私が思い付いた命題です。
「ウサギさんはド(C)しか知らない」
これは合っているか間違っているかという命題です。
おそらく皆さんはド(C)だけでも知っていれば大したものだ、こういうたぐいの感想をお持ちになるのではと推測します。
ですが音(音名)というのは、相関的なものですから、認知論から述べれば、ド(C)をのみ知っているというのはあり得ないです。
ドレミファソラシド(CDEFGABC)の中の全てでなくても最低2つの音(音名)がわかって初めてウサギさんは、たとえば、ドとソ(CとG)の区別がつく、即ちド(C)をだけでなく、ソ(G)と併せて、或いはソ(G)をだけでなく、ド(C)も併せて認識できるが故に、ウサギさんはド(C)を知っていると言えるのです。
これは又、音の区別の話か、それともド(C)やソ(G)という人間が付けた記号(音名)の話かに、実は大別されます。
前者なら音階としてのド(C)とソ(G)の区別はウサギさんにはつきません。人間の創造ですから。よって本当にはウサギさんにはド(C)がわかりません。ウサギさんに分かるのはひとえに音の高低のみであって人間が編み出した音階への認識はありません。
後者の話は童話や冒険物やファンタジーなどのフィクションでのみなら、「モーツァルトことウサギさん」だって論理的に可能です。これら音階は人間が音に割り振った記号(音名)ですので、ウサギさんと我々はその認識においてそれらを共有することはそもそも不可能です。人間がウサギさんの感得能力を共有できないのと同じことです。
ここで、この命題がもう一つ肝を成している問題を内包していることに触れます。
それは、問われているド(C)が、1オクターブの中の、上行するなら、最初の低音としてのド(C)か最後の高音としてのド(C)かという明示されていない課題です。
これを解くのは、ウサギさんに低音ドと高音ド(highC)が「君に聴きわけられるかい」と問うことと同じであって、先程も述べたようにウサギさんには人間の音階がわからなく、又、音名もしかりなので、最終回答はどちらのド(C)にせよ、ウサギさんには全く関係のない愚問となります。
結論を述べましょう。「ウサギさんはド(C)しか知らないということはない」つまり、「ウサギさんはド(C)をも知らない」が回答です。
話は私がしている声楽の、高ド(highC)について触れましょう。テノールでよくhighCという音名を聞かれることが皆さんにもあるかと思います。
なぜそれより高い高レ(highD)がないかというと、テノール域で出せる最高音の声楽声がhighCなのだという規律がその背後にあり、同時にその規律は、それ以上高いのであれば別のより高い声域に移っている、とするからです。よって誰にとってもhighDは耳馴染みのない音名となっておるのです。
今度、私は私の中で、テノール感が残っているのに、highCより高い声楽声が出せたと思い収録の再生でもそれが確認できたひには、説明の中で、規律を破って、「including highD」と表記しようと思います。
※うさぎ画像出典:google「うさぎ画像」検索