「中国高速鉄道事故」についてのNHK“クローズアップ現代”を見てびっくりした。
2011年08月04日(木)こぶな将人氏ブログ転載
http://blog.canpan.info/kobuna/archive/1041
さる7月23日に発生した「中国高速鉄道事故」については、
本日に至るまで世界中で、さまざまな動きを続けています。
日本では、例の事故車両を埋めた事、追突した車両は、
まさに日本の川崎重工の「はやて」そっくりで、実際に
技術供与をしたことが明らかになっているなど、
そして、驚くことに明確な現場検証の結果が公表され
ていない事も中国らしいと思いました。
さて、およそ二週間が経過しようとしている中、たまたま
録画していたNHKの看板番組である「クローズアップ現代」
を見て、二重の意味で驚愕の内容でありましたので、
久々にアップさせていただきました。まず、この番組の
内容ですが、私も中国は共産党一党独裁の国家であり
、先般のノーベル賞受賞した劉暁波が逮捕、受刑中で
あることなどから、言論の自由が厳しく規制されている
国家であると認識していたのですが、実は、今回の事故後の
対応を観る限り大きく変化しているとのことでありました。
今回の鉄道事故では、多くの死者がでました。
番組では、その中で、ご主人を亡くされた王恵さんに
フォーカスして、彼女が政府にたいして、全く説明がなされて
いない事への疑問を投げかけている様子を映像で見ること
ができました。実は、中国ではツイッターは禁止されており、
やはり言論統制の国家であることを証明しているのですが、
中国版ツイッターというべき「新浪微博(シナ・ウェイボー)」と
いうサービスがあり、これを通じて、ご自身のなまなましい
思いを吐露しているというのです。そして、彼女の想いに
こたえるように、全中国から続々と援助の申し出があっ
たそうです。
ツイッター同様に、ウェイボーも実名ではないので、個人
としの意思表示がやりやすいということもありますが、
次の話は、もっとびっくりする話であります。
残念ながら、というか中国では当たり前のことでありま
すが、今回の事故にあたり、政府が中国国内メディアに
対して、事故関連の記事を掲載する事を禁止されてしま
ったのですが、実は、この顛末がすべて例の「ウェイボー」
に掲載されたというのです。そして、ある新聞社がその
削除されたという新聞記事をネットに掲載したのです。
そうした動きから多くのメディアが、続々と続いて今回の
事故について報道を続けることになりました。まさに、
中国版「ジャスミン革命」を思わせるような動きがでて
きているようでした。
NHKの番組では、キャスターの方が「中国中間層の怒り」
と表現していましたが、今、経済的にも踊り場を迎え、
厳しい状況が出ている中国において、今回の事故をきっ
かけにして政府への不満が一層高まってくることがよく
わかりました。そうなると、国内問題を海外への覇権主義
に転化するのが、よくあるパターンなので、我々日本と
しては、今後とも十二分に尖閣問題など覇権主義に注意
しなければなりませんが、しかし数年前では考えられない
事態であることは間違い有りません。アダム・スミス氏が、
その決意を述べていたように、中国での民主化の大きな
一歩が記されたと言えます。
さて、こうした中国のおどろくべき変化について、アップ
いたしましたが、実は私が驚いたのは、もうひとつあり
まして、こうした中国の民主化、それもマスコミの実態
について、NHkが赤裸々に報道することが、革命的で
あると強く感じました。NHKは、なかなか中国に対して
は、弱腰の報道がめだっていました。機会があれば、
お伝えしたいのですが、ラジオ中国語講座の内容など
観ると、日中関係について、あたかも日本が悪いと
思わせるような内容がテキストになっていたりします。
非常に憂慮していたのですが、今回の番組を見る限り
では、非常に公平なスタンスになっていると感じました。
NHKといえども、言論統制にたいしては、条件反射的
に、自由を主張するのでしょうか。いずれにしても、好
ましい方向であることには変わりありません。ぜひ
こうした報道を続けてほしいと思います。
今回は、中国高速鉄道事故の対応について、中国
国内の事情とそれを報道するNHKにつて“革命的”
な変化があったので、アップさせていただきました。
転載、以上。