北日本児童文学賞、一次選考通過したのに、二次選考に残らなかった。
悔しいなぁ。
でも、だめだぁ。あんまり悔しがると、ヤツが目を覚ます。そう、わたしの中の体育系の性格を持つサミーだ。
「ちょっと、じゃまするで」
ヤツが、のれんをくぐって、やってくる。←どこやねん!!
童話を書く、ちょっとおとなしめのさとみが、パソコンの前で、ギョッとして振り向く。
「また、落ちたんやてな」
サミーがニヤッとしながら言う。さとみが答える。
「うん、でも、しょうがないわ。きっと、賞との相性が合えへんかってんやわ。そうそう、方角が悪かったんかもしれん。今年の私にとって、北の方角がよくなかったのかなー。とにかく次いくわ」
そう言って、またパソコンにかじりつくさとみのえり首をグッとつかんで、
サミーがどなる。
「なにを、相性とか方角とか、わけわからんこと、言うとんのんじゃあっ!! 気合いが足らんのじゃあ、気合いがああっ!! どや、悔しいやろ、もっと悔しがれ!! ほれ、悔しがれ!!」
「うっ、く、や、し、い…、だめーっ!!」
とたんに、さとみの目の前が、コートになる。中学時代、バレー部だったさとみは、悔しいという思いが強くなると、試合のことを思い出す。練習に練習を重ねて、試合当日、負けた瞬間、チームのみんなは、コートにひざまずいて、床をたたき、涙をボロボロ流して、悔しがった。その光景は、さとみ自身が悔しがった以上に、今もなお、心に深くやきついている。
いつのまにか、サミーがコーチの服を着ている。さとみはバレーのユニフォームを着て、赤いハチマキまでしている。
「なんで、負けたか、わかるか?」
「実力やと思います」
「そや! 他には?」
「技術、それから練習量」
「他には?」
「精神力も違ってたと思います」
「そうや! なら、とにかく練習するんや! 技を磨け!経験を積め! 精神力を鍛えろ!」
「ちぃーっす!」
さとみの情熱に燃えた瞳を見て、体育系サミーが満足げにうなずく。
「わかれば、ええんや…。体にだけは気をつけろよ、あばよ!」
そう言い残し、サミーは去っていった。
さとみの中で、次は絶対に!!と思う気持ちが、メラメラと燃えたぎる。
負けるな、さとみ! 立つんだ、さとみ! きっと明るい未来が待っている!
と・・・、アホな一人芝居はこれくらいにして、さあ、書こ書こ。
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