【全労連談話】改憲手続法改定法案の衆議院本会議採決に抗議し、参議院での徹底した審議による廃案を求める
2021年05月15日
2021年5月11日
全国労働組合総連合
事務局長 黒澤幸一
本日、衆議院本会議で改憲手続法改定法案の採決が行われ、自民、公明、維新の他、立憲民主、国民民主各党の賛成で衆議院を通過した。CM規制や最低投票率の問題などの根本的な欠陥を何一つ改善せずに採決したことは、ただ改憲論議を進めるためのものであり、断固抗議する。
今通常国会の衆院憲法審査会において、与党などは、採決ありきの姿勢に終始した。法の欠陥についての審議は全くされず、立憲民主党と共産党は採決に反対の立場をとってきた。しかし、突如、立憲民主党は、同法案に付則としてCM規制等について「検討を加え、施行後3年をめどに法制上の措置、その他の措置を講じる」の修正案を示し、憲法審査会での採決に合意した。修正案についても憲法審査会の場で十分に議論されたとは言えず、同法は欠陥法のままとなっている。
菅首相は、5月3日の改憲派の集会に寄せたメッセージで、改憲手続き法案について「憲法改正に関する議論を進める最初の1歩」と発言したが、そのねらいは明白である。下村自民党政調会長は、コロナ危機を改憲のチャンスに変えるという主旨のことを述べたが、新型コロナの感染拡大が第4波となり、医療崩壊で国民のいのちが失われている事態を改憲のチャンスなどとする発言は、国会議員として許されることではない。国民のいのちを守るため、憲法にもとづき、コロナ対策に集中して取り組むことこそが求められる。
憲法をないがしろにする菅政権のもとで、病床削減や高齢者の医療費負担を倍加する法案や、個人情報を企業のもうけや市民監視に利活用するデジタル化法案、難民を排除する入管法改悪法案、軍事基地や原発周辺の土地利用規制を名目に市民監視を強める土地利用規制法案など、いのちと人権を軽視する法案を次々に国会で成立させようとしている。憲法はかつてない危機的状況に直面しており、国民的なたたかいが必要となっている。
全労連は、改憲論議をすすめるための改憲手続法改定法案に反対し、廃案に追い込むために引き続きたたかいを強化する。菅政権の憲法破壊を許さず、憲法がいきる政治の実現に全力をつくす決意である。
以上
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