聖ベネディクト(祝福の人)を意味します、彼が多くの人々を祝福したからであり、あるいはその生涯に多くの祝福に恵まれたからであり、あるいは全ての人々が彼を祝福したからであり、あるいは彼が永遠の祝福にあずかったからである、聖グレゴリウスは、彼の生涯を書き残した。聖ベネディクトはヌルシアに生まれ、少年時代に学問を修める為にローマに送られた。しかし、彼は、それに飽き足りなかた。そして、まだ少年らしさが抜けきらぬ年ごろに学問を棄て、どうして、荒野に行こうかと考えをめぐらした。しかし、彼がいよいよ荒野の生活に入ろうとしたとき、彼を非常に愛していた婆やが彼のあとを追って、アエシデという村までついてきた。この村でのこと、婆やは、小麦をふるうためにふるい盆を借りてきて、不用意にテーブルの上に置いていたので、何かの拍子に落ちて、二つに割れてしまった。聖ベネディクトは、婆やが泣いているのを見て、割れた盆をとり、その上で祈った。そして、彼が立ち上がると、盆は元通りになっていた。その後、聖ベネディクトは、こっそり婆やから逃げ出し、ある村外れに来て、そこに誰にも知られず三年間住んだ。ただ一人ロマヌスという名の修道士だけは、例外で、聖ベネディクトの元へ彼が必要とする全てのものをせっせと運んでやった。しかし、ロマヌスの修道院からは聖ベネディクトの住んでいた洞窟に降りていく道がなかったので、ロマヌスは、パンを長いロープにくくりつけ降ろした。ロープに鈴が結びつけられていて、彼がパンを降ろすと、聖ベネディクトは、鈴の音を聞きつけ洞窟から出てきて、パンを受けとった。ところが、ロマヌスの親切心と聖ベネディクトの食べ物を妬ましく思った悪魔が、石を投げて鈴を割り、音がしないようにしてしまった。しかし、ロマヌスは、それにもめげずに毎日食べ物を降ろし続けた。ところである司祭が、復活祭の日に自分のためにご馳走をととのえた。すると、そこて主イエズス・キリスト様が現れて、こう言われた。あなたは、楽しい食事を用意しました。しかし、私の僕がある場所に横たわり、飢えのために死にかけています。司祭は、すぐ立ち上がって、聖ベネディクト探しに出かけ、さんざん苦労した末やっとのことで彼を見つけることが出来た。司祭は、彼に言った。起きてください。今日は、本当に主イエズス・キリスト様が甦られた日です。ですから、今日断食をなさるのはよくありません。主イエズス・キリスト様が私をあなたの所へ寄こされたのも、そのためなのです。こうして二人は、共に食事をとり、神を褒め称えた。ある日のこと、つぐみと呼ばれる一羽の黒い烏が、聖ベネディクトの周りをうるさく飛び回った。手に伸ばせば捕まえられほどの近さであった。しかし、彼が十字を切ると、烏は消えていた。その後、悪魔は、聖ベネディクトの心眼の前に、彼がかつて世俗にいたころ見たことある女性を連れてきた。そして、あの手この手で彼をそそのかし、ついにその女性幻で彼の心を燃えあがらせたので、彼はこの快楽に屈して荒野を棄てたいとまで思うようになった。その時、神が彼の心を照らされ、彼がこの誘惑に抵抗するように助けられた。彼は、服を脱いで素裸になり、茨とあざみの上を全身血まみれになるまで転げ回った。こうして、心の傷を肉体の傷で癒した。そして、恋の情炎を外に引きずり出したとき、罪に打ち勝ったのである。この時以来、どのような肉体的誘惑も、もはや彼を襲うことははなかった。さて、彼の優れた評判は国中にひろまった。そのころ、ある修道院の院長が亡くなった。
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