NSC構想は日本の外交・安保を救うのか?
日本に不足している情報収集機能
■日本の情報機能が弱い要因の一つは、行政機関お得意の「縦割り」が挙げられます
■「情報収集機能を高めることが、いかに国を救うか」です!
■日本は「忍者」の国です。鎌倉時代から存在した諜報のプロ、
「忍者」の伝統を活かして、CIAやMI6を優に凌ぐような日本へ……
等がよくよく分かります!
幸福実現党ニュース~ 転載
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NSC構想は日本の外交・安保を救うのか?―日本に不足している情報収集機能
[HRPニュースアイル549]
◆日本版NSCとは何か
本日2月15日(金)、政府は危機管理能力の向上に向け、「日本版NSC」創設
のための有識者会議を発足させることになっております。
NSCとは、国家安全保障会議(National Security Council)の略で、
アメリカなどで設置されている外交・安全保障政策の立案や調整
などを行う機関であります。
会議のメンバーには、内閣官房参与を務める元外務事務次官の
谷内正太郎氏や自衛隊トップの統合幕僚長を務めた折木良一氏、
京都大学名誉教授の中西輝政氏ら10人が内定しています。
(NHK総合大阪ニュース)
さて、国家の意志決定において、最も重要なカギを握るのは
「情報力」です。
しかし、先月アルジェリアで起こったイスラーム武装組織による
人質事件では、情報が錯綜し、政府における情報機能の脆弱さを
露呈しました。
また、1月30日に起こった中国海軍のレーダー照射に関しても、
アメリカ政府が驚く程の情報伝達の遅れがあったと言われています。
◆「縦割り行政」が弱体化させる日本の情報機能
このように日本の情報機能が弱い要因の一つは、行政機関お得意の
「縦割り」が挙げられます。
現状では、内閣情報調査室や外務省、防衛省、また警察・公安など
複数部門がそれぞれの独自の情報網を持っており、各省庁が持って
いる情報は本来、内閣情報官が集約し、首相や官房長官に
上げることになっています。
しかし、実際は官邸へ個別で報告したり、価値の高い機密情報ほど
それぞれの省庁で独占したりと、上手く首相官邸に情報が集約される
仕組みが出来ていませんでした。
NSC構想とは、こうした省庁縦割りの弊害をなくし、各省庁の情報を
集約・分析、一括することで、政府としての「情報力」を最大化
する構想であり、実は第一次安倍政権下で設置を目指しながら、
結局廃案となってしまった「肝いりの政策」なのです。
「敵を知り、己を知らば、百戦殆うからず」という孫子の有名な
言葉が表す通り、まさにNSCのような情報集約・分析の枠組みが
今日本政府に求められています。
◆日本に最も不足している対外的な情報収集能力
一方で、今までのNSC構想では情報の集約・分析に重きが置かれ、
情報収集に関する抜本的改革に関する議論は活発ではないように思います。
思うに、今の日本政府に最も不足しているのは、対外的な「情報収集」
の機能ではないでしょうか。
「外交官の最重要な任務の一つは情報の入手である。この目的を含め
職業の目的の達成には不断の勉強、その為の人脈の構成、社交の努力が
欠かせない。(『なぜ外務省はダメになったか』)」と戦後の日本外交を
引っ張り、駐米大使も務めた故・村田良平氏も述べている通り、日本の
在外公館などにおける現地での情報収集には疑問符が付きます。
結局、アルジェリアテロ事件で情報が錯そうしたのも、日本政府や
現地の在外公館がほとんど独自情報を得られなかったことが原因で
あると言われております。
また、1月21日に行われた自民党の外交部会で警察庁出身の
平澤勝栄衆院議員からは「日本政府は結局、イギリスから情報をもらった。
なんでイギリス大使館で出来ることが日本で出来ないのか」と外務省の
情報収集能力を疑問視する指摘が出ていたそうです。
◆「諜報活動ゼロ」の日本は世界の非常識
更に、スパイや諜報員というと、日本では映画やドラマの世界のように
感じてしまいますが、現実として「大使館は秘密のスパイ組織
(モーゲンソー著『国際政治』)」が世界の常識なのです。
比較的良好な関係にある両国の間においてすら、今なお、大使館内に
接受国が盗聴器を仕掛けるといった諜報戦が水面下で繰り広げられている
「国際社会の常識」を日本人は受け入れなければならないでしょう。
(潮匡人著『常識としての軍事学』)
「現代外交の根本は、情報、とくに自国の対外政策を基礎づける秘密情報を
集めるという機能の中にある」と地政学の大家・モーゲンソーも言って
おりますが、具体的に、欧米各国には立派な対外的な諜報機関がすでに
あります。
代表的な事例としては、アメリカのCIA(人員規模2万人、予算約4800億円)、
イギリスのMI6(人員規模2500人、予算約450億円)、そしてフランスの
DGSE(人員規模4400人、予算約675億円)などがあり、その他にもロシア、
ドイツ、そしてイスラエルなどの諜報組織も規模、実績共に定評があります。
それに比べ、日本の対外的な諜報活動に関しては極めて限定的で、
世界の大国というには恥ずかしいくらい、そうした機能を持っていないに
等しい状況であります。
今こそ日本は、この混迷を極める国際情勢において、国民の皆さまを
守り抜く「したたかな外交」を展開する上での、「したたかな情報戦略」
を持たねばならないと確信しております。
是非とも安倍首相におかれましては、本日行われる予定の有識者会議に
おいては、ぜひNSC創設をベースに、「情報収集機能を高めることが、
いかに国を救うか」という点についてしっかりと議論して頂きたいと思います。
◆日本政府の情報収集能力に向けた具体的提言
そのための具体的提言として、以下に三点挙げたいと思います。
まず第一に大使館ラインでの各地元紙・テレビなどを通じた「公開情報」
の情報収集能力の向上、また政府要人や現地キーマンとの人脈の
構築強化が、情報収集強化の大前提であります。
そして第二には、アルジェリアでの反省を踏まえ、防衛駐在官の増員を
図り、軍事関連の情報収集能力も向上させていくことであります。
更に第三に、諜報部門(ヒューミント)の本格的に創設によって、
日本独自の「非公開情報(秘密情報)」の獲得を積極的に図って
いくことであります。
何といっても、日本は「忍者」の国です。鎌倉時代から存在した諜報のプロ、
「忍者」の伝統を活かして、CIAやMI6を優に凌ぐような世界一の諜報機関
の創設を日本に目指すべきであると提言いたします。
(文責・山形県参議院選挙区代表、HS政経塾第1期生 城取良太)
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