2017年12月19日発行
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1、江夏正敏の「闘魂一喝!」
「NHKは生き残れるか―受信料は合憲という最高裁判決を受けて」
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「NHKの受信料はテレビを設置したら支払い義務が生じる」。12月6日に最高裁大法廷は、これを「合憲」とする初判断をしました。
具体的には、テレビがあるのに受信契約を拒んだ男性に、NHKが受信料を請求できるかが争われました。
『契約の自由』などを保障した憲法に違反するとした男性側の主張を退け、双方の上告を棄却。
NHKの受信料制度は「表現の自由を実現するという放送法の趣旨にかなうもので合憲」との判断です。
男性にテレビ設置以降の受信料支払いを命じた2審の東京高裁判決が確定しました。
今回のメルマガでは、この最高裁判断の実際と、NHKをはじめとするメディアのあり方、未来の方向性を述べたいと思います。
●『契約の自由』と受信料。
放送法64条1項には「受信設備を設置した者はNHKと受信についての契約をしなければならない」とあります。この規定は努力義務でしょうか、それとも強制的な規定でしょうか。
今回、受信契約を拒む東京都内の男性は「強制を認めているとすれば、憲法が保障する『契約の自由』を侵害する」と主張していました。
この『契約自由の原則』は、近代社会の根本原則です。
突然、あなたが誰かから、身に覚えのない請求書が送られてきても、あなたが同意しなければ、その契約は成立しません。
この放送法は、男性が言うように『契約の自由』を無視し、本人の同意のない強制的な法律にあたりそうです。
しかし、最高裁は現行方式を合憲としたのです。
●今回の判決はNHKの敗訴という面もある。
ただ、合憲としても、NHKの主張が全面的に認められたわけではありません。もっと言うとNHKの敗訴という面もあるのです。
今までNHKは「承諾の有無に関係なく、NHKが契約を申し込んだ時点で契約が成立する」と主張していました。しかし、今回、最高裁はこの主張を斥けました。
つまり、「NHKからの受信契約申し込みに対し、受信設備設置者が承諾しない場合には、NHKがその者に対して承諾の意思表示を命ずる判決を求め、
その判決の確定によって受信契約が成立するのが相当である」ということです。
簡単に言えば、NHKが未契約者に対して、受信契約の締結を申し出ただけでは契約は成立せず、契約を求める裁判を起こして勝訴判決を確定させる必要があるのです。
そして、判決が確定すれば、未契約者にはテレビを設置した時点まで遡って支払い義務が生じるとうことです。
ですから、契約を拒む人から受信料を徴収するには、今後も個別に裁判を起こさなければなりません。これはNHKにとっては簡単なことではありません。
年額1万3000円を取り立てるために、未契約の900万世帯に訴訟を起こすことは大変だからです。
●最高裁のNHK受信料制度への判断は妥当か!?
さらに、最高裁は次のように述べています。
「NHKの存在の意義及び事業運営の財源を受信料によって賄うこととしている趣旨は、国民の知る権利を実質的に充足し、
健全な民主主義の発達に寄与することを究極的な目的とし、そのために必要かつ合理的な仕組みを形作ろうとするものである」と。
さらに「具体的にいかなる制度を構築するかが適切であるかについては、憲法上一義的に定まるものではなく、
憲法21条の趣旨を具体化する放送法の目的を実現するのにふさわしい制度を、国会において検討して定めることとなり、
そこには、その意味での立法裁量が認められてしかるべきである」。
簡単に言うと、最高裁は「NHKは国民の知る権利を満たし、民主主義に必要だと考えられる。
しかし、今のNHKの受信料制度が、ふさわしい制度かどうかはわからないので、国会でもっと良い制度を考えてもいいのでは」と言っているようです。
●NHKが受信料をもらう大義名分。
NHKが受信料をもらう大義名分を、今回の裁判でNHKは次のように説明しています。
「時の政府や政権におもねることなく不偏不党を貫き、視聴率にとらわれない放送をするには、安定財源を確保する受信料制度が不可欠だ」と。
これには少し違和感があります。不偏不党を貫いているとは言えないのではないでしょうか。
今回の最高裁でNHKと戦った男性の「NHKの偏った放送内容に不満がある」という意見に共感する部分もあります。
●幸福実現党の大川隆法総裁の苦言。
これに関して、幸福実現党の大川隆法総裁は、次のようにNHKに対して苦言を呈しています。
「NHKも左翼的知識を頭につめ込んだ偏差値秀才軍団のかたまりなのだろうが、間違った結論を流すために番組を作り続けることは、
決して、公正でも、公平でも、中立でも、客観的でもない」
「NHKを“国営放送”として許せない、という人々も私のまわりには増えてきつつある。
もちろん受信料は払いたくないそうだ。あまりの偏向度と、結論の間違いにウンザリしているのだ」
「わが家のテレビも数だけはたくさんあって、ずいぶん(受信料を)払わされているので、少しは元を取らなければいけないと思っている。
見ている時間はものすごく短くて、本当に少ししか見ていないのだが、受信料はその時間に関係なく取っていく。あれも、本当は少し問題がある」
「中国や韓国、北朝鮮の暴挙・暴論を的確に批判できないようでは、NHKは公正中立な報道をしているとは言えない」
「今、目の前にある危機を解読できないとしたら、唯一の“国営放送”としての罪はあまりにも大きいと言わざるを得ない」
「特に北朝鮮・韓国・中国に対して、国益に基づいて言うべきことをキチッと言ってほしい。
彼らの人権弾圧、宗教弾圧、言論統制、腐敗、堕落、危険性、侵略性についてもキチッと解説してほしい。これがNHKに黙殺されている国民の声である」
●職員が高給で優遇されすぎ!?
さらに、今回の最高裁判断を受けて、一言い言いたくなることがあります。
2016年度のNHKの事業収入は7073億円で、そのうちの6769億円が受信料収入です。約96%にあたります。
国民から受信料の強制徴収をして、NHK職員が高額の報酬を受け取っていることに、納得がいかない声があります。
表向きの大卒モデル収入は30歳で532万円、35歳で669万円と公表していますが、実際には手当を乱発していて、
一般職員は30歳を超えると1000万円の給与をもらっていると、元NHK記者の立花孝志氏が指摘しています。何か釈然としませんね。
●NHK受信料取り立ての苦情増加。
また、毎日新聞の報道によると、NHKの受信料を巡り、全国の消費生活センターに寄せられた件数が昨年度8472件となり、過去10年間で4倍に急増したとのこと。
この理由を前出の立花氏が次のように指摘しています。
「NHKの集金を外部事業者へ委託したのが10年前。そこから苦情が増え始めました。業務委託後に、スタッフは2カ月おきにローテーションで担当エリアが替わります。
スタッフは短期勝負に徹し、交渉相手と顔なじみにならないように、ドライな対応が可能となりました」とのこと。これも釈然としないですね。
●NHKの肥大化は民業圧迫になる。
今回の最高裁判断で、受信料収入の増収につながり、NHKの肥大化を危惧する意見があります。さらに、経営効率化への取り組みが疎かになるとの懸念があります。
NHKは2019年度に、テレビ番組をインターネットで同時配信する新規事業を始めるようです。4K・8Kなどの、高画質放送の事業にも手掛けています。
このように事業を野放図に広げていけば、民業圧迫につながって良くないと思います。逆に受信料を下げる努力もすべきでしょう。
●NHK受信料は過去の遺物!?
そもそも、NHKの受信料は、民放がなかった時代の遺物とも言えます。
民放がなかった時代は「テレビを設置した段階で、契約義務がある」という規定には意味がありました。
なぜならば、1950年のNHK設立時、NHKの契約とテレビの設置は同義だったからです。
多チャンネルとなった現在、そのような規定を存続させる意義はあるのでしょうか。
●スマホやカーナビも?
NHKはチューナー内蔵のパソコンや携帯電話のワンセグ、カーナビにも受信料を適用しようとしています。
国民感情として「それはないだろう」と思う人も多いのではないでしょうか。
テレビが現れたときから時代は進みました。新しい契約形態を考えなければならないと思います。
●受信契約や受信料支払いの義務化の根本問題。
現在、インターネットで無料の情報が得られる時代となりました。その情報は、多様化され、偏らない情報が得られることが可能となりました。
そのような時代に、偏向報道に傾きがちなNHKを特別扱いし、公共メディアとして強制的に支え、今後も支え続ける意味があるのでしょうか。
●国営放送であるべきか。
一方、「NHKを国営放送にしてしまえ」という意見もあります。受信料を税務署が徴収したら、NHKは国営放送になることと等しいでしょう。
国営放送になれば、政府の発表を一方的に流すことが義務付けられることになります。それはそれで怖いですね。
共産党政権になれば、共産党礼賛、北朝鮮、中国礼賛の番組ばかりになりそうです。
●多チャンネル化。
幸福実現党的には、これからのテレビ等のメディアの方向性は、多チャンネル化にあると考えています。
社会主義的な政策でメディアを抑え込んだりすることなく、また、一つの偏向したメディアの悪影響を薄めるためには、自由主義的な政策が必要です。
それは、メディアを多くすることで、国民に選択肢を増やすことです。これがマスコミの力を落とすことなく、さらに繁栄させる考え方です。
視聴者はいろいろなチャンネルが楽しめ、いろいろな情報が取れて、民主主義の発展にも寄与するのです。
これは19世紀の思想家で『アメリカの民主政治』を書いたトクヴィルの考えと一緒です。
トクヴィルは「民主主義においては、メディアを多様化して、その公正を保つべきである。
マスコミが世論を操縦していかないように、その公正を担保すべきである」と言っています。
●スクランブル放送など。
ではNHKはどうなっていけばよいのでしょうか。
例えば、契約者だけに番組受信ができるような特殊な信号を乗せるスクランブル放送も可能です。BSなどではすでに行っています。
このような技術を使えば、受信料を払った視聴者だけに番組を提供することができます。
インターネットやスマホでは「NHKアプリ」をつくってアクセス制限をかければよいという意見もあります。
●NHKにはソフトパワーがある。
インターネット時代となった今、受信料制度を廃止して、NHKのソフトパワーを解放すべきだという意見もあります。
NHKには過去、ドキュメント番組など、豊富な資金によって作られた良質な作品も存在します。そのソフトは、民放には敵わない圧倒的な力とも言えます。
そのソフトを有効に活用すれば、新たな位置を確保できるのではないでしょうか。
とにかく、不偏不党などと不可能なことを目指すよりも、メディアの多チャンネル化の流れの中で、
NHKは公共放送としてではなく、独自の存在意義を見出す努力が必要なのではないでしょうか。
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2、編集後記
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NHKは不偏不党と言いながら、情報操作を行っています。
ある意味、朝日新聞よりたちが悪いとも言えます。
私たちから強制的に受信料を徴収するなら、国益に適った放送をするべきです。
しかし、中国や北朝鮮、韓国を利するような報道が多いのです。
このような報道を許していれば、受信料を払いたくなくなります。
この根本解決は、国会ですべきでしょう。
メディアの未来のあり方を、自民党は持っているのでしょうか。
ここにも哲学と明確なビジョンが必要です。
幸福実現党は自由主義に基づくメディアのあり方を提唱しています。
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◆ 江夏正敏(えなつまさとし)プロフィール
1967年10月20日生まれ。
福岡県出身。東筑高校、大阪大学工学部を経て、宗教法人幸福の科学に奉職。
広報局長、人事局長、未来ユートピア政治研究会代表、政務本部参謀総長、
HS政経塾・塾長等を歴任。
幸福実現党幹事長・総務会長を経て、現在、政務調査会長。
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◆ 発行元 ◆
江夏正敏(幸福実現党・政務調査会長)
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