Aさんちでは月に10万円の所得を得ており、これを予算として消費財を購入して生活しています。また、何を買うかの意思決定はAさんが代表して行ないます。そして、この世の中に存在する消費財は、ローンや通信費等々を挙げる代わりに、米と肉の2種類だけに集約します。
美しい論理は常にこのように単純化されます。
そして、米の価格は1Kg当たり400円であり、肉の価格は1Kg当たり5000円であるとします。
図1-1は、縦軸が米の消費量を示し、横軸が肉の消費量を示したものです。Aさんは、10万円すべてを米に使えば、10万円÷400円で最大値として250Kg(A)を、すべて肉に使えば、10万円÷5000円で最大値として20Kgを買えます。
図1-1のABは常に予算一杯まで消費財にまわすことを前提にしています。もし、貯蓄をしているとしたなら、それも消費財として加えて予算一杯までということです。この限りからABを予算制約線と呼びます。
先程は米と肉のどちらか一方だけを消費財とする例でしたが、これはまた、米と肉の両方を組み合わせて買うことも、もちろんできます。たとえば、米150Kg(6万円)、6万円÷400円=150Kg、肉8Kg(4万円)、4万円÷5000円=8Kg、このような組み合わせ(C)や、あるいは米を50Kg(2万円)、2万円÷400円=50Kg、それに肉16Kg(8万円)、8万円÷5000円=16Kg、このような組み合わせ(D)でも買うことができます。
そして、図1-1のように、上述のA、B、C、Dの4つの組み合わせの点を書き込み、それらを線で結んでみると、4点が同一上に並ぶ一つの直線が描けます。このABの線上およびその左下側にある組み合わせだけ(左下側では予算をすべて使い切らないことになります)が購入可能だという意味で、ABを収支均等線とも云います。
以上、それで何を説明しているかを要約すると、限りある所得(収入)=予算の中で、欲するもの要とするものが複数ある場合、それぞれを購入する折りのそれぞれへの支出の配分の仕方が幾通りも分かり、その中で自分が「いい」と最適に思えるものの買い方がつかめるという訳です。コンピューターの助けを借りるように。
これではまだ選択肢が多くて迷うとおっしゃるかもしれません。
そこに関してはその2で明かします。