小さな音風景

乾きゐる音を曳きつつ枯れ椿転がりゆけり風の吹くたび 

釈迦とあじさい娘

2011年05月02日 02時08分18秒 | 小さな日記
今年も、紫陽花の花が咲く季節がやって来た。この季節になると時々思い出す事がある。

もうだいぶ前の事だが、朝早く家を出て何の目的もなく車を走らせた事がある。
ただ少しでも遠くへ遠くへ行きたいために、現実の生活から逃げたかったのだろうか!
ただ遠くへ遠くへ・・・

県境を越え山を越え谷を越え走って走ってたどり着いたところは釈迦ヶ岳、お釈迦様にでも逢いたかったのだろうか!
それとも自分がお釈迦にでもなりたかったのだろうか!
すれ違う車もなく人影もなく山中を登ったり下ったりぐるぐる走り回った。

人っ子一人居ない山の中で車から降りた。季節がら山の中はじめっとしていた。
何も音は聞こえない、飛行機の音も、車の音も、町のざわめきも、人の声も、しーんとしていた。

静寂の中にも聞こえてくるものがある。風の音や、鳥の鳴き声、木々や植物の揺れ動く音、虫の鳴き声・・・
たまにはこんな所もいいかなと思った。
しばらく山の中に立ちすくんででいたら目の前に色とりどりの小さな花が咲き乱れている事に気ずいた。

何の花とか解からず近寄り何を思ったのか色とりどりの花を7,8本抜いてみた。
山の土だからか季節的な事もあるのか花はズボズボッと簡単に抜けた。
どうする訳でもなくその花をトランクに乗せしばらくして山をゆっくりゆっくり降りた。

その帰り道何気なく立ち寄った園芸店、鉢植えの綺麗な花がいっぱい並んでいた。
花の事などまったく知らないし一度も買った事などないのだが・・・
せっかく寄ったから一つ買って帰ろうと思い車のトランクを開けた時の事だった。

店員さんの様子が変わるではないか!見つめる先はただ一つ、ただじーっと何も言わずに見つめるだけ・・・
しばらくしてこれ譲ってくれませんかと私に頼むではないか!
さっきの花の代金はいらないからこれを譲ってくれと泣き顔みたいに話してくる。

私はああいいよ、さっき山の中であまり色が綺麗だったから少し抜いてきたと話した。

もう手には剪定ばさみが用意されチョキチョキやり始めた、すぐにでも移植するつもりだろうか!
嬉しそうな顔をしていた。私にしてみればただの草花なのだが!

買おうとした花はただになり物々交換みたいなかたちで終わった。

帰り際聞いてみた。・・・ところでこの花、何という花?・・・紫陽花・・・山紫陽花・・・私の大好きな花・・・

趣味で集めているとか・・・。

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