まさか、またPK戦になるとは思わなかった。
数字の上ではスペインが全て上回っていたが、互角だったろう。
スペインの選手たちは慎重だった。ラモスもカプテビラもほとんど上がらなかったことがそれを象徴していた。
しかしアラゴネスは強気で、大胆だった。
後半早い段階での2枚代え。しかもシャビを下げてのセスク投入。
しかしこれは理にかなったことだろう。へんにオールスターにせず、ゲームメイクをするのはシャビかセスクか、どちらかしかない、ということだ。そしてセスクは良かった。
だが素晴らしかったのは今日もセナと、プジョル、マルチェナ、カシージャスのディフェンス陣だった。
そして最後はカシージャスで勝った。
しかし、このゲームの勝者に、どちらがふさわしかったかと考えても分からない。
スペインを応援しているが、スペインのほうが勝者にふさわしかったかといえば、そうは言えない。
イタリアにもセミファイナルに進む資格はあったろう。
勝因を、あるいは敗因でもいいが、何に求めればいいのか。
ブフォンがカシージャスより劣っていたわけではないだろう。
PKで重圧に負けたイタリアの二人を戦犯にすることもふさわしくない。PKのトスで勝って、イタリアが
先に蹴っていれば、違う結果だったかもしれない。
もしそうなら、勝敗を決したものはツキ、ということになる。
そう言ってしまうと味気ないから、こう考えてみよう。
スペインがイタリアを圧倒できなかったのは何故か、と。
まず頭に浮かぶのは、ミランの2人がいなかったことだ。
ピルロとガツーゾのいるイタリアのほうが予測できて、スペインはやりやすかったような気がする。
それからカンナバーロ、マテラッツイの不在は何の問題もなく、ディフェンス陣が非常に強力だったこ
と。
ポルトガル、オランダと、テクニックに勝る方のチームが、テクニックを発揮できずに敗退していった
のを見ていたから、スペインも同じことになるのではという不安があった。
だがスペインは、ポルトガルやオランダのように単調な攻撃を繰り返したわけではない。シャビ、シル
バ、イニエスタはいろいろとやった。
シャビが切り崩せないとみると、セスクにやらせてみた。セスクはリズムを変え、スリリングな場面も
演出したが、こじ開けるところまではいかなかった。
もう何年もイタリアがカテナチオだ思ったことはないが、今日はそう言ってもいいような気がした。
イタリアには残酷な結末だった。
スペインを応援していたが、今日はイタリアに同情した。
[スペイン×イタリア 0-0 5-3 euro2008 順々決勝]