中国包囲網を構築せよ
尖閣諸島だけではなく、沖縄も中国から狙われている
2012-03-19
井原義博 氏、ブログ転載
2年前に尖閣諸島の我が国の領海内に不法侵入した中国漁船が
海上保安庁の巡視艇に体当たりをした事件について、那覇
検察審査会は中国人の船長を公務執行妨害などの罪状で強請
起訴しました。これに対して民主党政府は2年前と同様に
「政府として何か述べる事は差し控えたい(藤村官房長官)」
と、中国との外交問題については一切関わりたくない姿勢を
示しています。
中国が尖閣諸島を中国領土であると言いだしたのは、この海域の
海底に大規模な油田の存在が明らかになってからです。
中国の狙いは13億人の人口を養っていくためのエネルギー源の
確保にあるのですが、さらにその奧には、太平洋に海軍が出動
する際の航路の確保という軍事的な目的もあるのです。
中国はかつて米国に対し、ハワイを境界として西側を中国が、
東側をアメリカが支配しようではないか、と働きかけた事が、
アメリカの軍関係者の議会証言で明らかになっています。
そして2年ほど前からは、沖縄はかつて中国の領土であり、
明治維新で日本が不当に占拠した、という趣旨の論文を立て
続けに発表しています。中国国内では「琉球自治区」という
名称で呼ばれており、「琉球自治区解放委員会」という組織も
作って、沖縄をとりこもうと虎視眈々と狙っています。
尖閣諸島から沖縄に至る海域は、中国が太平洋に進出する際の
重要な航路である事から、この海域を支配下に置く事は、戦略上
きわめて重要なのです。
沖縄の戦略的な位置づけ
沖縄には現在在日米軍基地があり、中国に対してにらみをきか
せています。
ところが辺野古への移設で合意していた普天間基地について、
鳩山元総理が「最低でも県外」と言い出したために普天間基地
の移設が頓挫してしまい、一時日米同盟に深い溝が入りかけ
ました。
沖縄の人たちから見れば、住宅地のそばにある基地の危険性は
非常に心配な事です。数年前には大学にヘリコプターが墜落
する事故も起きています。だから、より安全な地域への早期の
移設が望まれるわけですが、沖縄の人々の感情的な基地への
反感から、なかなかすぐに解決するのは難しい状況が続いています。
しかし、対中国(そして、対北朝鮮)という観点からみれば、
米軍が沖縄に駐留していたからこそ、日本の平和と安全がこれ
まで保たれてきた事は、明白な事実としてあります。
仮に沖縄から米軍が撤退したとしても、沖縄に軍事力を終結させ
て中国や北朝鮮に対してにらみをきかせる事は引き続き重要な
国防戦略としてとっていかねばなりません。
もし米国が本当に沖縄から撤退するならば、日本が独自で防衛力
を強化していかなければならないため、憲法改正というハードル
もクリヤーしていく必要があります。
長期的には、我が国の安全は我が国で確保していかなければ
ならないと考えますが、ここ10年ほどの間は、アメリカの
軍事的なパワーに頼らざるを得ないでしょう。
有効な対中国外交戦略
中国に対しては、軍事的に対抗策を講ずる事の他に、外交的な
対策をとっていく事もきわめて重要です。
中国は南シナ海全体を中国の領海であると主張しており、日本と
同じような領土問題をフィリピンとベトナムとの間にも抱えています。
中国に対して同様の問題を抱えるこれらの国と連携をして、
中国に対して軍事的な圧力をかけないよう国際世論に働きかける
事は、実はとても効果があるのです。
中国は、古来より2方面作戦をとる事を避けてきました。
2方面作戦とは、同時に2つの異なる地域で戦いを行う、と
いうものです。
2方面作戦では戦力を分散して戦うことになるため、よっぽど
勝機がないととりづらい作戦なのです。これは外交的な「戦い」
においても言える事なのです。
果たして中国は、ASEANの会議の場で軍事的な圧力をかける
やり方に非難の声が出た際に、南シナ海などの紛争については
二国間で協議すべき問題である、と反論し、議論を当事者同士
で扱うべきであると主張しました。
ですから、日本はアジアの諸国と連携して、中国の軍事的野望
を押さえ込む外交戦略をとっていくべきなのです。
ロシアやインドなどの大国との連携
そうした中できわめて影響力の大きい国として、インドとロシア
があげられます。両国とも軍事大国であり、核保有国でもあります。
インドは7億人の人口があります。ロシアも広大な領土を抱え
ており、両国とも第二次大戦以降もに中国と国境を巡って紛争
を続けていました。
日本はインドとは良好な関係を保っています。
一方ロシアとの間には北方領土問題があり、必ずしも両国関係は
親密なものではありません。
けれどもロシアでは今年プーチン大統領が選出され、6年もしく
は12年に渡ってロシアのリーダーとして再び舵を取る事にな
りました。
プーチン大統領は知日派としても知られており、北方領土に
ついては、2島返還論も表明しています。
また、あまり知られていない事ですが、2008年に台湾を
「国家」と呼んで、その経済的発展を賞賛しています。
これは中国にとってはきわめて許しがたい事なのです。
日本はこれを機に、経済的協力を働きかけるなど、関係を密に
して領土問題を解決を計りつつ、北から中国を押さえ込む
「盟友」としてロシアとの関係を密にしていく必要があります。
インドは中国の南西に位置しますので、上と下から中国を
挟み込む形となり、それに加えてベトナム、フィリピン、ミャンマー
といった東南アジア諸国と協力をすることで、中国包囲網が
形成されます。
米国は経済的な厳しさからアジア地域から戦力を縮小させる
動きが出ていますが、インドやロシアと強い協力関係を結ぶ事
ができれば、中国の軍事的拡張欲を押さえ込む事は可能でしょう。
いま、政治は増税という国内問題にしか意識がありませんが、
今年になって一層活発になってきている尖閣諸島付近での中国
艦船の動きや、またもミサイル発射を行おうとしている北朝鮮
の動きを見るならば、もはや日本の安全を守るための対策を早急
に立てる必要があります。
今年はアメリカ、中国、台湾、ロシアで指導者が替わったり、
選挙が行われる年でもあります。
指導者の交代で大きく世界情勢が動く可能性もありますので、
その中でしっかりと日本の立ち位置を見失う事無く、
冷静な対応が望まれます。
転載、させていただいた記事です
http://ameblo.jp/muggle1009/entry-11197197812.html
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