2022年7月25日
書記長 石川 敏明
7月22日午前、政府は、安倍元首相の「国葬」を9月27日に東京・日本武道館で行うことを閣議決定した。銃撃され不慮の死を遂げた安倍元首相を追悼する思いを多くの国民が持つ一方、「国葬」の実施について疑問を持つ声が広がっている。「国葬」の費用は全額国費で賄われることも問題だが、そもそも、日本国憲法にそぐわないとされた「国葬」を、法的根拠もなく閣議決定によって決めること自体許されるものではない。
「国葬令」は、国民主権、政教分離、法の下での平等、思想・信条の自由を保障する日本国憲法の制定を機に、「日本国憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に関する法律」第1条の規定により、失効した。したがって、安倍元首相の「国葬」が実施される法的根拠はどこにもなく、憲法違反だと言わざるを得ない。
岸田首相は、安倍氏が歴代最長の通算8年8ヶ月の間、首相を務めたことなどを「国葬」実施の理由としている。しかし、安倍政権のもと、集団的自衛権行使容認の閣議決定に続き、安保法制=「戦争法」の成立を強行し、新自由主義的な経済政策である「アベノミクス」は、貧困と格差の拡大を深刻化させた。森友・加計学園問題や桜を見る会など権力の私物化をすすめ、国会の議論を軽視し、政治の劣化がすすんだ。このことを看過することはできない。
自治体では、病院、保育所、学校給食、清掃業務など公務公共業務のアウトソーシングが強行されてきた。また、自治体職場では、行き過ぎた「定員管理」によって人員削減が進められ、長時間労働がまん延している。長期化するコロナ危機のもと、住民のいのちとくらし、職員のいのちも守られない状況がいっそう広がっている。
「国葬」が行われた場合、地方自治体に対して半旗掲揚等が強制され、地域住民や自治体職員に弔意を押しつけられることは、2020年10月17日に実施された「故中曽根康弘」内閣・自由民主党合同葬儀の事例からも想定できる。憲法第19 条の思想・信条の自由の保障に抵触し、個人の内心を統制するとともに、憲法が規定する「地方自治の本旨」に反して、国家権力が地方自治に不当に介入することとなり、民主主義を蹂躙する極めて重大な問題である。
私たち自治体労働者は、戦前の絶対主義的天皇制政府のもとで「天皇の官吏」として、国民への支配と抑圧、侵略戦争のために働かされた痛苦の歴史をもっている。その教訓を踏まえ、現行憲法のもと、「国民全体への奉仕者」として、すべての住民が健康で文化的で平和な生活のために、仕事を通じて努力することを責務とし、誇りにしたいと願っている。安倍首相の「国葬」は、「国民全体の奉仕者」としての自治体労働者の誇りと願いを歪めることに他ならない。
自治労連は、安倍元首相の「国葬」の閣議決定撤回、中止を強く求めるものである。
以 上
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