょう
(おそらく実効支配している島に役所などを設けるでしょう)。
一方、日本政府の尖閣諸島購入の意思表明に反発した中国は、
10日から東シナ海で大規模な実弾射撃演習を始めました。
中国の人民解放軍の羅援少将は「釣魚島の主権が中国に属することを
行動で示さなければならない」と発言しており、領土問題の解決には
武力行使も辞さない事を示唆しています。
中国政府の漁業監視船が今月になって何度も尖閣諸島の領海侵犯を
行っているなど、事態はきわめて憂慮すべきレベルに達しているのです。
3 日本がとるべき行動
このような事態を目の当たりにして、果たして日本はどのような対応策を
講じていけば良いのでしょうか?
まず、沖縄の米軍基地にオスプレイを速やかに配備すること
(アメリカの意志のみで配備できる) です。
オスプレイの行動半径は沖縄から尖閣諸島をカバーできるくらい
大きくなっており、この海域で万が一衝突が起きた際、アメリカ軍が
速やかに展開することが可能です。
オスプレイが配備されることは、日米安保同盟がきっちりと機能している
ことを示す事にもなります。
それから集団的自衛権の解釈変更を行い、行使を認めることです。
現在は、「権利は持っているが行使は憲法解釈上認められない」と
いうものですが、この解釈は、日本とアメリカが共同戦線を張っても、
アメリカのみが一方的に軍事的行動を負担させられる、というきわめて
「不平等」な内容となっています。
先日北朝鮮の弾道ミサイル発射実験が行われた際、米軍はイージス艦を
派遣しましたが、日本側には「米国防衛に限り迎撃する」と伝えています。
憲法9条が日米安保の運用においても日本の平和を守る事を阻害
しているのです。
憲法の解釈変更を行い「自分の国は自分で守る」という姿勢を内外に
はっきりと打ち出した上で、アメリカとの連携を強めて中国を牽制
しなければなりません。
http://ameblo.jp/muggle1009/entry-11305586053.html
転載、させていただいた記事です
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