自治労連書記長が談話:住民自治・団体自治を侵害し、個人情報を脅かすデジタル改革関連法可決・成立に強く抗議する
2021年05月15日
2021年5月13日
書記長 石川 敏明
菅政権は、5月12日参議院本会議において、デジタル改革関連の6つの法案を、強行成立させました。法案は、自治体の情報システム標準化の強制で、地方自治の自主性を否定し、住民福祉と地方自治・団体自治を侵害するものです。個人情報保護制度の一元化は、住民の個人情報を脅かし、企業のもうけに利活用するものです。政権発足からわずか5カ月余りでの閣議決定をし、審議入りを急いだ結果、63本もの束ねられた法案には、国会提出後に要綱などに多くの誤りが発覚をしました。衆議院での審議時間は27時間余り、参議院でも5日間で約25時間程度の審議時間からも、徹底した審議がつくされていません。ずさんな法案、短時間の審議、十分な検証もなく強行したことに自治労連は強く抗議します。
デジタル改革関連6法は、住民サービスに関わる情報システムを国が主導して「共通化・標準化」することにより、自治体独自の住民サービス(子どもの医療費無料化、税金・国民健康保険料・介護保険料の免除、学校給食の無料化、新型コロナ感染症に対する独自の支援策など)の抑制につながります。この間の自治労連とのやり取りの中で総務省は、自治体独自の住民サービスを提供するには、情報システムの標準化に密接に関連し互換性が確保される、ごく限定されたものでなければ改変や追加(カスタマイズ)ができないとしています。そもそも地方自治体が行う事務について、地方自治法第2条第13項で「特に配慮」することが義務付けられており、国による情報システムの標準化の押し付けは地方自治の本旨にも反するものです。
個人情報保護制度の一元化では、閣議決定した基本原則の、「個人が自分の情報を主体的にコントロールできるようにする」基本理念をなくし、自治体が規定をしている個人情報保護条例のオンライン結合原則禁止が障害となっているとして、逆に個人情報保護法を緩和・撤廃しようとしています。本人の知らないうちに、本人の意思とは関係なく個人のデータがやり取りされ、企業の都合のいいように利用されることになります。収集と利用に重点が置かれて、住民から託された大切な個人情報を、民間企業のもうけの源にすることは許されるものではありません。
自治労連は、地方自治体の自主性をそこない企業主導で進められる「デジタル改革関連法」の具体化を許さず、憲法をいかし、住民生活を守る地方自治体をつくるために、住民との共同した運動をさらに広げ進めるものです。
以上
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