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簿記とは帳簿であり、画像1のように、常にアルファベットのTの形をとります。これで表になる訳ですが、まずは簿記といえばTであるとの認識を持って下さい。そのT状を使ってそこに入る言葉のことを、この講座では「名目」と置くことにします。追々この名目は正確な言葉に取って替えて行きます。
水平線とその下の中央に垂直線があるのが分かります。この中央垂直線を境に見ると、右側と左側とに分別視することができますね。右側の名目は左側、左側の名目は右側と、それぞれの名目はどちらに来ても構いません。ただし、それだと皆が各々ばらばらな記入法をすることになりかねず、よって右側の名目は何か、左側の名目は何かと、国際標準として定められています。これで、世界中の誰が見てもそこに何が記載されているか分かるというものです。
左側と右側とには各々に名目タイトルがあり、これらは忘れてもらっても構いませんが、社内や社外との取引でのやりとりにおいて、これら名目タイトルを覚えていた方が、コミュニケーションがスムーズに行くのでその意味においてのみ覚えておきましょう。共通認識です。これらは正確な言い方ではありますが同時に仮の言い方と言っても差し支えないぐらい、それらの言葉には意味がありません。名付けの歴史的経緯をお知りになられたいのならご自身で調べられると良いかもしれませんが、ここではそれは扱いません。
T表の左側を借方(かりかた)、右側を貸方(かしかた)と云います。これらが名目タイトルです。
借方の額と貸方の額はその時点時点でいつも同じで一定しており常にイコール関係にあり、相殺すると必ずやその差し引きはゼロになる、そういうバランス(均衡)がとれている状態になっていなければT表は存在し得ません。たとえば家計簿を考えてみましょう。借方と貸方の関係はここでは予算もしくは収入と支出に置き換えられます。両サイドの額が合っていなければ、やり繰りは成立しませんね。それと同じことです。
一定時点の財政状態を明らかにするためのTを使った貸借対照表という名目の表があります。貸借対照表は別名Balance Sheet/バランスシートとも云い、これを略してB/Sという表現をとることもあります。
この貸借対照表でいうと、借方の中の名目は「資産」であり、貸方の中の名目は「負債」と「資本(純資産)」の2つの名目があります。
資産とは、現金や土地・建物のような財貨と、貸付金や売掛金(うりかけきん)のような、あとで現金などを受け取る予定の金額相応の債権という権利があります。つまり資産とは一言で言えば、企業がその活動の為に所有する財産のことです。
売掛金とは、たとえば商品やサービスを売るには売るのですが、その交換利益がすぐには現金化されず、あとで受け取る権利(債権)をこれこれ幾らと保有していて、その契約がある時点で発生したことを示しています。
たとえばそれは約束手形の振り出されという行為で見てとれます。ある取引先にある商品やサービスを売った場合、相手の買い手側が約束手形という証券を現金即払いの代わりに作成しそれを当該企業が受け取るのですが、その手形には、買い手である手形の作成者、この取引先があと払いの為の保証としてそれを振出すので振出人とも云いますが、その振出人の名前と支払いを約束した日と振り込む銀行先と実際の支払日(振り込み日)、それに支払額やこちら受け取る側の企業名(名宛人/なあてにん)が記載されて発行され、それがこちらの売掛金を証す書面としてこちらは受け取り支払日まで保管するのです。なお、経理処理や管理体制により保管は実際には流動的です。
負債とは売掛けの逆の買掛け(かいかけ)や借入金など、将来、現金などを支払わなければならない義務(債務)のことを指します。
では、資産対負債+資本(純資産)とはどういうことでしょうか?
資本は裁量をもって自由に使える売上金などから出るお金のことですが、では対資産においてもう一つの矢である負債はなぜ資本と共に同じ貸方に来るのでしょう?資本がプラス(+)とすれば負債はマイナス(-)ですが、絶対値で資本と共に計上しておくと、今はマイナスだがあとのある時点ではプラスになる余力と資本の合計が、資産とプラスマイナスゼロの現況関係に落ち着くからです。
ですから資産から負債を引くと、実益の資本(純資産)が導かれるのです。
借方中の資産の売掛金(あとでの現金化)や貸方中の負債の買掛金(あとでの現金目減り)などその時の時点で織り込み済みの金額も、上述のようにしてその実数を計上しておきます。
このTである貸借対照表を実際表にしてあらわすと下の画像2となります。
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