Lunatics in the air

with maniac love of SHINJI TAKEDA
since 6 Jan 2006

2006-03-31 | 独り言
何年か前の春。
多分、ちょうど今のように桜が咲いていた頃。

日本橋の丸善の文房具売り場に、
桜の花のペーパーウェイトが並んでいた。
透明樹脂の中に本物の桜の花が入ってるもの。
まるで、生きて咲いているように見えた。
咲き誇る花の盛りのまま、時を止めて。

ふと怖いことを考えた。

『この中に入れれば、彼を永遠に残しておける』

もちろん本気じゃない。ほんの思いつきだ。

陳列棚を見ながら狂った考えを弄んでいた私は
しばらくして突然はっと気がつく。

『それじゃだめだ。
 そんなことをしても彼は残せない。
 彼は消えてしまう・・・』

私が永遠に残しておきたいほど好きなのは、
単なる彼の姿かたちではなくて、
それも含めた生きて動いている彼だということ。
彼の身体に彼の精神がイキイキと輝いていて、
そして初めて私が好きな彼なのだということ。
・・・そう完全に自覚したのがその時だった。

好みの問題はともかくとして、
(真治の見た目は私のツボど真ん中!!)
真治より綺麗な人も恵まれた容姿の人も
きっとこの世には星の数ほどいるだろう。
長い手足、華やかなオーラ。
生まれ付き飛びぬけて派手で目立つ容姿。

私は真治はそういう人とは違うと思う。

彼は“そう生まれたからそうある”人ではなく、
”そうなろうとしてそうなり続けている”人。

もしその身体に別の魂が宿っていたら、
きっと今頃全然違う人になっていただろう。

彼が彼自身のために積み重ねてきたことが
彼の力となり、強さとなり、
その表情や動きに迸る彼自身のエネルギーが
彼を輝かせる。

全ては、彼が彼であるがゆえに起こったこと。

彼が彼であること。
それこそが彼を光り輝かせる。

『男優倶楽部』vol.23に出てきた
彼の言う、彼の中の彼自身にもわからない、
怒りのような行き場のないエネルギー。
彼の中の“磁場”。
笑顔の中に、走る姿に、音色の中にさえ、
私はいつもそれを見ていた。

そのエネルギーは、恐らく人生のある時点で
ほとんどの人が手放して先へ行くものだ。

私は、それを彼に手放してほしくない。
それを全く無くしてしまった彼を
今と同じように思っていられる自信が無い。
いつか彼がその先に行く時が来ることは
私の「旅」の終わりを意味するのかもしれない。

だけど、それを彼が自覚して口に出したのなら
もう、その時は近づいているのかもしれない。
そんなふうにも思える。

その先へ行った時、彼はもっと確かな光を手に
今よりも強くたくましいオーラをまとって
しっかりと立っているだろう。

「ずっとここにいて」
「もっと先へ行って」
・・・どちらも本当の気持ち。

それに、全ては私の勝手な考えでしかない。
彼や彼の発言をこんな風に捉えていることも。

先のことはわからない。
まして私はキリギリス。未来なんて知らない。

咲きこぼれる桜を目を細めて眺めるように、
ただ、美しいと感じるものを見つめていく。

キラキラの時も、そうでない時も。
私にとっては誰よりも美しい、彼のことを。


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