1 本年 6 月 9 日、大阪市議会において、大阪維新の会が提案した市議会議員の定数を 81 議席から 70 議席に減らす条例案が、維新、公明、自民などの賛成多数により可決された。
議員定数の削減は、多様な住民の意見を切り捨てるとともに、市長をはじめとする行政機関へのチェックなどの市議会の役割を形骸化させ、住民自治を後退させるものである。
2 議会は住民の代表であり、多様な住民の意見を反映させ、住民の要求を実現するという役割を有する。議員定数が削減されれば、それだけ多様な民意の反映が困難となる。
本条例では、市内 24 選挙区のうち、定数 3~6 名の 11 選挙区について、それぞれ定数が 1 ずつ削減される。大阪市の行政区ごとの議員定数は、他の政令指定都市よりも少なく、今回の定数削減で定数 2~3 の選挙区がさらに増える。その結果、多数の意見のみが反映され、多様な住民の意見が切り捨てられることになる。
また、大阪市は、他の政令都市に比較して、人口あたりの議員数が今でも少なく、住民の声が議会に届きづらい。議員 1 人当たりの住民の数は、削減前は約 34,000 人であったが、定数削減により約 39,000 人になると試算されている。議員 1 人がカバーしなければならない住民の数は全国の政令指定都市では横浜市に次ぐ 2 番目の多さであり、民意の反映がさらに困難となる。
3 地方自治体における首長と議会の二元代表制においては、議会は首長をはじめとする行政機関をチェックするという役割を有する。議員定数を削減することは、首長をはじめとする行政機関に対する議会のチェック機能をも形骸化させるものであり、ひいては行政に対する住民の監視が損なわれることになる。 今回の定数削減について、横山英幸大阪市長自らが「速やかに進めてもらいたい」と述べたが、議会にチェックされる対象である首長自身が、議会の定数削減それによる議会のチェック機能の形骸化を主導することはあってはならない。
4 市議会の全会派では、2025 年の国勢調査に基づき、議員定数について検討するとの合意がなされていた。かかる合意を反故にして、しかも市民への十分な説明なく、わずか1日の議会の審議のみで強行することは、数の力による暴挙といわざるを得ない。
5 議員定数の削減は、民意を切り捨て、議会から行政機関に対するチェック機能を形骸化させるものであり、住民自治を後退させる。
大阪市をよくする会および民主法律協会は、抗議宣伝やシンポジウムを開催し、議員定数削減の危険性を訴えてきた。大阪市議会の議員定数削減に対して断固として抗議するとともに、削減された議員定数の回復および多様な住民の声が反映される大阪市政実現に向けて引き続き奮闘することを決意する。
2023年6月9日
大阪市をよくする会
民 主 法 律 協 会
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