詩「私の体裁」石川勝敏作
この空の 止まっているようで 着実に動いている
ぽつねん 一つの雲になりたい
そしてそれは いつの間にか
大きな雲に合流して 誰にも わからなくなっている
私はそんな雲になりたい
あの大木の 常緑樹のように 一年に一度 垢を落とさんかな
暖色の葉を 彼は 素知らぬ顔して緑のままで
暖色の葉を 散らし それらは風に運ばれ
その葉を手にする者に おや 季節外れな
私はそんな楠になりたい
その流るる水は どこから来たものか
虹を上にかついでいて そんな水になりたい
光と噴霧の作り出す幻影は 人々に 希望をもたらす
ただ一つ条件をつけるなら
それは 実体であって欲しい 永遠のそれに
私はそんな水になりたい