日本自治体労働組合総連合
書記長 中川 悟
「改正マイナンバー法案(共通番号制度関連法案)」が9月3日に、衆議院本会議で自民、公明、民主、維新の党などの賛成で可決され成立した。10月5日からの番号通知、2016年1月からカード交付され本格実施されようとしている。自治労連は2012年にマイナンバー法が法案上程されたときから反対してきたが、今回の「改正」法案成立に強く抗議し、当面、実施の延期・中止を求める。
自治体にとって個人番号カード交付申請の作業、住民記録台帳にマイナンバーを取り込む膨大な作業が必要であり、保険年金、税務、住民記録の職場では、すでに従来の仕事に上乗せした業務が発生している。自治体リストラで人員が削られている下で、日常業務とマイナンバー等の業務が重なり、システム構築やカード発行業務などに「本当に対応できるか」と、現場では不安が多く出されている。こうした現場の不安や体制に応えないままに、進めることは許されない。さらに、システム構築には自治体の負担が発生し、その負担は、初期投資にとどまらず永続的に投資していくことになる。
住民にとっても、利便性よりも手続きの煩雑化、ナンバーの管理問題、待ち時間の長時間化など、プラス要素はない。
最も重大な問題として、マイナンバーの情報管理がある。5月に発覚した日本年金機構の情報流出事件を受け、同機構の個人番号利用と情報連携の実施を延期せざるを得なかったが、住民や自治体労働者の不安には全く応えるものではない。安全管理を徹底しても情報漏えいの危険性、不安は残る。そして、一度情報漏えいすれば、自治体は被害者だけではなく、加害者の立場に立たされる。マイナンバーの用途を拡大が想定されているが、セキュリティー上だけでなく、管理する体制を含めて、課題や問題はぬぐい去れない。
政府は、マイナンバーの用途を小さく始め、次第に所得税など税金だけでなく、金融機関口座の残高、学歴や病歴などあらゆる情報を管理し、国民一人ひとりを監視することを狙っている。
自治労連はこれまで、「共通番号制度を導入させないための学習討議資料」や「職場討議リーフ」を作成し、マイナンバー制度の問題点を明らかにしてきた。また、日本弁護士連合会の情報問題対策委員会と懇談(7/30)、8月26日に結成された「マイナンバー制度反対連絡会」にも結集し、取り組みを強めている。
マイナンバー改悪法は成立したが、10月からの実施を延期し、同制度の廃止を目指すこと、新たな事務量に見合う予算や人員を配置させ、DV被害などによる個人情報保護に万全を期すために奮闘するものである。
以上
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