菅首相の退任表明を受けて-真の政権交代で憲法に則ったまともな政治を実現しよう-
9 月 3 日、菅首相は自民党総裁選の不出馬、内閣総理大臣の退任を表明した。菅政権は一年足らずであるが、安倍内閣の官房長官時代を合わせると約 9 年の間政権の中枢に居つづけた。
首相就任の際に、安倍内閣の踏襲を強調したが、それは、憲法を敵視・無視する姿勢と、民主主義を適する姿勢、個利・個略に基づく強権政治の継承であった。
安倍内閣の下で行われた、集団的自衛権行使容認の閣議決定、「安保法」の強行、専守防衛の枠を超える攻撃敵基地攻撃能力の検討は、菅内閣の下でいっそう現実的に進められている。森友学園・加計学園問題、桜を見る会・前夜祭問題を明らかにすることもなく、河井元法相夫妻の政治資金規正法違反事件でも何らの説明も責任も取らない姿勢が貫かれている。現在もなお、臨時国会の召集を憲法に反して拒否し続けている。このような「説明しない」政権運営も、安倍内閣からの継承であり、それがいわゆる学術会議会員任命拒否問題でも繰り返されている。拒否の過程も理由も何ら明らかにされていない。これは、反民主主義であると同時に、学問への敵視としても表れた。
学問への敵視は、コロナ対応で典型的に表れた。その場しのぎの対応は、首相の「願望」をあらわしたものであり、専門家の意見を軽視し、オリンピック・パラリンピック開催への固執のために医療崩壊をもたらした。
首相は退陣表明で、「コロナ対応に専念するため」と言ったが、その意味は不明である。
退陣の契機となったのは、横浜市長選挙で首相が支援したもと閣僚の候補者の落選にあったともいわれる。東京都議選の結果は、オリンピックで観客を入れることに執着していた首相を無観客での開催をもたらした。これらの選挙結果を見れば、民意が政治を動かすことが大いに期待できることがわかるだろう。
10 月には衆議院議員の任期満了となる。菅首相の退陣表明を受けて、「次期自民党総裁=次期首相」の構図のもとにすでにマスコミを動員した総裁選挙が始まっている。特定の政党内部の問題をこのように描くことによって、自公政権への旗振り役となっていないだろうか。
安倍・菅内閣によって行われてきた悪政の原因究明が、まっとうな政治を取り戻す第一歩である。総理の首を挿げ替えただけではそれはできない。悪政を支えてきたのは自民党議員であり、公明党議員である。自公政権からの脱却、立憲野党による真の政権交代。これによって一人一人が大切にされる、憲法に基づく政治を取り戻そう。
2021 年 9 月 6 日
大阪憲法会議(憲法改悪阻止大阪府各界連絡会議)
幹事長 丹羽 徹
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