《試練》――現在史研究のために

日本の新左翼運動をどう総括するのか、今後の方向をどう定めるのか

沖縄からの通信~「オール沖縄」が全4区で自民に勝利

2014-12-15 22:34:15 | 沖縄問題
沖縄からの通信~「オール沖縄」が全4区で自民に勝利

全員当選した「オール沖縄」

 2014年衆議院選挙の結果、沖縄の全選挙区1~4区において、「オール沖縄」の候補者は全員が当選し、自民党候補者全員をたたき落としました。



 これで、「オール沖縄」は、今年1月の名護市長選挙にはじまり、名護市議会選挙、沖縄県知事選挙、そして今回の衆議院議員選挙、とすべての選挙に勝ちました。辺野古新基地建設反対、普天間基地の即時撤去、オスプレイ撤去が140万沖縄県民の民意であることを、徹底的に繰り返し日米政府に突きつけたのです。いずれも歴史的な大勝利です。衆院選での勝利はとりわけ重い意味をもつ大勝利です。

 午後8時からの全局の選挙速報番組が始まるやいなや、真っ先に飛び込んできたのは沖縄2区の照屋寛徳さん(社民前職)の当確。つづいて名護市のある3区の玉城デニーさん(生活の党前職)に当確が出ました。

 しかし、その後がつづきません。やはり、1区の仲里利信さん(無所属新人)と4区の赤嶺政賢さん(共産党前職)は……。しかし、出口調査では仲里さんは優勢です。やきもきしていたところ、ついに出ました。仲里さん、当確!!!
 仲里さんは、「オール沖縄」の生みの親ともいえる人です。

 やはり、赤嶺さんの1区が最大の激戦でした。私にとっては、ここが一番の心配でした。果たして、これまで「保守」だった人たちが、「共産党」の名前を書くのか……と。もし書いたら「オール沖縄」は本物だ、と。それを占うもののように思われました。
 そして、22時21分、ついに出ました。当確です。それも、自民党支持層の18パーセント、2割近い票が入っていました。国場は、自民支持者の6割しか取れず、那覇市では6000票もの差をつけていました。

 ちなみに琉球新報の1面トップ見出しは「沖縄、野党が全勝 「辺野古反対」民意再び」、沖縄タイムスのそれは「反辺野古4氏当選 新基地推進政権に打撃 自民候補は全敗」というものです。



仲里さんは「平成の琉球処分」に怒った

 なんといっても、今回の選挙の象徴は、仲里利信さんでした。

 それは、昨年の11月25日、「県外移設」を公約した5人の県出身自民党議員が転向を迫られ、「移設賛成」を言わされたことに始まります。あの、自民党幹事長・石破の横で首をうなだれる自民党議員の姿は、沖縄にとっては未来永劫忘れられない光景で、「平成の琉球処分」と名づけられました。そして、石破の「基地の場所は政府が決める」という暴言が、沖縄中の怒りに火をつけました。ウチナーンチュの誇りが傷つけられ、沖縄の民意が踏みにじられたのです。「沖縄人は日本人ではない」……すべてのウチナーンチュの耳にそう響いたのです。

 そこには、仲里さんが選対本部長として当選させた西銘恒三郎の姿がありました。「議員にとって、公約がすべてではないのか。それを曲げるとは何事か」。仲里さんの怒りは頂点に達し、自民党に離党届をたたきつけました。その記事が、翌朝の新聞に大きく載りました。

 そして、今年1月の名護市長選挙。仲里さんは、軽自動車を改造してスピーカーを括り付けた手作りの宣伝カーを運転し、たった一人で名護へと向かいました。
 「自民党で元県議会議長の仲里です。絶対に辺野古に新しい基地を作らせてはいけません。私は自民党を離党して、稲嶺市長を応援するために名護にやってきました。」
 来る日も、来る日も名護の市内を走り回り、訴えて回りました。それは、ばら撒かれた現ナマなどを吹き飛ばしてしまう威力をもって、市長選の情勢を変えていきました。

 彼は、元県議会議長ですが、ほとんど無名でした。しかも、77歳のサトウキビ・ハルサー(農民のこと)。その彼が、翁長知事の要請を受けて出馬を決めたのが11月22日。選挙まで1カ月もありません。4区から出馬することが決まりました。4区は、最大の自民党基盤。しかも、市町村長の全員が西銘支援です。孤立無援、無名、無所属、新人、何もない選挙基盤……。
「オール沖縄」は、「ひやみかち うまんちゅぬ会」と「市民ネット」の総力を4区に投入し、翁長知事が彼の横に立ちました。今まで見たことも聞いたこともない、ゼロから一人の国会議員を生み出すたたかいでした。
 その仲里さん勝利は、「沖縄の自己決定権」「オール沖縄」を象徴するたたかいとなりました。すべての首長たちが西銘支持に回る中、本島南部のすべての市町村で西銘を上回る得票でした。

沖縄の自己決定権行使の闘いはこれから

 安倍晋三は、選挙の後早速、「辺野古移設は変わらない」との声明を出しました。そして、落選した自民党議員全員を、ゾンビ議員として比例区で復活当選させました。ゾンビ議員たちの役割は、政府の手先として沖縄の民意を切り崩すことにあります。

 たしかに、沖縄はルビコンを渡りました。しかし、「沖縄の自己決定権行使」の闘いはこれからです。そのために、いばらの道を選択しました。闘う陣形を固めながら、国造りの基礎を固めていかなければなりません。それをもって、安倍政権による戦争への道を阻みます。

 熱い応援をいただいた皆様に、勝利の報告をもってお礼とします。
 ありがとうございました。

2014年12月15日
S.嘉手納(沖縄在住)

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