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枚方市・伏見市長(維新)の枚方市職労に対する組合事務所にかかる不当労働行為を大阪高裁も断罪

枚方市組合事務所事件・大阪高裁勝訴声明

本日(6月16日)、大阪高等裁判所は、枚方市長が枚方市職労に対して行ってきた支配介入(機関紙「日刊ニュース」に掲載した政治的内容を嫌悪・敵視し、「目的外使用の条件に違反する」として組合事務所の明け渡しを求めたこと及び団体交渉拒否)について、「不当労働行為である」と断罪しました。
枚方市は、2020年11月に大阪府労働委員会の「枚方市の対応が不当労働行為にあたる」として、「今後このような行為を繰り返さないようにいたします」との誓約書の交付を命じる等の救済命令を発出したことに対して、この命令を不服として取消をもとめて提訴。
2022年9月に大阪地方裁判所が枚方市の請求を棄却しましたが、枚方市は判決を不服として大阪高等裁判所に控訴していました。
13時、大阪高等裁判所は、あらためて「枚方市の対応が不当労働行為にあたる」として、枚方市の控訴を棄却する判決を言い渡しました。これまで、支援いただいたみなさまへ感謝申し上げます。



1 枚方市(伏見隆市長)は、2018年12月27日、枚方市職員労働組合(「市職労」)が組合機関紙に政権や市政を批判する記事を掲載したことを理由として、職員会館内にある組合事務所の使用許可を取り消すことを予告するとともに、即刻自主的に退去するように通知した。また、組合事務所からの退去に関する団体交渉に応じることもしなかった。
大阪府労働委員会は、2020年11月30日、これらの枚方市の対応が不当労働行為にあたるとして、「今後このような行為を繰り返さないようにいたします」との誓約書の交付を命じる等の救済命令(「府労委命令」)を発出した。
枚方市は、この府労委命令を不服として、取消訴訟を提訴したが、2022年9月7日、大阪地方裁判所は枚方市の請求を棄却した。これに対して、枚方市が控訴したが、本日、大阪高等裁判所第5民事部(太田晃詳裁判長、徳岡由美子裁判官代読)は、あらためて枚方市の対応が不当労働行為にあたるとして、枚方市の控訴を棄却する判決を言い渡した。

2 原審の大阪地裁判決は、労働組合による機関紙の発行は、労働組合活動上極めて重要な役割を持っており、団結権を保障する観点から十分な保護が必要であるとした府労委命令を前提としたうえで、「組合活動に関連して、表現の自由の範囲内において、一定の政治的意見を表明すること」は許容されるとし、加えて40年以上にわたって組合事務所として使用してきたことをも考慮すると、組合が組合事務所で政権や特定政党への批判的な記事を掲載した組合ニュースの印刷・発行したことを理由に組合事務所の明渡しを求めたことは、組合の弱体化やその運営・活動に対する妨害の効果をもつとし、かつ別組合との間で使用目的制限違反を認めた場合の取扱いに差異を設けた点も踏まえて、支配介入にあたると認めた。
また、組合事務所に関する事項は、団体的労使関係の運営に関する事項にあたるとして、団体交渉に応じなかったことは不当労働行為にあたると認めた。
大阪高裁判決は、これら大阪地裁判決の判断を是認するとともに、枚方市が地方自治法の規定に則って使用許可を取り消すことをしないままに、即刻自主的に退去を求めた行為は不当労働行為にあたるとの評価を免れないと判断した。なお、使用許可を取り消すにあたっては、比例原則や平等原則等の適用が問題となり得ることも指摘されている。

3 およそ、労働組合が、その活動の一環として発行する機関紙にどのような記事をどのような表現を用いて作成し、どのように発行するかは、本来自由であり、その表現内容に使用者が容喙することは、団結権を侵害する支配介入として許されない。ましてや、公共性を体現するべき地方自治体が、労働組合の発行する機関紙の内容に対して執拗に干渉を繰り返し、ひいては組合事務所の明渡しという大きな不利益を課すことは、民主主義国家であってはならないことである。

4 私たちは、枚方市に対し、本判決を真摯に受け止め、上告することなく、直ちに府労委命令を履行し、正常な労使関係を修復することを求める。

2023年6月16日
枚方市職員労働組合
大阪自治体労働組合総連合
枚方市組合事務所事件弁護団
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