この近所でも時々目にすることがあります。
どんどん古くなっちゃうな、
誰か住んであげられないのかな、
どうしてずっとこのままなのかな、
ただの通りがかりとしては
一瞬そんな思いになったりもしますが
それぞれの家屋には
それぞれに抱える事情や感情が
いっぱい詰まっているものなのでしょうね。
先日、高校時代からの友人から連絡があり
「実家」について悩んでいるとのことでした。
彼女のご実家は
東京に隣接する県の一軒家。
ですが現在ご両親は
お母様の出身地である沖縄にお住まいです。
私の友人も結婚を機に
都内のマンション暮らしですので
「実家」は空き家状態がもうだいぶ長くなってきています。
それこそコロナ禍前は
年に1〜2度はご両親も「実家」に帰ってきて、数日過ごすこともあったようですが
ご両親も高齢になり
移動もしづらくなっているのもあって
現在は放置状態とのこと。
その「実家」に、
数ヶ月前なんと空き巣が侵入したそうで
貴重品などは置いておらず
大きな被害はなかったものの
ご近所さんからは
ちょっとしたご意見もあれこれ頂くことになったようです。
友人にとっても
思い出多き「実家」でありますが
ご近所さんからも迷惑がられているのもあり
いつまでも放置していられない、と
“あの家をどうするか”と
ご両親とお兄さん夫婦も交えての話し合いを始めているそう。
お母様もお兄さん夫婦も、売却の意向。
しかしながら
持ち主であるお父様が
まったく聞く耳を持ってくれない、とのこと。
「とにかく頑固!どう説得したらいいのやら」
という状況で、相談の連絡が私のところに。
リノベーションして誰かに貸す、
家を取り壊して更地にして活用する、
生前贈与で名義変更…などなど
これまでに
思いつく限りの提案をしてみたそうですが
お父様はなんだかんだと理由をつけて
「あの家はあのままで」
ことの重大さは比較になりませんが
私自身も
“使ってないけど手放せないもの”はたくさんあります。
「捨てられないならメルカリにでも出してみたら?」
なんて言われると、
いや、そう言うことじゃないのよ、
と思ったり。
家を買うってすごく大きな買い物で
お父様にとって誇りであるはず。
「まずは、お父さんに“ありがとう”かもね」
そんな思いになりました。
家族が安心して暮らせる家を買ってくれて
お父さん、すごいね!
今はお母さんの大好きな土地に家を持って
お父さん、すごいね!
お父様の偉大さに感謝する。
その上で、
あの家での思い出を
たくさん振り返ってみる。
大切な家だけれど、
今は無事に役目を終えている家。
そういう視点で
お父様と話ができるようになってから
具体的にどういう方法が良さそうか、
の話し合いに進めてみるのはどうか
ひとまず友人とは
そんなところで話を終えました。
きっと彼女もご家族間でのやり取りの中で
目先の問題を早く解決させることばかりだったと思いますが、
赤の他人である私と話しながら
またちょっと違った感情が生まれたようで
涙しておりました。
最終的にどうなるのか、
話し合いはまだまだ続くことでしょうが
ご家族全員にとっての「実家」ですから
今後の決断も
良い思い出となることを祈るばかりです。