私がある楽曲中のあるくだりのことをそのまま「くだり」と言うとき、そのくだりには実に様々な用語と定義付けが実際には存在します。以下がそうです。
★モティーフ(動機)・・・一つの音楽的意味を見出せる2音から3音辺りまでの音の集まりで、音楽を構成する最小単位。後述のテーマ(主題)の一部分ともみなし得る。
★テーマ(主題)・・・楽曲や楽章の中で、その有機的な展開と統一の核となる主導的な楽想で、多かれ少なかれ形態的なまとまりを持つ。大きさは、時代や個人様式により異なり、3小節から20小節とそこには大きな幅が認められる。冒頭のモティーフ(動機)でも触れたように、内部でいくつかのモティーフ(動機)に分割され得るとされる。
★メロディー(旋律)・・・一般的には楽曲の中で、表現上や形式構成上、あるまとまりを持つと同時に独立した役割を果たす場合、それらはみなメロディー(旋律)と呼ぶが、厳密には、テーマ(主題)より下位としてその一部を構成するもので、音楽の展開や構成の素材の機能を有し、リズム・和声・旋律という音楽構成上の3要素の一つとされる。
★センテンス(楽節)・・・楽式構造上、完結性をもつ最小単位の小節群で、メロディー(旋律)あるいはテーマ(主題)の基礎をつくる。小楽節は4小節でこれが2つ連なり前後を形づくるとき、各々前楽節(4小節)と後楽節(4小節)と呼び、このように形成されている楽節は前後合わせて大楽節(8小節)という。
★フレーズ(楽句)・・・小楽節に相当するとも言うが、メロディー(旋律)の流れの自然なまとまりを指すこともあり、規模は4小節程度。
上記のように「くだり」とは、主観と客観の交錯するものですので、私は安易に「くだり」の正式名を1つこっきりで言い表わすことはあまりしません。