前田秀一 プロフィール
毎年、4月27日は茶道・三千家(表、裏、武者小路)が交代で堺市の南宗寺で献茶式を執り行っておられます。
今年は、表千家・千宗左宗匠(第14代)による献茶式がありました。
昨年より少し茶の湯を勉強し、お稽古にも通っていましたので、お師匠さんのお勧めに乗せられて恥を顧みず献茶式および関連行事のお茶席に参列させていただきました。
全国から500人弱の茶の湯の心得をお持ちの方々が一堂に南宗寺および塔頭に参集され、はじめて見る光景に改めて堺の南宗寺の伝統の重みを実感しました。
方丈(本堂)での献茶式の後、お師匠さんに従い「濃茶」席から参列させていただきました。お客が多いので「大寄席」の方式で20人くらいが一度に会する席となりました。念には念を入れて、席取りをしていただいたのですが、よりによってお菓子のお鉢が私の前におかれあわてました。何かの間違いではと思い、上座のお師匠さんの前に動かすと睨まれて「あなたが初めです」と言われビビりました。
3人ごとと予測しての席取りだったんですが、お客が多いので4人ごとでとなって目論見が外れたわけです。「濃茶」は駆け出しの私から始めになりどうしてよいやらパニックになりました。上座のお師匠様が小声でお指図に従い所作を始めましたが、さらに困ったのはどの程度いただいてよいやら飲み加減が分からず、横を見ながらお師匠様の顔色を見ながら・・・。お茶碗の淵の汚れをふいていると、「傷がつくから柔らかく・・」と言われ、楽茶碗の取り扱いに対する神経の使い方を教わることにもなりました。
いただいている時は、必死ですから味もなにもあったものではありませんでしたが、お茶碗をお隣の方へまわしてから、ほっとしている内に口の中に「濃茶」の余韻が蘇ってきて上座に目を移しますと「いいお味でっしゃろ」と優しくお声をかけていただきました。
やはり、茶事は、「濃茶」と言われるだけあって雰囲気が違いますね。席を離れてから、お師匠様から「濃茶」の回し飲みや「袱紗」扱いはカソリックのしきたりの影響を受けているって聞きますが本当ですか?と聞かれ、今、私が勉強してていることでしたのでお礼の気持ちを込めてご説明させていただきました。
「濃茶」の後は、本源院についで天慶院で「薄茶」をいただきました。やっと我に返った思いがして少し落ち着きが戻り、何とお師匠様の日頃の教えに従いお茶席を楽しませていただきました。
「濃茶」から「薄茶」まで茶の湯三昧と聞こえは良いのですが、本音は正座の我慢の限界に耐え忍ぶつらさがあり、待ち時間の長さに心を整えて待つ「禅」の心を考えさせられました。貴重な体験の一日で、帰途には心に重みを実感できる喜びもありました。
「十六世紀 茶の湯におけるキリシタン受容の構図」 詳しくは こちらから
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