このカテゴリで記事を投稿するのは実に5か月ぶりです。
最近JR北海道に乗れていないので書くことはない……はずだったのですが、
NHKの記事に飛びます
さすがにこれだけのインシデントを見過ごすわけにもいきません。
昨日5月5日の早朝、奈井江駅~茶志内駅を走行中の789系1000番台「スーパーカムイ6号」の床下から出火。火は消し止められたものの、この日の函館本線(札幌~旭川)の特急は日中運転見合わせ状態となりました。
JR北海道のプレス速報では、台車の車軸付近のパーツが焼け焦げ、軸受(軸を浮かせるための固定パーツ)が破損していたとのことです。軸受が壊れたことで車軸が他のパーツに触れこすれた結果、摩擦で火が起きたものと考えられます。
これだけでも重大事故なのですが、これに先立つ4月8日にも、キハ183系2500番台の「北斗20号」から煙が発生して停止しています。
(JR北海道のプレスリリースより)
この事故では、エンジンのスライジングブロックと呼ばれるパーツが破損していました。スライジングブロックは、エンジンに供給する燃料を調節する役割を持ちます。
エンジンは、
1 燃料を入れる(燃料投入)
2 燃料を燃やす(この時燃料投入中止)
3 爆発の勢いでピストンを動かす
の3つの工程を高速で行っているわけですが、スライジングブロックが壊れたことで2・3でも燃料垂れ流しの状態になり、エンジンが暴走したのだと考えます。ガスが充満した部屋でライターを使うのと同じ話です。
おまけに、3月24日にも同じくキハ183系2500番台「北斗5号」がエンジントラブルを起こしています。
一昨年5月に石勝線でおきた「スーパーおおぞら」脱線火災を含めると、函館本線(旭川方面)系統、函館本線・室蘭本線・千歳線(函館方面)系統、石勝線・根室本線(帯広・釧路方面)系統という、JR北海道の3本柱ともいえる基幹路線全てで重大インシデントが起こっていることになります。かつて経営が火の車だった国鉄でも、ここまで立て続けに事故が起きた例はありません。国鉄末期に製造されたキハ183系は劣化が否めないとしても、789系1000番台は登場からわずか6年しか経っていません。破損事故が起きるにはあまりにも早すぎます。整備面で問われてもおかしくありません。
そうでなくとも、北海道にはまだまだ古い車両が残っています。731系ですら既に登場から10年余りが経過。721系も初期車は20年前(主要機器はVVVF化で交換されているものも少なくない)、711系に至っては後期車(100番台)とはいえ30年近くが経過しています。今は亡き781系に始まる道内電車特急――もっと遡るなら、711系の遜色急行から始まる道内電車速達列車――の集大成ともいえる789系で事故が起こるようでは、JR北海道への不信感を拭うことはできません。
私だって、札幌~新千歳空港間はもとより、海線山線ともども使う身ですから、あまり苦言は呈したくないのですが、数年近く続く整備体制のお粗末ぶりには目に余るものがあります。JR北海道の体力不足(つまりは資金不足)が根底にあるのは明白だとしても、です。その証拠に、同じく資金難のJR四国ではあまりその手の事故が起こっていません。キハ183系とほぼ同時期に誕生したキハ185系も、「剣山」(徳島~阿波池田)、「むろと」(徳島~牟岐)などに健在です。
自分なりに考えてみたのですが、この一連の事故は、会社体質とはまた別の問題を含む――すなわち鉄道の公共性を問うものではないかと思います。それまでの『政策的な鉄道』だった国鉄から利己企業JRとなったことで、鉄道のスタイルはともかく、運営・企画・整備、果てには列車そのものも損得の対象となってしまいました。
列車を動かすには、まず車両と運転士。次いで車両の整備に人が必要です。さらに線路を整備する人。運行経路を管理する人も必要です。そららを売り込む人や、車内を担当する人を含めれば、その数は膨大です。つまり、一つの列車を動かすだけで、それだけの人件費がかかることになります。200パーセント近い乗車率をたたき出す首都圏ならまだしも、低空飛行の三島会社(北海道・四国・九州)では、その費用をひり出すのさえ一苦労です。まして、人口減が始まった現在、輸送人員が劇的に増える可能性は皆無。赤字どころか、いつ倒産してもおかしくはありません。
かたや一極集中で黒字(とはいえ、JR東日本も不採算路線を多く抱えているのでプラスマイナスゼロのようですが)、かたや人口減で赤字。この格差はどんどん広がるばかりです。不採算だからと言って切り捨てれば、ますます交通から人が離れていきます。ある程度の公共性=ある程度赤字になる覚悟がなければ、鉄道なんてやっていけないのです。
そういう意味では、圧倒的に偏りがある地方の体力に依存する形にしたJR分社化は、愚策としか言いようがありません。正直、なぜ管理局(国鉄時代にあった、一定地域(1~2県程度)の路線を管轄する組織。現在の支社にあたる)制度を存続しなかったのか(要するに国鉄内の分社化)がされなかった分かりません。運営や企画に関して、管理局ごとに地域色を出せばいい(実際に、大阪管理局の117系や、新潟管理局の新潟ローカル色などの例がある)わけですし。
現在のJR北海道は、お金がない→整備できない→事故が起きる→乗客が減る→お金がない、の悪循環です。特に、石勝線トンネル脱線火災以降、車両整備・線路整備双方に追われ、その勢いは加速しています。日本では公にすがるのはあまりよろしくないとされていますが、むしろ、「事故ったね。改善しろ」と言うだけ言って何も手を差し伸べてくれない国もどうなのかと。事故調査で経営状態が悪いことを知っているくせに、その上から目線はなんなんだと。なんのための政府なんだと。
さすがに国とまではいかないまでも、JRグループ内での連携があってもいいんじゃないのかと思います。キハ185系を持つ四国や九州。資金に余裕がある東海。圧倒的な整備力を誇る東日本。北海道並の高速ディーゼル特急を走らせる西日本。元は1つの組織だったのですから、なんとか融通をきかせれば、JR北海道を救えそうなものですが……
なんだかいろいろ過激な事を言った気がしますが、みなさんの意見はどうでしょうか?
最近JR北海道に乗れていないので書くことはない……はずだったのですが、
NHKの記事に飛びます
さすがにこれだけのインシデントを見過ごすわけにもいきません。
昨日5月5日の早朝、奈井江駅~茶志内駅を走行中の789系1000番台「スーパーカムイ6号」の床下から出火。火は消し止められたものの、この日の函館本線(札幌~旭川)の特急は日中運転見合わせ状態となりました。
JR北海道のプレス速報では、台車の車軸付近のパーツが焼け焦げ、軸受(軸を浮かせるための固定パーツ)が破損していたとのことです。軸受が壊れたことで車軸が他のパーツに触れこすれた結果、摩擦で火が起きたものと考えられます。
これだけでも重大事故なのですが、これに先立つ4月8日にも、キハ183系2500番台の「北斗20号」から煙が発生して停止しています。
(JR北海道のプレスリリースより)
この事故では、エンジンのスライジングブロックと呼ばれるパーツが破損していました。スライジングブロックは、エンジンに供給する燃料を調節する役割を持ちます。
エンジンは、
1 燃料を入れる(燃料投入)
2 燃料を燃やす(この時燃料投入中止)
3 爆発の勢いでピストンを動かす
の3つの工程を高速で行っているわけですが、スライジングブロックが壊れたことで2・3でも燃料垂れ流しの状態になり、エンジンが暴走したのだと考えます。ガスが充満した部屋でライターを使うのと同じ話です。
おまけに、3月24日にも同じくキハ183系2500番台「北斗5号」がエンジントラブルを起こしています。
一昨年5月に石勝線でおきた「スーパーおおぞら」脱線火災を含めると、函館本線(旭川方面)系統、函館本線・室蘭本線・千歳線(函館方面)系統、石勝線・根室本線(帯広・釧路方面)系統という、JR北海道の3本柱ともいえる基幹路線全てで重大インシデントが起こっていることになります。かつて経営が火の車だった国鉄でも、ここまで立て続けに事故が起きた例はありません。国鉄末期に製造されたキハ183系は劣化が否めないとしても、789系1000番台は登場からわずか6年しか経っていません。破損事故が起きるにはあまりにも早すぎます。整備面で問われてもおかしくありません。
そうでなくとも、北海道にはまだまだ古い車両が残っています。731系ですら既に登場から10年余りが経過。721系も初期車は20年前(主要機器はVVVF化で交換されているものも少なくない)、711系に至っては後期車(100番台)とはいえ30年近くが経過しています。今は亡き781系に始まる道内電車特急――もっと遡るなら、711系の遜色急行から始まる道内電車速達列車――の集大成ともいえる789系で事故が起こるようでは、JR北海道への不信感を拭うことはできません。
私だって、札幌~新千歳空港間はもとより、海線山線ともども使う身ですから、あまり苦言は呈したくないのですが、数年近く続く整備体制のお粗末ぶりには目に余るものがあります。JR北海道の体力不足(つまりは資金不足)が根底にあるのは明白だとしても、です。その証拠に、同じく資金難のJR四国ではあまりその手の事故が起こっていません。キハ183系とほぼ同時期に誕生したキハ185系も、「剣山」(徳島~阿波池田)、「むろと」(徳島~牟岐)などに健在です。
自分なりに考えてみたのですが、この一連の事故は、会社体質とはまた別の問題を含む――すなわち鉄道の公共性を問うものではないかと思います。それまでの『政策的な鉄道』だった国鉄から利己企業JRとなったことで、鉄道のスタイルはともかく、運営・企画・整備、果てには列車そのものも損得の対象となってしまいました。
列車を動かすには、まず車両と運転士。次いで車両の整備に人が必要です。さらに線路を整備する人。運行経路を管理する人も必要です。そららを売り込む人や、車内を担当する人を含めれば、その数は膨大です。つまり、一つの列車を動かすだけで、それだけの人件費がかかることになります。200パーセント近い乗車率をたたき出す首都圏ならまだしも、低空飛行の三島会社(北海道・四国・九州)では、その費用をひり出すのさえ一苦労です。まして、人口減が始まった現在、輸送人員が劇的に増える可能性は皆無。赤字どころか、いつ倒産してもおかしくはありません。
かたや一極集中で黒字(とはいえ、JR東日本も不採算路線を多く抱えているのでプラスマイナスゼロのようですが)、かたや人口減で赤字。この格差はどんどん広がるばかりです。不採算だからと言って切り捨てれば、ますます交通から人が離れていきます。ある程度の公共性=ある程度赤字になる覚悟がなければ、鉄道なんてやっていけないのです。
そういう意味では、圧倒的に偏りがある地方の体力に依存する形にしたJR分社化は、愚策としか言いようがありません。正直、なぜ管理局(国鉄時代にあった、一定地域(1~2県程度)の路線を管轄する組織。現在の支社にあたる)制度を存続しなかったのか(要するに国鉄内の分社化)がされなかった分かりません。運営や企画に関して、管理局ごとに地域色を出せばいい(実際に、大阪管理局の117系や、新潟管理局の新潟ローカル色などの例がある)わけですし。
現在のJR北海道は、お金がない→整備できない→事故が起きる→乗客が減る→お金がない、の悪循環です。特に、石勝線トンネル脱線火災以降、車両整備・線路整備双方に追われ、その勢いは加速しています。日本では公にすがるのはあまりよろしくないとされていますが、むしろ、「事故ったね。改善しろ」と言うだけ言って何も手を差し伸べてくれない国もどうなのかと。事故調査で経営状態が悪いことを知っているくせに、その上から目線はなんなんだと。なんのための政府なんだと。
さすがに国とまではいかないまでも、JRグループ内での連携があってもいいんじゃないのかと思います。キハ185系を持つ四国や九州。資金に余裕がある東海。圧倒的な整備力を誇る東日本。北海道並の高速ディーゼル特急を走らせる西日本。元は1つの組織だったのですから、なんとか融通をきかせれば、JR北海道を救えそうなものですが……
なんだかいろいろ過激な事を言った気がしますが、みなさんの意見はどうでしょうか?
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