【自治労連が談話】地域間格差解消・物価上昇に逆行する2022年度中央最賃目安 各地のたたかいで最賃の大幅引き上げを勝ち取ろう
2022年08月04日
2022年8月3日
書記長 石川 敏明
8月2日、厚生労働省中央最低賃金審議会は、2022年の地域別最低賃金改定の基礎となる引き上げ目安について、昨年の28円を上回り過去最高額となる、A・Bランク「31円」、C・Dランク「30円」、全国平均で961円(3.3%)に引き上げる答申を厚生労働大臣に対して行った。
引き上げとなったことは、自治労連をはじめ全国的な運動による成果である。「全国一律最低賃金制度の実現を求める請願署名」は自治労連で3万筆、全国で18万5千余筆がコロナ危機の困難なもとでも寄せられた。全国の仲間が丁寧に地元選出議員への要請・対話を重ねた結果、紹介議員は党派を超え100名を超える共同を広げた。地方最低賃金審議会への意見書・陳述、7月の参院選での各政党公約化、地方議会の意見書、最賃近傍で働く当事者の記者会見など、最賃引き上げ・全国一律最賃制への世論形成と全国的な流れをつくってきた。
しかし、水準については私たちが求めている「時給1,500円」には遠く及ばず、全国平均時給961円を年間1,800時間の労働時間で換算しても1,729,800円にとどまる。健康で文化的な生活を送るに十分な水準からはほど遠く、到底納得できるものではない。物価上昇で、生活必需品まで大幅な値上げとなっており、今回の3%程度の賃上げでは、実質的な賃上げ効果はない。審議では「特に労働者の生計費を重視した」とするが、物価上昇への考慮は見られない。
また、C・DランクとA・Bランクとの格差をさらに拡大させる目安としたことには憤りを禁じ得ない。目安どおりに改定されると、最も高い東京で1,072円、最も低い高知、沖縄で850円、その差は前年より拡大し222円となる。私たちが全国で取り組んでいる最低生計費試算調査の結果をみても、「生計費」は全国で違いがないことは明らかである。
公益委員見解では、春闘状況について「消費者物価の動向が十分に勘案されていない可能性があるという点にも留意が必要である」と言及し、地域間格差についても昨年に続き「少なくとも地域別最低賃金の最高額に対する最低額の比率を引き続き上昇させていく必要がある」としたことは、我々の運動の反映であるが、その主旨が答申に反映されていないことは遺憾である。
国家公務員高卒初任給を時間給に換算すると897円であり、地域別最賃を下回る地域が11から19都府県へと拡大した。自治体でも同様であり、会計年度任用職員の多くも最賃に近い水準で働いている。若年層や会計年度任用職員の賃金改善実現のたたかいがますます重要となっている。
最低賃金の決定に向けた審議が地方最低賃金審議会で始まっている。10月の改定に向けて公務職場でも、初任給改善と在職者調整、会計年度任用職員の賃金引上げのたたかいに旺盛に取り組もう。自治労連は、コロナ危機だからこそ賃上げが必要であることを大いにアピールし、各地で最賃引き上げの運動を職場と地域でさらに広げ、地域間格差是正や最賃の大幅引き上げを勝ちとるために奮闘するものである。
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